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虚無の地平線  作者: 白雪銀髪
序章-地平線の彼方から-教師編
3/16

3 学ぶべき常識は、法術技

【力皇歴560年】

東の地平線から来たシルヴァは、王都ユグドラの有力な貴族、ハイリッヒ家の長男ルカの家庭教師を命じられる


さて...と、まずどこから始めようか...

チクッ...タクッ...

まずはこの空気をどうにかしなければ...

チクッ...タクッ...

子供と打ち解けるなんて真似したことないぞ...ましてはこいつは...

チクッ...タクッ...


「あのー...」


「は、はい!?」


「まず、これから勉強を教えてくれる先生のために、自己紹介をしたいのですが...」


「あー、はいはい、分かった、なるほどな」


気が効いて助かるな...


「えっと、僕の名前はルカ·ハイリッヒ、父は貴族、母は、北の下民です、髪の色は、母の血を受け継いでます。」


なるほどなるほど、髪が白いわけだ。北の下民は代々髪色は白だからな


「そういうことか」


「次は、先生の自己紹介、宜しいでしょうか...?」


「ん?あ、あぁ(気が効くと言うより積極性があるといった方が正しいな)、俺の名前はシルヴァ·ヴァーミリガン、東の下民で、髪は東の下民由来の黒髪だ、これからお前の家庭教師となる、宜しくな」


「宜しくお願いします、あと僕の事はルカとお呼びください!」


「分かった、で、質問なんだがな、不躾で悪い、ルカは男だな...?」


「...よくお分かりになられましたね、僕は体つきも細くて、声も高いので、よく女の子と間違われたりするんです、一発で的中されたのはシルヴァ先生が初めてです」


「あぁ、君の父上から貰った手紙から察せたからな」


「なるほど」


「さて...正直に言うとこの空気をどうしようか迷ってたところだ、感謝する」


「いえいえ!ただ先生のために出来ることがあるかなっと考えてたので...教わる側はこっちなんですし、頭上げてください...」


「あ、あぁそうだな」


緊張の末家庭教師という役割と、大人と子供の区別を忘れてたらしい

自分の役割を思い出せた所で本題に移ろう...


「ルカ、まず俺がお前に教える内容、お前がこれから学ぶべき内容は、分かっているか?」


「はい、承知しています。人が生活するためや自衛、戦闘をするために必要な三大基本要素を学ぶべきだと、父から言われています」


「話がある程度分かっていて助かる、それじゃ手っ取り早くこの三大基本要素について語ろう」


この世界に置いて人が生きる上で大切な事、必ず会得しなければならない常識がある

魔術、武術、技術の3つだ


魔術は空気中に存在している、魔力、一般に【マナ】と呼ばれる物を利用して、人力では不可能な事象を顕現、変換、召喚等を行うことを指す


武術はその名の通り、剣術や対術等物理的な事象を人力で行うことを言う、強く殴って骨を折る、のように


技術は人が生きる上で最低限出来なければいけないことを指す。中には礼儀や作法も含まれ、3つの中でも覚える量は一番多い


「これがお前に教えていく項目だ、次に、三大要素だ」


三大要素とは、法則に始まり術式を作り技術を駆使する。これを【法術技】と呼ぶ。

厳密にはもっと詳しいだろうが、ここではそう説明しておく。


まず法は、その物事によって起こり得る事象の事を指す


次に術、これは法を実現するための方法、魔法で言えば詠唱や魔法陣の書き方、武術で言えば体捌きや剣の型、生技は火を起こすための方法、食料を造り上げる方法などが当てはまる。


最後に技、これは実現方法を理解した上でそれを応用する、実技と知識にあたる。

例として、魔法には操作性と言う物が存在していて、火の玉等は飛ばして好き操る事が可能だ。だがそのためには魔力の調整等が必要で、術者の技術面が求められる事を指す。


技まで極めて初めてそれは事象として世界に顕現する。摩訶不思議な事が起きたり、天変地異さえも操る事ができる魔法師もいる。

武術も同じで、ただ立ち回りや技を覚えたとしてそれを戦闘に組み込める技術がなければいけない。

生技も同じ事が言えるだろう。


「このように、どんなに強いやつもこの3つの基本がなっていなければ、なにも出来ないというわけだ。三大基本要素の大切さは分かったか?」


「はい!」


「うむ、じゃぁ質問はないか?」


「はい!魔法の系統があるとは聞いたんですが、どんなものがありますか!?」


「...随分突飛だな、魔法については、これから組み立てる学習計画の元じっくり教えてやる、いまは我慢してくれ」


「はぁい...」


こう言うところは子供なんだな...

少し硬い印象を持ちすぎなのかもしれないな


「さて、じゃ計画を練っていこう。その前、お前は最初に言った3つのうち何れが好きだ?」


「うーん...好きですか、好きというよりかは、魔術に興味がありますね...武術は体を動かすのは苦手です。技術もあんまり好きとは思えません」


「なるほど、予想してた通りだ」


今の世界事情じゃ、武術は魔術に劣ると言われてるからな、イメージが低くても不思議じゃない

そういう俺は実は武術派なんだがな


「うん...うむ、よし、決まった、俺はお前の要望は出来る限り聞きたいと思ってる。そのために今回たてた計画もお前の好みを考えて組み立てた」


「意外と、優しいんですね、先生って」


「顔は怖いだろうが、根は優しいぞ...怒ると怖いがな」


「自分で言ってしまうのですね」


少し笑いが含む声に少々イラつく俺

だが扉の向こうから、その思いをかきけすような良い香りが漂う

どうやら様々な香辛料が使われた料理らしい


「...レー」


「ん?ルカ?」


「あ、いえ!なんでもありません、このように家に料理の香りが漂うのはご飯の時間の知らせなのです、今日の献立はカレイルスープですね」


「む...もうそんな時間か」


「僕の一番好きな料理なんですよ、作るのは王都屈指の料理人で、それはもう香りを嗅ぐだけで顔がニヤけてしまうほど美味で...!」


ルカはカレイルスープに関して説明しだした

その表情は一見好きな物を他の人に話したくてウズウズしている子供っぽさの出た喜びの顔だが

裏を返せば早く食べたいという意思が直接伝わってるような、まるで獣を想像させる興奮っぷりだった


ルカの話を聞いてるうちに俺の腹も限界を迎え、訴えかけるような声を部屋に響かせる


「あ...すいません、自分の話に付き合わせてしまって...先生も早く食卓へ行きましょう」


「...いいのか?一緒の卓についても」


「身分の話なら、父は気にしませんよ、そもそも父は下民を受け入れることを推薦しています」


「おぉ...ではお言葉に甘えよう」


このご時世に下民を嫌わない貴族がいるなんて驚きを通りこして何か裏があるんじゃないかと疑ってしまうほどだ

だがルカの目からはそう言ったものはまったく感じられなかった


ちなみに俺はちゃんとした料理というものは幼少期住んでいた東の地平線の村でしか味わえなかったため、約20年ぶりの邂逅だった

これが運命神の仕業なら、やっぱり信仰してもいいな、てか信仰します

運命神万歳

学習予定

1日目:魔術

2日目:武術

3日目:技術

4日目:魔術

5日目:武術

6日目:技術

7日目:魔術


そして1日目へと繰り返しで学習していく。


魔術は魔法史、魔法錬成向上、基礎魔術取得を主体に

武術は要望の元、体作り、剣術の型稽古、武術の型稽古を主体に

技術はベルモンド卿から礼儀や作法について教える事を義務つけられている。これに関しては執事や、メイド長に任せる事にする。


学習、訓練の1日の構成はその都度変えていくつもりだ



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