表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛・ドール(仮)  作者: 凛子
1/1

第一章 俺と七海

宜しくです。


1988年の夏。



中学の担任からは「やめておきなさい」と忠告を受けたにも

関わらず、背伸びして自分の分を超えた高校にチャレンジした結果、

まぐれで合格、入学してしまったのだが・・・しょせんはまぐれ。

高校一年の夏休みの初日を「補修授業」で迎えることになった僕は

教師の話もほとんど頭に入らず、教室の窓から見える夏の入道雲を

ただ何となく見つめてるだけだった。


「え~1年Ⅽ組の魚津蝶六君。今すぐ職員室まで来なさい‥…

繰り返す・・・・・」


校内放送で自分の名前を呼ばれたことに驚き、つい「えっ??」と

声に出してしまった僕は、補修の先生に「行ってよし!」との

命令を受け、面倒くさそうに教室を出て職員室に向かった。


どうやら家から電話がかかってきたようである。

学校に家から電話がかかってくるなんて今までの学校生活に

なかった出来事に少し動揺と不安を覚えながら受話器に出た。


「あ、蝶六!?七海ちゃんが大変なの!!今すぐ総合病院まで

来てちょうだい!!すぐよ、すぐ!!」


「・・・え?何かあったの??っておい!」


何があったのかを聞く前に電話を切ったその相手は

僕の母親の魚津華代(41)だった。


僕は電話の内容を先生に伝えると、なぜか先生も内容を知っている

みたいで、心なしか慌てている様子だった。

先生からの許可をもらって、自転車で市内の総合病院に向かっている

最中に、僕の心は内容も把握していないのになぜか恐れと不安、

そして焦りに襲われ、自転車のペダルを親の仇のように一生懸命に

踏み漕ぎながら「七海」のことを思いめぐらしていた。


七海は僕と同じ年の幼馴染である。


七海はうちの近所に住んでいて、今は父親と二人暮らしだ。

七海が中学一年の頃に両親が離婚をしてしまい、どちらの親と

暮らすのかを決めるとき、七海は母親ではなく父親を選んだ。

七海の両親は七海が一人っ子ということもあってか、

小さいころからとても可愛がっていて、二人とも七海のことを

引き取りかったらしいのだが、七海は父親を選んだ。

そのことで七海の母親はだいぶショックを受けたみたいだが、

七海が決めたことを尊重して、そのまま何も言わず父親に七海を

任せたのだった。そんな事情を知った僕は自分の母親に


「そんなに七海が可愛いと思うんなら、なんで離婚するかなっ!?」


と少し切れ気味に母親に尋ねたことがあったが、母親はそんな

僕を見て、ただほほ笑むだけで答えてはくれなかった。

















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ