4話 天使召喚
「こちらです」
執事長に姉がいる部屋まで連れてきてもらった。
「ありがとうございます」
一息ついてから俺は部屋のドアをたたいた。
コンコン
「お姉さま、弟のクリストフです、入ってもよろしいでしょうか?」
すると部屋から声が聞こえた。
「クリストフ?」
「はい! 弟のクリストフです! 入ってもよろしいでしょうか?」
俺が答えると、部屋から申し訳なさそうな声で
「ごめんなさいクリストフ、あなたに私の醜いこの体を見てほしくないの………」
「お姉さま………」
「クリストフ様、ここはいったん帰りましょう」
「わかりました、お姉さま………」
俺は、姉になんて声をかけていいかわからず姉の部屋から離れた。
姉の部屋からは姉が泣いているような声が聞こえたような気がした。
俺は、姉の部屋から離れた後夕食の時間ということで夕食を食べ、お風呂に入り自分の部屋に帰っていた。
「クソッ! お姉さまはまだ七歳だというのに!」
俺が姉の記憶をほとんど持っていなかった理由はなんとなくわかった。
姉は黒魔病にかかり体に黒い模様が出来て、それを俺にみられるのが嫌であえて何も俺に会わないようにしていたんだ。
覚悟は決まった。
「『天使召喚』をしよう!」
少しでも確率があるなら、何でもしてやる! だって家族なんだから!
「エクストラスキル『天使召喚』発動!」
そう言うと、俺の部屋は光に包まれた。
「んっ、ここは………?」
「ここは契約の空間です」
俺の前にはいかにも天使という感じの羽を二枚付けたスタイル抜群の美女がいた。
「あなたは、一体?」
「私は四大天使の一人ラファエル、あなたに召喚された天使です」
そう言ってラファエルは「ふふッ」と微笑んだ。
『天使召喚』で呼び出せたのか、そうだ重要なことを聞かないと!
「すいません、天使様一つお尋ねしたいことがあります」
「なんですか?」
「貴方様と契約すれば病気を、黒魔病を治すことができますか?」
「可能です、私は治癒をつかさどる天使なのですから」
「………」
よし! 成功した………。
これで姉を救うことができる!
「どうかしましたか?」
天使様が不思議そうにこっちを見ている。
「契約しましょう!」
俺は食い気味に答えた。
「わかりました、契約の対価は私が決めますよろしいですね?」
「はい、分かりました」
「それではあなたと少しつながります」
そういうと天使は、俺の胸に手を置き目を閉じて。
「『聖眼』」
天使様は魔法を発動した。
どれくらい時間がたったのだろうか。
俺は天使様に俺という人間のすべてを見られている。
俺のことを知って対価が決まったのか天使様は目を開け、口を開いた。
「契約の対価は………」
何を要求されるんだ………?
俺はごくりと唾をのむ。
「あなたの中の精神世界で、私にあなたの記憶のすべてを見せてください」
「………え?」
「聞こえなかったのですか? あなたの記憶を私に見せ………」
「聞こえていますよ!」
え? どういうことだ? てっきり対価だからもっと重いものだと思っていたんだけど………。
「なぜ対価が俺の記憶なんですか?」
俺は恐る恐るという感じで聞き返した。
「そんなの決まっています、あなたの記憶すなわちアニメにラノベに漫画、あれはとても面白い、あれだけ面白いものは私は見たことがない、だから対価を決めました」
頬を赤く染め天使は言った。
「なるほど………」
まさか、家族がいない寂しさを埋めるために見ていたアニメやラノベでこっちの世界の家族を救うことになるとは………
ジャパニーズカルチャーは天使様をも魅了したというわけか………。
「わかりました、契約しましょう」
「分かりました、ここは契約の空間、ここで決めた契約は絶対です。 破ったら私であろうと魔界に落ち、死よりも苦しい思いをすることになります、それでもいいですね?」
「はい、もちろんです!」
契約することで、俺の姉が救われるのなら
「それでは手を前に出してください」
俺は、右手を天使のほうにむける。
「『四大天使が一人ラファエルと、クリストフ・アーレンはここに契約する!』」
そう言ってまたしても光に包まれた。