冒険者としての...3
試験するみたいです。
闘技場のような広間の壁面には、多種多様な武具が置いてありゲイルが言うには、ここで冒険者同士の戦闘訓練をしたりしているそうだ。
広さはかなりあって、学校の体育館ほどのものであった。
「さあ!使いたい武器を手に取って、始めよう!」
「わかりました」
げいるに返答をして、武器を選ぶ。
だがケンは、あらかじめ使用する武器が決まっていたかのように、すぐに得物を決めたのであった。
ある程度取り回しのしやすい、ミドルサイズの剣であった。
「ソードにするのか?」
「はい、これで、、」
なぜケンがほかにもある、槍や弓を選ばなかったというと、、、スキルである。
ケンが所有しているスキルのなかで、およそ武具を扱うスキルが{剣術}スキルのみだったため、念のために、ケンはソードを選んだのだ。
「それで、どうすれば、、?ゲイルさんと戦うんですか??」
そう言うとゲイルのもとに歩み寄った。
「いや、違うさ。まぁそれでもいいのだが、純粋に力を見てみたいのもあるからね!もしケンのステータスが本物だとしら、私との戦闘では、ケンが手加減せざるを得ないだろう?だから、今回はただ純粋に力を見せてもらおうと思っている。」
なるほど、まあ確かにこれほどに数値に差がある状態では、それが正論なのかもしれない。まだ戦闘をしたことがないケンにとっても、加減などは全く分かっていないため。この方が安全だなと思い。
(ゲイルは意外と冷静に物事を判断できる人だな)
そうかんがえていた。
ゲイルは、先ほどの会話の後、壁面にあったフルプレートを着せたマネキンのようなものを、軽々ともってきた。
一目見て、かなりの重量物であろう物を軽々と持ってくるゲイルを見て、ケンにも、
{この人、かなり強いんじゃ、、?}
そう思わせるに十分な情報だった。
「これは、王国の騎士団が着用している、平均的なフルプレートである。これを相手にしてみてくれ!」
「これを切ればいいのですか?」
「はっはっはっはっは!!!まさか、鉄製のフルプレートがきれるわけないだろう!中に衝撃の威力を図る装置がしこまれていてな?それが威力を数値にして出してくれるのだよ!」
なるほど!とケンはおもいながらも、少し笑われたことに対して恥ずかしさが隠せなかった。
「よし、やってみてくれ。」
そう言うと、ゲイルは少し離れた所で見ているエリーとマリアの隣まで移動した。
(さて、、どうするか。)
ケンは、剣を握ったときに重さがほとんど感じられないことをだまっていた。
(たぶん、ちからがすごいのかな、、、?)
そう思いながら、どのように切り込むかを考えていた、が、剣に至っては全くの素人であるケンが出した答えは、実に単純なものであった。
右上から左下に、ただ思い切り振りぬく。
であった。
気持ちが固まると、対象物から一歩半ほどの距離で構えた。
(よし!!!!)
そう、心の中で呟くと同時に、思い切りケンを振り下ろした。
「シュッっっっ!!」
風切り音のようなものだけが、かすかに聞こえた。
ケンは
(あれ??)
と変な違和感を持ったが、テクテクとゲイルのもとへ歩き出した。
「ケン?どうしたんだ??」
「あの、終わりました。」
そう言うとゲイルの隣まで歩いて行った。
「いやいや、なにをいっているんだ?」
そう言うとゲイル、エリー、マリアの三人は困惑していた。
ゲイル達の困惑する気持ちもわかる。何故なら、けんが剣を振りぬく動作が見えていなかったのである。
たらに、的になっているフルプレートにも何ら状態の変化がなく、それなのに、ケンがこちらに引き上げてきたからだ。
ゲイルは、的の方に走っていき、フルプレートの状態を確認しようと、手を伸ばした瞬間!!!
「...ズ..ズ...ズズズズ......ドンッ!!!!!!」
剣が通ったとされる、右上から左下を切り口にして、滑り落ちるように上半身が地面に落ちたのである。
切り口はかなり鋭く、とても常人にできるレベルをゆうに超えていた、、。
「、、、、、、、、、、、、、。」
少しの間場内に沈黙がおとずれた。
ケンは、どうしたら良いのかわからず、エリーとマリアの方に助けを求めようと。顔を見たが、二人共
驚き、目口を開いたまま、微動だにしていなかった。
ケンは恐る恐る更にゲイルの方を向くと、少し遠目でもわかるほど、身体を小刻みに震わせていた。
しばらくたった沈黙の後、ゲイルが恐る恐る口を開いた。
「う、、、そ、、、だろ、、、。??」
かすかに聞こえた。その声は、若干の震えが混じっており。ゲイルの驚きを隠せない様子を把握するに簡単だった。
「あのー、、、それで、、、テストは、、」
ケンも、半ば{やってしまったなこりゃ}といった気持ちを抱きながら。
オドオドと周囲をキョロキョロと見まわしながらたずねていた。
ゲイルがこちらに向かってあるいてくる。
ケンは、何とも言いようのない緊張に包まれていた。
ゲイルがケンの前で足を止め。大きくそれで深いため息を一つつき、顔を上げた時。
その顔からはとても真剣な表情である、ということが見て取れた。
「ケン!おまえの力は、ほんものだ。」
計り知れないケンの実力を目の当たりにして、{納得}した様子で、言い放った。
「良かったです、でも、かなり手加減してしまいました、、。切れるか不安だったのですが、、。まあ、無事に終わったのでよかったです。」
「手加減、、、だ、、と、、、、?」
そう言うと驚愕を隠せないゲイルに対しケンはニコっと笑ったのであった。
思い切り振りぬこうと考えていたケンが何故急に手加減をしたのかというと。
構えから振り下ろそうとした時、思い切り振って、建物の損壊のことをのことを気にしたからである。
もし、切れてしまうのが的のみならず剣閃のすべてであった場合、建物やこの先にある人々を傷つけてしまうかもしれないからだ。
そのことが、一瞬頭をよぎり、ケンは瞬時に力を抜いたのであった。
「やれやれ、、、図り知れんな。。。」
そういうとゲイルは頭を二度三度横に振った。
だが、げいるはすぐにケンに笑いかけ。
「これからは冒険者だな!」
そう言ってケンのかたをポンポンと叩いていた。
ケンは、安堵の表情を浮かべていた。
「すまんが、もう一度部屋まで皆ついてきてくれ。」
そう言うと、先ほどまでいた自室に皆を案内した。
それぞれ皆が席に着くと。ゲイルが話し始めるのであった。
「結果を見てだが、やはり、ランクに悩む。何故なら強さは数値を見る限り確実と言っていいほど、この世界で一番の存在であるだろう。だが、ギルドで仕事をこなすとなると、話が変わってくる。強さだけ見たらプラチナのランクを与えないといけないのだが、仕事内容には、いかんせん複雑なものもあるからな、、、単に討伐系の仕事であれば、強さに依存したものでもいいとおもうが、護衛や伝達といった仕事内容になってくると、依頼人との関わりを重要視されるのも事実だからな。」
そう言うと、ゲイルはまた頭を悩ませていた。
このことに対しケンは、やはりギルドマスターは伊達じゃないんだな、、と実感していた。
「あの、、、ぼくは、一番下のランクから始めたいと思っています。ギルドマスターの意見ももっともだと思いますし、それに、いきなり飛び級で上のランクからのスタートになることによって、ほかの冒険者から反感をかっても嫌ですので、、。」
さらにケンは続けた。
「出来れば、、一番下のクリアのランクから始めさせて貰えませんか??力はあったとしても、仕事に関しては素人なのですし。これまで無職だったので、やはり、自分の力でゆっくりと覚えていきたいと思いますので、、。」
「こちらとしては、ありがたい話だが、、本当にいいのか??プラチナの討伐系の仕事だけをこなすという手もあるんだぞ??報酬もかなりのものだぞ??」
「大丈夫です、一つの事だけに捕らわれるような仕事の仕方は望んでませんので、それに、僕は冒険者になってこの世界を自由に見て回りたいんですよ。」
ケンは、そう言うと屈託のない笑顔で堂々とげいるをみていた。
げいるもその心意気を気に入ったのかすぐにこたえをだした。
「わかった、ケンがそういうのなら、それでいこうではないか!!これからよろしく頼むぞ!!」
そう言うと、すっと差し出したゲイルの手をしっかりと握り絞しめたけんであった。
「それと、、エリー!マリア!このことは他言無用とする!わかったな!ケンの強さ等のことは一切ケン自身いがいから口にしてはならんぞ!!、、、クリア、まとまったのでケンにギルドの証明書を発行してやれ!。」
「「はい!!かしこまりました!!」」
ふたりはしっかりと返事をして、ケンに向かってニコっとほほえんだ。
よし、冒険者としてのスタートだ!!!!
そう心の中で意気込んだケンの心の中は、どこか清々しい気持ちに満ち溢れていた。
なんかいろいろ決まったみたいです。
次のはなし、、、かんがえます。