死んでしまうとは情けない②
段々と意識が遠くなっていく。
どうすることもできない。
「ああ、もっと見せてくれ!! どうしようもなく、絶望することもできずにただただ死という運命に流されていく……君の最期を私に見せてくれたまえ!!」
ああ、うるさい。
そんなに近づくなよ。
耳元で大声を出されて、頭が痛い。
(悔しい、な)
何もできなかった。
何が起こったかすらもわからない。
何のために僕は空手を習っていたんだろう。
趣味か?
それとも殴るのが好きだっただけか?
違う。どっちも違う。
身体を動かすのは好きだけど、友達と一緒に野球をする方が好きだ。
殴るのなんて嫌いだ。殴ったときの相手が苦しむ顔を見たら、力が抜ける。
ならば、なぜ……苦しいことを続けていたのか。
(ヒーロー……に、ヒーローになりたい)
漫画の中の主人公。存在にあこがれた。
影響をすぐに受けて、トレーニングしたり漫画の中の技を試してみたり……。
みんな、みんな漫画の中は口を揃えてこういっている。
『諦めなかったら、夢はかなう』
そうだ。諦めたらそこで終わる。
終わらせたくないから……諦めない。
今こそ、今だからこそ諦めないことが大事じゃないか。