3話 病気
「にしても広いな~、さすが辺境伯様ってところだな」
俺は姉のことを聞くために執事長を探しに来ていた。
そしてこのお屋敷は本当に広い、俺が子供っていうのもあるのかもしれないけど………
記憶がなければ本当に迷いそうだな。
そうして俺は執事長を探していたらメイドっぽい人を見つけた。
「すいませーん、執事長はどこにいますか?」
俺が呼びかけるとメイドさんは俺に一礼をして
「はいクリストフ様、執事長に何か御用でしょうか?」
「えーと、少しお話をね」
俺が苦笑いを浮かべながら言うと、メイドさんは
「かしこまりました、執事長を呼んでまいりますので少々お待ちください」
「わかったよ、お願いします」
そう言うと、メイドさんは足早にかけていった。
「大変お待たせ致しました、どのようなご用件でしょうか? クリストフ様」
そう言って出てきたのはいかにもできる執事っという感じの人だった。
「すいません、ここでは何なのでお部屋で話しませんか?」
「かしこまりました、それではこちらの部屋にお越しくださいませ」
そう言って俺たちは部屋に向かった。
「それで私にお話とはなんでしょうか」
椅子に座って向かい合って俺たちは座った。
「単刀直入に聞きます、私の姉についてです」
「……」
おれの言葉を聞いて執事長は目を見開き固まっている。
おかしかったんだ、記憶には姉さんの事は黒魔病という不治の病にかかっているとしか知らなくてもなぜそうなったのかいつからそうなったのか、というか姉の顔の記憶までなかったんだ、これは何かあると思う、姉が苦しんでいるなら家族としてできる限りのことはしてあげたい、家族がいなかったからこそ家族の大切さを一層大事にしていきたいと思っている、それにお父様は姉さんまでいなくなったらどうなるのか………ただでさえお母様が亡くなって………まぁそれは置いておこう、今は姉さんのことだ。
「執事長?」
俺が言葉をかけると執事長は、ハッとして
「申し訳ございません、そうですかアリス様のことですか………」
執事長は一度考え
「そうですね、クリストフ様にもアリス様のことは、話しておいたほうがいいのかもしれません、お話いたしますクリストフ様」
「ああ頼む」
執事長は一度頭を下げると話し始めた。
「アリス様は旦那様の第一子として生まれました、アリス様は本当に元気で見ているこっちまで笑顔になるような人でした、それでアリス様が五歳のころです、アリス様の体に黒い模様が出たのです、そしてアリス様は高熱が出てそれからは元気だったアリス様はどんどん弱っていきました」
「お父様は何もしなかったのですか?」
俺は強い口調で聞く。
「もちろん旦那様はたくさんの医者や回復士にも見てもらいました、そして言われたのです黒魔病と、黒魔病は体に黒い模様が出来てどんどん生命力が吸われるように黒い模様が広がり死に至るという病気です」
執事長は俯きながら言った。
「治る方法はないんですか?」
「アリス様を見られた方は皆治るのは不可能に近いと、しかしある回復士が言うには高位の存在、それこそ天使の力を使える者ぐらいだったら治せるかもしれないと言っておりましたが天使の力を使える方などいるはずもなく、今に至るということです」
天使なら治せるかもしれない? え!?
「天使なら治せるのかもしれないのですか!」
食い気味に俺は聞いた。
「え? ええ、そうおっしゃられておりました、しかし天使の中でも回復の力を持つものしか治せないらしいですが………」
そうか可能性があるのか………それなら使ってもいいのかもしれないなエクストラスキル『天使召喚』を………
「クリストフ様?」
執事長は不思議そうにこっちを見ていた。
「いえ、何でもないです。 それよりお姉さまに会うことはできますか?」
「アリス様に!?」
「お願いします、どうか合わせてください。 お姉さまに会っておきたいのです」
執事長は少し考えていたが、やがて根負けしたように
「わかりました、こちらにお越しください」
そういって俺たちはお姉さま部屋に向かった。