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第9話:始まりの日(高橋)

「あーーーあぁ。今日も暑いなぁ。」


夜の道路工事の警備の仕事を終えた高橋は、郊外のショッピングセンター:イコンにいた。


朝9時までの仕事を終えると、アパートには帰らずにイコンで休んでいた。


この暑い中冷房をつけなくては死にそうなので、扇風機しかないアパートにはいられない。


イコンのソファで寝たりスマホをいじったりしながら、涼しくなる夕方まで過ごすのはいつものことだった。


のどが渇いたらフードコートの水を飲み、食事は前日に買っておいた半額シールのついたパンを食べる。


イコンの従業員から目をつけられてはいたが、追い出されたことはないので気にすることもなかった。




「しっかし世界はいつ滅ぶんだろうなぁ?隕石でも落ちてこないかなぁ?」


スマホでシューティングゲームをしながら、独り言をぶつぶつつぶやいている。


買い物をした人の休憩所なのでソファがいくつかあるが、そんな高橋を気味悪がって誰も近くには寄ってこなかった。


「あぁ、くっそぉ。」


ゲームで負けたのか、叫びながら肘掛に拳をぶつける。


少しはなれたところを歩いていた買い物客は、大声にびくっとしながら係わり合いにならないように足早で去っていった。


「ちっ。イラつくなぁ。」


舌打ちをしながらスマホをいじる。


このままだとむかつくあまり、スマホを投げてしまいそうだったので精神を安定するためのいつもの手段をとることにした。


スマホの画面でゲームを閉じ、写真を開く。


開いた写真には、小学6年生のときの娘が写っていた。


どうにか娘の卒業式だけでも参加させてくれとお願いをして一緒に撮った写真だ。


そのときに、元嫁と喧嘩になりつい手をだしてしまい接近を禁止されるようになったという経緯があった。


写真は高橋の宝物であり、見るたびに心が落ち着くので精神安定剤の役目を担っていた。


「はぁ~~かわいいなぁ。僕の娘は最高じゃないかぁ。

あのクソみたいな嫁からこんな天使が生まれるなんて、僕のDNAはとても優秀だったんだろうねぇ。

あぁ、会いたいなぁ、会いたいなぁ。」


気持ち悪いことに、会いたいなぁといいながらスマホの画面にキスをしている。


ある程度ちゅっちゅしたら満足したのか、写真を閉じツィッターを開く。


ある名前を検索する。


自分の娘のツィッターが更新されてないかどうかの確認をしている。


娘の行動を追うために、ツィッターだけでなく娘の学校から娘のクラスメイトのツィッターまで常に見ている。


6年間自分の娘に直で会ってはないが、最近なにをやっているかなどはツィッターに上がっていたので知っていた。


友達と遊園地に遊びに行った写真などもツィッターに上がっているのですべて保存していた。


高校生になってからツィッターをはじめたようなので、中学のときの写真がないことはとても残念だった。


なお、身元がばれないように高橋自身は正太郎の写真を使い”正ちゃん”という名前でツィートをしていた。


ツィッターで娘を見つけたときは、歓喜の涙を流したことも覚えている。


娘の通う高校がわかったので、隠れて会いに行ったことももちろんある。


しかし、元嫁が学校に何か言ったのか、元嫁が常に車で送迎をしていた。


3日ほど元嫁と娘が今住んでいる家と学校を張っていたが、娘が一人になるチャンスがなかった。


元嫁を排除して会おうかとも考えたが、次に警察が介入するとめんどくさいかもと思いあきらめた。


ならばいっそのこと学校に忍び込んでやろうかとも思ったが、お嬢様学校のようでセキュリティが厳しく断念した。


(うーーーん。今日はまだ更新してないなぁ。

夏休みで学校ない所為か、更新が少ないなぁ。

それに最近写真上げてないからなぁ。さびしいんだよなぁ。

いっそ、また会いに行ってみようかなぁ。

そういえば、明日は登校日って同じクラスの子がつぶやいてたなぁ。

仙台はちょっと遠いんだけど、かわいい我が娘のためならありだなぁ。)


会いにと言っても、双眼鏡越しに学校を覗くという普通に通報ものの行為である。


高橋は数秒悩んだ末に、今日の夜から車で仙台に向かうことに決めた。


明日は仕事が休みなので、娘を朝から見守ることにした。


明日の計画にうきうきしながら、ほかの人のいろいろなツィートを覗きはじめた。







『やぁやぁ、日ノ本のみんな。こんにちは~。』


「はぁ?なんだぁ?」


変な声が聞こえたのは、高橋がツィッターに飽きてパズルゲームをやっていたときだった。


誰かが自分に話しかけてきたのかと思い、辺りを見回すが近くには誰もいない。


ちょっと離れた店の奥に店員がいるのが見えるが、その店員も不思議そうに辺りを見回している。


『周りを探しても、私はそこにはいませんよ~。みんなの頭に直接話しかけていますからね~。』


(なんだこりゃぁ?幻聴かなぁ?う~ん寝不足だったかなぁ?)


『ん~~~。お、これでみんな聞ける状態になったね。

いやね、日ノ本のみんなに声を聞かせるのは、初めてじゃないんだけどね。

昔とは違って人がいっぱいだからちょっと手間取っちゃったよ。』


(はいぃ?まじなにこれぇ?え、みんなに聞こえるってなに、なにぃ?)


『あ、みんなの声もこっちに聞こえているけど、めんどくさいから返事はしないよ~。

お前は誰だ、神なのか?宇宙人なのか?とか私のことを聞きたい人が多くて困っちゃう~。

私のことに興味津々みたいだけど、みんなの困った顔とか好きだから~~~教えない。キャハハハ。』


キャハハハという笑い声が聞こえると、鳥肌が立ち冷や汗が出てきた。


(そう、そうだよぉ。もしかしてこの声って宇宙人じゃないぃ。

か、火星人だよぁ。

まえに、正太郎君が

『火星では核戦争があって、生き残りは地下で暮らしている。それはレムリア文明の祖でありカタストロフィが…』

なんとかかんとかって言ってたしねぇ。)


『はははぁ~~~。話が中断しちゃったね。ごめんね~。』


今までは声だけが聞こえていたが、黒い人型のようなものが片手でごめんしている姿が脳裏に浮かんだ。


(火星人って蛸みたいで触手がいっぱいじゃなかったのかなぁ?)


『んで~本題なんだけど。最近の君たち、輝いてないよ。』


(???)


『私はね~、それなりに昔からみんなのことを観てきたけれど、最近のみんなが一番残念。

輝きが足りない。人がいっぱい増えたから、もっと輝く存在が増えるかと思っていたのに、全然そんなことなかった。

むしろ、人が増えるにつれ、輝く存在が少なくなっていくのが不思議だよ。何故なんだろう?』


(輝くって何だよぉ?レムリア文明の超科学っていうやつで、火星からずっと見ていたっていうのかなぁ?)


『輝く存在を観るのが、私の趣味なのに~。

このままだと輝く存在がいなくなってしまうと私は感じたのですよ。

これはまずいと、私の大事な趣味がなくなってしまうのでは?と考えたんですよね~。

そこで私の鋭敏な頭脳は、解決策を思いついたんですよ。』


(火星人の趣味ってなんかよくわかんないなぁ。

ていうか、火星人の言葉がわかるってすごいねぇ。

火星って日本語通じるんかぁ、まじすごいねぇ。)


『お、みんな、気になっているようですね~。

私の解決策が何か、教えて欲しいようですね~。

うーーーーん。どうしよっかなぁ~。教えようっかなぁ。

みんなが気になっているようだから、あえて教えないで突然はじめたほうが面白いかもなぁ。悩むなぁ。』


(なにをはじめるんだろうなぁ?火星人も悩んだりするんかぁ。)


『うーん。…よ~し、決めた。ここは多数決だぁ。

私の計画[またみんなで輝こう]の詳細を教えて欲しいという人が8割超えたら教えてあげる。

さぁみんな、教えて欲しい人は、肉体を使ってもよし、心の中でもよし、手をあげて。』


(いきなり多数決ってなんだぁ?

よくわからないけど、とりあえず手をあげとこうかなぁ。

火星人が攻めてきて宇宙戦争とかになったら怖いしねぇ。)


右手を上げると同時に周りを見てみると、見える範囲にいる店員と客全員が手を上げていた。


(まぁ、そうだよねぇ。この火星人の声だけですんごい恐怖を感じるもんねぇ。

逆らったらどうなることやらっていうやつだしねぇ。)


『お~~~。手を上げてる人が9割超えているよ。

すごいねぇ。私の計画[またみんなで輝こう]は、大人気ですね~。

こんなに賛成してくれる人がいるなら、成功間違いなしじゃないですか。うれしいですね~。』


(つうか、手上げなかったやつがいるんかぁ。

こんな怖いのには、従順に言うこと聞いといたほうが懸命なのにねぇ。)


『じゃあ教えてあげますね~。

簡単に言うと、みんなに輝きを取り戻してもらうために、この私が一肌脱ごうかと~思ったんですよね~。』


(はいぃ?意味わからないわぁ。輝きっていったいなんなのかなぁ?)


『これから詳細を教えてあげますよ~。

私は優しいですからね~。

ただ、私って自分で言うのもなんですが、ちょっと意地悪なんですよ~。

というか、私の言うことに賛成しない人には、日ノ本に変わっておしおきよ!って感じですかね~。』


(ここは、火星に変わってお仕置きよ!なんじゃない?)


『というわけで、さっき手を上げなかった人たちはここまで~。

計画の内容は教えてあげませんから~。

誰かに聞いても、理解できないようにしとくからね~。

私の言うことに賛成しなかったからしょうがないよね~。

これからつらいだろうけど、がんばってね~。』


(理解できないようにしておくってどういうことかねぇ。

がんばってって、なにをがんばるのかなぇ。)


『あ、でも自分で言うのもなんだけど、私って優しいんですよ~。

というわっけで、手を上げなかった人たちにも計画を知る方法を教えてあげるよ~。

一言で言うと、私の選んだ存在のうちの誰か、もしくは上位100人のうち誰かを倒せ!っていうことだよ~。まぁ、意味わからないだろうけど、そんな感じです~。』


(倒すってなんなのかなぁ?

選んだ存在とか上位100人っていったいなんなのかねぇ?)


『じゃあ、手を上げなかった人たちの未来を祈ってぇ~。手を上げなかった人たちは、ばいば~い。』


黒い人型のようなもやが、手を左右に振っているイメージが脳裏に見えた。


なんだかよくわからなかったが、さっきの質問に手を上げなかった人たちはここまでのようだ。


ここから先は手を上げた人たちのためのものであった。


『あれあれ。あ~~~まっずいわ~。失敗しちゃった~。

計画を知る方法として誰かを倒せって教えてあげたのに~。

私の話し自体理解できないようになってるから、無駄だったな~。

いや~しっぱいしっぱい。でも~まいっか~。

こんなこともあるよね~。』


(失敗って、えぇ~?まいっかって、いいのか?よくわからないなぁ。)


『はい~。じゃあ、気を取り直していこうか~。

私の計画[またみんなで輝こう]をみんなに教えてあげようじゃないか~。

でも、ちょっと面倒くさくなってきたな~。

だから簡単なことだけ教えるね。』


(面倒くさくってどんだけぇ~。ほんといったいなんなんだこれぇ?)


『え~とねぇ。この世のすべては輝きであふれているんだよ~。

君たちは、輝いているんだよ~。僕にはそれが見えているんだよ~。

ただね、最近本当に輝きがうすいよ~暗いよ~。

ほとんど見えないんだな~これがまた。

それで~私の計画でみんなに輝きを取り戻してもらうんだよ~。』


(簡単なことって、さっきも言ってたことじゃん。)


『でね~、計画の目的はこんな感じ~。

計画の手段としては~、いろいろ悩んだんだけどやっぱ戦いでしょと思ったんだよね~。

これでも結構長い間悩んだんだよ~。大体50年ぐらいは悩んだかな~。

人がどんどん増えてったからどんどん輝くかと期待してたのに、ぜんぜん輝かないんだもん~。

まいっちゃってさ~、やっぱ輝くには戦いっしょ~という結論に達したのさ~。』


(ぜんぜん意味がわからないよぉ。しっかし火星人って長生きなんだねぇ。)


『輝きって何って声がさっきから多いね~。

仕方ないから教えてあげるけど、魂の純度のことだよ~。

魂などないとか語る科学者とかいう存在がいるのも知ってるけど、魂ってのはあるんだな~これがまた~。

で、魂の純度が私には輝きとして見えるんだけど、最近特に薄いんだ~。

輝きには夢や欲望が大きいほどいいんだけど、最近は持ってない人が多いんだな~。』


(そりゃそうだろぉ。このご時勢、夢や希望を持つ人はほんの人にぎりっしょぉ。)


『で、輝く人をもっともっと見たいんで、薄い人はちょっと処分しようかと~。

ただ薄い人でもいずれ輝くかもしれないと思うと、安易に処分するのももったいなく感じちゃってね~。

昔みたいに、人どうしが血で血を洗うような戦いをして、切磋琢磨してもらおうというある意味親心~。

そうすれば、薄いのはいなくなって輝くのが増えるかなと思ったわけ~。』


(処分するって?血で血を洗うってぇ?)


物騒な言葉が聞こえてくるたび、血の気がどんどん引いていく。


謎の声がどんどん高揚していき、だんだん声が大きくなっていってるのを感じる。


『で、いきなり戦うってのは現代っ子には無理っしょ~。

そこで私が考えたのは、2つの方法~。

1つは、動物や植物などにもがんばってもらうということ~。

動物や植物などにも輝く存在は、今までにもいっぱいいたんだよね~。

ただ、食欲とか生存欲で輝いていたけど、夢で輝く個体はいなかったんだよね~。

だからどうしても、知性ある存在を贔屓していたところもあったんだけどね~。

魂の輝きで動物や植物に負けてる現代っ子って存在する意味あるの~?

というわけで、動物や植物にも魂の階位をあがってもらおうかと思います~。

まぁ、階位をあげるのは初めてなんでどうなるかわからないけど、今より楽しいことにはなるんじゃないかな~。』


(………)


『もう一つの方法が、私のコレクションの開放だな~。

特に輝いていた魂は、コレクションとして結構集めているんだよ~。

まぁ、手元にずっと置いとくとだんだん輝きは薄くなるので、あきたら捨てたりしてるんだけどね~。

そんなコレクションの中から、100個ほどを適当に選んでそちらに送ろうかなと思ってるんだ~。

昔すっごく輝いていた魂ばかりだから、現代っ子も絶対影響受けて輝きが激しくなると思うんだ~。

ただね~、100個も肉体を創造すんのめんどいんだよね~。

誰か私の肉体はもう要らない使って~みたいのいない?』


(おいおいおいぃ。なんだよぉこれはぁ?

何かに取り付かれるっていうことだろぉ?

マジで怖いんだけどぉ。)


『わ~びっくりだ~。

死ぬってこととおんなじだよ~。わかってる~。

こんなにいるなんて思わなかったな~。

そうだな~。じゃあ、半分ずつにしようかな~。

50個は全盛期の肉体で適当によみがえらせて、50個は”使って~”で手を上げた人たちに適当に憑依させるね~。

…はい、かんりょう~。

おぉ~~~、いいねいいね~。

楽しくなってきたよ~~~。

いろんなアイデアがどんどんわいてくるね~。

次はどんなことしようかな~。

悩むね~、じゃあね~、ばはは~~~い。』


(えぇ、これで終わりぃ?突然すぎて何がなんだかわからないんだがなぁ。)


頭に響いていた声が消えると同時に、脳裏にイメージされていた黒いもやも消える。


(その…魂を輝くってのをするために何すればいいんだぁ?

どうする、どうする、どうするぅ?

まぁいいや、娘の写真でも見て癒されるとしようかなぁ。)


一方的にいろいろ言われたうえに説明をしていたようだが、何をすればいいのかよくわからなかった。


とりあえず考えることはやめて、スマホで娘の写真を見て癒されることにする。





『おおっと~。忘れてた~。』


再び謎の声が聞こえてくると同時に、脳裏に黒い人型のもやが浮かぶのが見える。


『そういえば、君たちも階位の上限を解除しておいたからね~。

魂の階位が上がると、いわゆる超能力のようなものに目覚めることがあるからお得だよ~。

いったいそれは、どういうことかって~?

簡単に言えば、レベルアップすると魔法が使えるって感じだと思えばいいと思うよ~。

どんな超能力的なものに目覚めるかは、人によって違うだろうけどね~。

強靭な肉体を持つかもしれないし、自然現象を操れるかもしれない。

心を読めるかもしれないし、相手の身体に干渉できるようになるかもしれない。

魂によって違うだろうから、ぜんぜんわかんないけどね~。』


(ほんとかぁ。そんなものに目覚めりゃ、人生一発逆転なんじゃないのぉ?

ユーチューバーってやつで稼げるかもしれないし、犯罪だって何でもできちゃうんじゃぁ?)


『そう、これは君たちの人生をよりよくするための救済策さ~。

魂の階位が上がり輝くようになれば、君たちの人生はもっと楽しくなれるだろ~。

さぁいけ、さぁがんばれ、輝く明日は君たちを待っているよ~。』


(っていわれても、どうすりゃ階位ってやつが上がんのかなぁ?)


『とまぁ、基本的に魂を磨いて階位を上げてもらうしかないんだけど~。

今回は特別に裏技をご用意いたしました~。

さっき手を上げなかった人たちがいますね~。

つまり、今の私の話を聞いていない人たちが、なんと1528人もいるんですね~。

基本的に慈悲深い私なのですが、逆らわれるとちょっとむっとしちゃうんですよね~。』


(人数までわかってるってすごいねぇ。火星の技術は一味違うってやつかねぇ。)


『そこでその方たちには罰を与えようかと~。

この計画がわからないってことも罰なんですけど~。

それよりももっとひどい罰を、そしてこれを聞いている人には恩恵を~。

ってことで~、1528人の誰かを倒せば、強制的に階位が一段階上がるようになります~。

やったね~、チャンスだよ~。』


(倒すって、どういうことだぁ?もしかして殺せってことじゃないよなぁ?)


『あ~~、誤解している人がたくさんいるようですねぇ。

倒せっていうのは、殺すってことじゃないですよ~。

身体的にか精神的にか、どちらでもいいので消えない傷を負わせるってことですよ~。

部位欠損とかでもいいですし、トラウマになるようなことをさせてもよし~。

方法は好きにしてください~。

その対象の1528人、仮に咎人とでも言っておきましょうかね~。

咎人からの怒りなり恨みを受けたときに、そのものの階位が上がるようにしておきますね~。

あ~なんてかわいそうな咎人さん達でしょ~。

いろんな人から狙われてしまうなんて、ほんとうにかわいそうでしょうがないですね~。

キャハハハ(笑)』


(こ、こわいなぁ。ほんきでこわすぎなんだけどなぁ。)


黒いもやが腹を抱えながら笑い転げている姿が見える。


笑い声を聞いていると、体中に鳥肌が立つ感じだ。


『キャハハハ、は~~~~~。

笑った、笑ったよ~。でも、咎人は殺しちゃだめだからね~。

罰なんだから、殺しちゃだめなんだよ~。

もしも、殺したり消えない傷によって自殺なり死んでしまうことがあったら~。

咎人の恨みなり怒りを受けたその人が今度は咎人になるからね~。

うん、そのほうがおもしろいね~。

いい思い付きだったな~、いまそう決めたよ~。

階位上げたいなら、咎人が死なない程度にうまく調整するのもがんばらなくちゃね~。』


(な、なんなんだぁ、こりゃぁ。)


『さぁ、いい具合にまとまったところで、計画[またみんなで輝こう]の開始だ~。

がんばれ~、がんばって輝いてくれよ~。

では、そういうことでまったね~~~~~~。』


(………おわりぃ?)


黒いもやが手を振りながら消えていくのが見える。


高橋は、今起きた出来事はまるで夢だったかのように感じていた。


イコンの中を見渡しても、自分と同じように呆然としている人はたくさんいたので、少なくとも夢ではないことはわかった。


(いやぁ、なんだったんだぁ、さっきのはぁ?)


夢ではないことはわかっても、自分も周囲も特に変わったような感じもしなかった。


ただ、身体はすごい疲れていた。


今にも眠ってしまいそうだった。


まぁ心配ないかと安楽的な考えを持ったまま、今日は布団で寝たいなぁと家路に着くことにした。


(帰って少し寝たら、僕の天使のとこに行くかなぁ。

明日は、写真いっぱい撮らなくちゃいけないし、朝から忙しいなぁ。)


謎の声によって、日ノ本の中では様々なことが緩やかに変化していった。


その変化も今はまだ、始まったばかりであった。




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