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妹クロニクル  作者: はこたそ
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山口優と運命の1日

初めまして。はこたそです。今まで何回か小説というかラノベを書いてみたかったのですが、なかなか機会がなく、そんな時ふと今回の作品を思いついたので、今度こそと書いてみることにしました。

完全に途中から自分の願望になっているかもですが最後まで読んでもらえると幸いです。

キャラ紹介

山口優:今作の主人公。ゲームが大好きな高校2年生。友達は多くないが数少ない親友がいる。

山口月菜:今作のメインヒロイン。優の義理の妹。頭脳明晰、学業優秀の超絶美少女。優は知らないが実は隠れてゲームをしている。

瀬戸大雅:優の数少ない友達。スポーツが得意。主人公とよくゲームをする。リア充。

漆葉里奈:優の初恋の先輩。実は大雅とは姉弟。


プロローグ

放課後の教室。生徒たちの他愛ない雑談が聞こえる中、一人の少年が身支度を済ませて帰ろうとしている。彼は決してぼっちではないが、友達と一緒に部活をしたり、遊ぶことにイマイチ楽しみが感じられないのだ。

そんな彼に親しげに話しかけてくる少年がいた。

「優、帰るのか?」

「あぁ、今日は早く帰ってゲームがしたい。」

「お前は本当にそればっかだな。他にやることねーのかよ」

「ないな。断じてない。」

「清々しいくらいに潔いな、お前は」

「俺にはゲームしかない。大雅はこれからどうするんだ?」

「俺はこれから彼女とデートだ。」

大雅と呼ばれた少年はこれでもかというほどのドヤ顔をしてみせた。

「これだからリア充は、、、羨ましいな」

優は恨みがましくも羨ましそうな複雑な視線を大雅に向ける。

「優はほんと弄りがいがあるな。っとそろそろ出ないとまずいな。」

大雅は教室にかけられた時計を見て慌てて身支度する。

「そんじゃまたな。あ、月菜ちゃんによろしく言っといて。」

「おう!お前もデート楽しんで来いよな。」

教室を出ていく大雅に優はそう言ったのだった。

「はぁ、騒がしい奴だ。」

そう言って教室の時計を眺めながら優はふとにやける。

(あいつまんまと騙されたな。まさか俺が教室の時計を弄ったなんて思わないだろう。いつもドヤ顔してくるお返しだ。)


山口優は友達が少ない。そして割とお茶目なだけである。

山口優。16歳。高校2年生。A型。天秤座。

そんな彼はゲーム全般が大好きである。幼いころ両親に買ってもらったゲームで遊んで以来ゲームの虜である。

残念ながらその両親は3年前に亡くなり、今は義理の妹とともに二人で生活している。


「さて、そろそろ帰るか。」

そう言って優は教室を出た。今日は特にやりたいゲームはないが、ログインしていないゲームが多く、帰って一通りログインボーナスをもらいたかったのだ。


1.瀬戸大雅とミスった目論見

「よし、待ち合わせ場所についた。えっと、、、あれ?約束より30分も早いじゃねーか。優のやつやりやがったな。」

優が学校の時計を弄っていたことに気づき、大雅は肩を震わせた。

「まぁいいだろ。ゲームする時間が増えた。」

ポジティヴに物事を考えた大雅はスマホを取り出しよくやるゲームを起動した。

(そうだ。このゲーム優もやってるし、お返しにあいつの求めてないキャラをフレンド枠にセットしておこう。)

そうして大雅は満面の笑みで優が嫌がる姿を想像しながら操作を完了する。

「これでよし。きっとあいつ今頃求めてるキャラがいなくて悔しがってるだろうなぁ。」

瀬戸大雅。16歳。高校2年生。O型。獅子座。

優の幼馴染で親友である。優とは幼稚園のころから仲が良く、大雅もゲームが好きである。が、優とは対極で社交的で友達も多く、彼女もいる。典型的なリア充である。そしてドSでもある。

「そろそろか。」

大雅は時計を確認し、手鏡で身だしなみを整える。そうして彼女とのデートに臨むのであった。


2.山口優と思わぬ展開

大雅の目論見は残念ながら外れた。

「あ、優君。久しぶり。」

校舎を出ようとする優にある女子生徒が話しかけた。

「ひゃっ。里奈先輩?ど、どうしたんすか?」

優は話しかけられた方を向き、瞬間思わず奇声を発してしまった。そこにいたのは優と同じ高校の制服を着た3年生だった。

「うん。さっき見かけたから一緒に帰ろうと思って。」

「あ、なるほど、、、ってえ?えええええええ!?」

あまりの急展開に優は戸惑いを隠せない。

「もしかして嫌だった?」

不思議そうに優の顔を覗き込む里奈と呼ばれた女子生徒。自然な上目遣いが優のハートにクリティカルヒットする。

(この人こういうことを自然にやるからずるいんだよなぁ。にしても先輩可愛い。脳内メモリに保存しておこう。)

「え、あ、いえ、いいんですか?」

「いいよ。今日友達先に帰っちゃったし。」

「そ、そうなんですか。でも彼氏さんとかいないんですか?」

(しまった!何つーこと聞いてんだ。俺は。)

自分の凡ミスに失望している優に里奈は笑いながら答えた。

「え?か、彼氏なんていないよwないないwwあはは」

妙にオーバーに身振り手振りで否定する里奈。

(え?嘘だろww里奈さんに彼氏いないとか里奈さんの周りの奴の目は節穴かよwでもいないなら脈ありなのかなー。さっきは呪ったりしてごめん。さっきの俺GJ!俺もいよいよリア充デビューできたりするのかな?)

思わずにやけてしまいそうになるのをこらえて満面の笑みで答えた。

「まじすか!なら喜んで!」

(今日はいい日だ。神様、仏様、ついでにリア充神大雅様アイラビュー)

優は心の中でこれ以上ないくらい喜んだ。今なら世界中のすべてに感謝できそうだ。

そうして2人は一緒に帰路に就くのだった。


3.漆葉里奈と明るい未来

「確か優君の家ってこの辺だよね。」

「はい。そです。」

気が付くと優たちは自分の家に着いていた。当然里奈とはここで別れなければならない。

「じゃあね。」

なぜか俯き、悲しそうに帰ろうとする里奈。

(まずい!せっかく里奈先輩と一緒に帰れるなんて激レアイベントが発生したってのに、、、こんなとこで終わりたくない!)

「あの!」

思わず声が出ていた。

(何やってんだよ!?焦りすぎだろ、俺。でもこんなチャンス滅多にないし。)

「え?なに?」

不思議そうな顔をする里奈。その表情には何か期待のまなざしがあったように見えた。

「もしよかったら先輩の家まで送っていいですか?夜道に一人っていうのは危ないですし、俺も最近運動不足なんで運動になりますし、これってお互いにwin-winじゃないですかね?」

(あぁー、もうどうにでもなれ!)

「い、いいよ。別に。」

最早自分の行動に呆れる優になぜか嬉しそうに里奈は答えた。

「え?いいんですか?」

「私も優君ともっと話したいし。あと2人の時はタメ口でいいから。」

照れながらそう言う里奈に優の残りライフが殆ど削られた。

「はい!ありがとうごz、、、ありがとう。」

あまりタメ口をしたことなかった優がぎこちなくタメらしきものをしてみる。

(あれ?タメ口ってどんなだったっけ?)

「じゃあ、行こっか!」

嬉しそうに喋る里奈の言葉に優の鼓動がさらに早まる。

「うん!里奈さんの安全は俺が守ります!」

ズキューンという効果音が鳴った気がするが、気のせいだろう。

完全に考えることをやめた優と優のふとした一言にクリティカルヒットを受ける里奈だった。


「じゃあ、また、、、」

里奈の家に着き、優は名残惜しそうに里奈先輩を見送る。

なぜか里奈も悲しそうだ。それに何かもじもじしているように見える。

暫く彼らの間に沈黙が走る。

(え?何この沈黙、、、この俺にどうしろと!?)

次第に慌てだす優に何か意を決した里奈が口を開く。

「ねぇ、、、もしよかったらまた一緒に帰ってくれる?」

「うん、いいよって、、、え?えええええっふぇうぇっふぇぇ!?ゲホッゲッホ。」

「大丈夫?」

本気で心配してくれる里奈。またも上目遣いをされ、残りライフが少ない中オーバーキルなダメージが優を襲う。

(ほんっとこの人天然とかずりーよ。)

この状況に若干のデジャヴを覚えつつも、優も意を決して答えた。

「はい!誘ってくれればいつでも一緒に帰りますよ。」

素で答えた優の笑顔に里奈の残りライフが一気に削られる。

「そっか。よかった、、、じゃなくて、気が向いたらさ、誘うからね!じゃ、おやすみ!」

「おやすみなさい。」(ってなぜにツンデレ、、、)

互いにキャラ崩壊した2人は今度こそ別れるのであった。

(そういえばこの辺、誰かの家あったよな。誰だったっけ?)

去り際そんなことをふと思い出す優であった。


4.瀬戸大雅と知られざる真実

「2人ともちょろいな。というか優も姉ちゃんも鈍感すぎんだろ。2人とも主人公主人公してるな。」

里奈の家の2階の窓から一部始終を見ていた大雅が1人呟く。

苗字は違うが里奈と大雅は姉弟である。このことを優は知らない。隠しているわけでもないがその方が面白いと思ったからだ。

「まぁ、頑張れよ。あんな直接的に言ってるのに気づかないんだからしばらくはくっつかないかなぁ。

にしても姉ちゃんも案外積極的な部分あんだな。」

そう言って大雅はふと自分のスマホを眺める。

そこには優からこんなメールが送られていた。

『里奈先輩と一緒に帰ってるなう(๑o ᷄﹏o ᷅๑)』


5.漆葉里奈と秘められた想い

「んんー。楽しかったなぁ。ふふっ。優君可愛かったなぁ。でも時々かっこよかった、、、かも」

漆葉里奈はベッドに横たわり、1人優との帰り道を思い出し、悶絶していた。

漆葉里奈。17歳。高校3年生。A型。射手座。

見ての通り、優と両想いであるが、2人とも鈍感という残念スキルが祟ってくっつく気配がない。

でも優君私が彼氏いないって言ったらほんとに嬉しそうだったな。もしかして私のことが好きなのかな?そうだったらいいけど、ないだろうな。

「はぁ。いつか私のこと『里奈』って呼んでくれないかなぁ。にしてもGJ私。たまたま優君を見かけたけど勇気をもって話しかけてよかった。今日は結構進展したなぁ。」


6.山口優と明るい世界

「はー。緊張した。胃に穴が開いたかもしれない。と言うか開いた。いや、寿命縮んだ。にしてもまさか大好きな先輩から誘われてなおかつ一緒に帰れるとは、、、幸せすぎる。にしても里奈さん感情豊かで可愛かったなぁ。にしても照れたり嬉しそうに話したりまるで俺のこと好きみたいな言動だったけど、まさかな、、、あぁ~いつか『優』なんて呼んでくれないかなぁ。また一緒に帰れないかなぁ。一緒に話しててほんと楽しかったなぁ。」


そんなことを考えているとメールが1件届いていた。内容は実に端的。『ご飯作って』送信元は妹からだった。そう。優には妹が1人いる。妹と言っても義理の妹だ。俺の母親は俺が5歳のころに病気で亡くなり、しばらく父と2人暮らしだったが、俺が10歳の時、妹の母親と再婚した。そして3年前両親は亡くなり、、、それから妹とは滅多に話さない。

俺は『りょ。待ってろ。』と打つと調理を開始し、20分後料理が出来上がると妹を呼んだ。

「ふふっ」

「ん?」

見ると妹はスマホを弄っていた。

「なぁ、月菜」

「ん?」

俺が話しかけると妹は少し不機嫌そうに顔を上げた。

「食事の時はスマホ没収な。ちゃんと味わってほしいんだ。」

「あ、返してよ兄さん」

「ダーメ。食べたら返すから。」

食事中不機嫌な態度をとっていたが食事が終わり、スマホを返すと妹はとても嬉しそうに受け取った。

「もう没収しないでよね。」

「じゃあ食事中に弄るなよ。」

「分かった。あと、、、美味しかった。いつもありがと。」

「え?なんだって?(難聴)」

「な!なんでもない!兄さんのバカ」

「なぜそうなる!?」

なぜそういわれたのか自問してみるが答えは見つかりそうにない。

俺は片づけを終えて風呂に入り、寝る準備をしてノートPCを起動する。スマホゲームはログインする気にならなかったが、オンラインゲームだけはインしておきたかったのだ。あるプレイヤーと一緒に遊ぶために。

俺はオンラインゲームにログインし、街を歩いていると案の定、ある顔なじみのプレイヤーを見つけたのでいつものように話しかけた。

「マナさん、ばんわー」

「ばんわー、カイトさん」

カイトというのは優のハンドルネームというやつだ。好きなアニメのキャラにそんな名前のやつがいた気がしたのでネットをやるときは大体この名前を使っている。

マナさんは優がオンラインゲームを始めたのと同時期ぐらいに初め、浮上時間も被ることが多く、プレイするゲームも似通っているため、ドッペルゲンガーではないかと思うくらいだ。ゲーム以外でコンタクトをとったことはないので、マナさんが女性であること以外全く知らない。こう言ってはアレだが、優は女性と話すのはあまり得意ではないが、マナさんとは男友達と居るような感覚で遊んでいられる。俺たちはファンタジーRPGゲームで遊び、気づくと夜中の3時を回っていた。

「あ、俺明日じゃなくて今日学校なんでそろそろ落ちる。」

「私もー。」

「オツカレー」

「オツー」

俺はそのあと布団に入ると今日の出来事を思い出しながら、目を瞑り、気が付くといつの間にか寝ていた。


7.山口月菜と残念な状況

「カイトさん今日もキレッキレだったなー。細かい配慮もできてたし。兄さんも見習ってほしいよ。まぁ兄さんもたまに、ごくたまに、かっこよかったりもするかもだけど。」

月菜は1人部屋でさっきのカイトのプレイと兄の態度を思い出しながらため息をついた。

山口月菜。15歳。高校1年生。AB型。水瓶座。

優の妹であり、優と同じオンラインゲームでマナと言うハンドルネームでゲームをプレイしている。

マナと言う名前はどこかの神話に出てくる名前だった気がする。

月菜は寝る準備をして明日に備える。明日はどんなゲームをしようかなぁ。


エピローグ

2人は知らない。自分たち兄妹が同じゲームをプレイしているということを。

それを知ったとき2人はどんな反応をするだろうか。

そして優と里奈が両想いだとわかったとき、2人は何を思うだろうか。

全ては誰にも分らない。

唯一つ言えることは状況が動き出した以上はもう元には戻れない。

恐らく里奈と優が急接近したのはこれから始まる地獄に絶望しないための希望なのだろう。


「完成した。遂に完成した。まさかこのゲームを完成するのに5年かかるとは、、、しかしこのゲームは完璧だ!」

深夜の中真っ暗なオフィスである男がPCを眺めにやけている。

この男こそこの後この世界を地獄に突き落とそうとしている張本人。与那覇巧だ。その表情は見方によっては悪魔に思えるほど歪であった。



最後まで読んでいただきありがとうございます。完全に主観的に書いたので、評価は皆さんがどう思うかはわかりませんが、楽しんで読んでいただけたのなら幸いです。

メインヒロインを主体にするつもりが、個人的に姉系のキャラが祟ってか、サブヒロインとのやり取りが長めになってしまいました。ラノベを書くのはなかなか難しいですね。

例えば台詞の前にキャラの名前書いて、あとあと持ってるラノベ読んでみたら書いてなかったので消してみたり、キャラの呼び方に統一性がなかったりw本当に難しかったけど。書いていて本当に楽しかったです。

できるだけたくさんの方に読んでいただけると幸いです。

ではまた近いうちにまた投稿したいと思っています。次回は今回最後に出てきたゲームが登場し、主人公たちを巻き込んでいく予定です。

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