ちょこれいと
R-15は保険みたいなものです。
それでは、どうぞ。
2月14日。
そう、バレンタイン。
ちょこれいと、渡したい人がいる。
隣に住むあの人。
気になっている人。
ワタシの事、受け入れて欲しいから――
▪▪▪
「先日、隣人に睡眠薬入りのチョコを食べさせ、殺害をした女性を現在も警察が追っています――」
朝から、このニュースばっかりだ。
世の中、こういう狂気的な人物が居るのは本当に物騒だと思う。
……と言いたいのだが、このニュースを見ている俺も似たような事が実はあった。
あれは俺が中学の時だ。
転校してきたとある少女が居たのだが、彼女はちょっとした癖があった。
それは―言い方は悪いと思うが―「一途が過ぎる」のだ。
後に、幼い頃に養子に出されたらしく、「愛情」の感覚が妙に歪んだと聞いた。
その感情が、俺に向いたらしく「睡眠薬を混入させた食べ物」をよく渡してきた。
最初、食べてしまい……間一髪の所で先生に助けられた。
……どうやら、彼女を担当したカウンセラーの先生によれば、昏睡状態に陥れる事に「愛情」が芽生えると言っていた。
それから、彼女はまた転校した。
以降、何の音沙汰も無かったが……
「……ここで、最新の情報が入ってきました。最初にお伝えした殺人事件の容疑者が逮捕、逮捕されました。……被害者の隣に住んでいたとされる、職業不詳、26歳の――」
名前を聞いた途端、俺は血の気が引いた。
そう、あの時の彼女だった。
▪▪▪
それから、彼女は……留置所で自ら命を絶ったと聞いている。
遺言書も無く、弁護士も分からなかったらしい。
妙な縁の話だった。
……何だか、背中が寒いような感じがする。
『ねえ、ワタ……シ……を……あ……い………し……て……?』