第54話
あーやっぱりか・・・
アンチモン領に入る時にお金を取られたから
ラドン領に入る前に検問みたいなのがあると思ってたよ。
ちなみにアンチモン領に入って、結構経ってる所為か
通行しようとしてる人はいないみたいだな。
まぁ今回は出るだけだし大丈夫かな?
「なんだ?お前達は?
まさかアンチモン領から出て行くつもりか?」
「そうですけど・・・」
「そうか。なら人族は1人に付き50000Gだ」
「はぁ?いくらなんでも高すぎでしょう!」
「さあな。そういう決まりなんだからしょうがないだろ。
あぁそれから妖精族は領から出ようとしたら奴隷化だ。
だから早く帰った!帰った!」
「なっ!ふざけ・・・」
ボカッ!
「レオ!ちょっと落ち着けって。
なぁ、1人50000G払えれば出て行っても良いんだよな?」
「あぁそういう決まりだからな。
だか妖精族は街に戻って奴隷化だ」
「なるほど。
でもさ。ここにいる妖精族の2人は既に
そこにいるレオンの奴隷なんだが、その場合どうなるんだ?」
「なっ!おい」
「レオは黙ってろ!」
「そうだな。私たちは既にレオンの奴隷だ!」
「そうピコ!」
「え?
おい!こういう場合どうなるんだ?」
「そんなの俺たちも聞いて無いぞ」
「奴隷は主人の所有物だから、通って構わないよな?」
「なっ!待て!
そうだ金はどうする!
金はあるのか?」
「もちろんさ!
ほらよ」
そう言ってシンはポーチから大きな袋を取り出した。
「中に入ってるのは銀貨だが
これだけあれば足りるだろう?
まぁこっちの袋に入ってるのは普段使わない方だし
額がでかいんで何重にも袋に入れて厳重にしてあるけどな」
「確かに・・・これだけあれば・・・」
「おっと待てよ!
俺達は、まだ領から出てないんだぜ!
勝手に触ろうとするなよ」
シンは袋をポーチに仕舞う。
「領から出たら渡すさ。
領境まで行って、気が変わって戻ってきたら
また入るのに金掛かりますってのは嫌なんでな」
「ちっ!
しかたがない。誰か台車をもってこい」
俺たちと兵士3人は領境まで進む。
「おい。ここが領の境だ。
さっさと袋を台車の上に出せ!」
「分かってるって・・・ほいよっと」
シンが袋を取り出す。
「これでいいな。じゃ俺達は行ってもいいか?」
「待て念のため中を確認する」
「それはいいが、さっきも言ったとおり
何重にも袋に入れてあるぜ。
どうやって確認するんだよ」
「切ってみれば簡単に分かるだろ」
「なるほど。
変な所を切ると持って帰るのが大変だから
まぁ俺が上の方を切ってやるよ」
言うなりシンが袋の上の方をナイフで切り
そのまま手を突っ込んだ。
手を引き抜き、兵士に向かって銀貨を数枚放り投げた。
「な!銀貨だったろ」
「確かに・・・
おい、金を持って帰るぞ!
お前達は台車を後ろから押せ!
俺は前から引っ張るから」
「じゃ、俺たちも行こうぜ!」
兵士達は台車を引いて戻っていき、俺達はラドン西の町へ進んでいく。
大分進んだところで
「さっきは奴隷扱いしてしまってすまなかったな」
「問題ないピコ!
あの時は、ああするのが問題がないピコ」
「そうだな。それよりも金は良かったのか?
今すぐ全額は無理だが、いま私たちの持ってる分だけでも渡しとくか?」
「ん?別に大した額じゃないから大丈夫さ」
「大した額じゃないって・・・」
「だってアレの中身、銀貨じゃないし」
「えっ!?」
「何かあったとき用にポーチに大きめの袋を何枚か入れとくだろ。
で取り出す前にポーチの中でいらない物を全部を袋に入れて
中身が分からないように袋を何重にもしただけだからな」
「でも袋を切って銀貨を取り出したよな?」
「んなもん。最初から銀貨を数枚握っといて手を突っ込んだだけだって。
だから投げ渡した銀貨の分入れたって、500Gもいってないな」
「おいおい。ばれなかったから良かったけど
ばれたらどうするつもりだったんだよ」
「そりゃ領の境まで来てんだから逃げるだけだろ」
まぁとりあえずシンのお陰で何とかなったから良しとするか。
そして俺達はラドン西の町に到着したんだが・・・
「どうなってんだ?
何で誰もいないんだよ」
「建物が壊れたりして無いし、死体どころか血の後も無いから
何かに襲われたって感じではなさそうだね」
「とりあえず中を見て回って、何もなかったら
ラドンの街に移動しよう」
結局、何もなかった。
大声で呼びかけても返事が無いし
勝手に家に入って中を確認したが誰もいなかった。
『気配察知』で確認してみたが、やはり誰もいなかった。
ギルドにも人がいなかったし、一体何があったんだろう?
俺達は困惑しながらもラドンの街を目指して進む。
「いやーレオがいて助かったな」
「本当だね」
「食べ物は魔物を倒せば、肉になるけど
さすがに水は取れないからな」
うん。そうなんだ。
ついに食べ物が無くなったんだ。
まぁアンチモン領で補給しなかったからね。
ラドン西の町までは持つ計算だったんだけど
町に誰もいなかったからな。
おかげで魔物の肉祭りです。。。
水に関しては魔法で作ってるので、とりあえず大丈夫だけど
あまり美味しくないんだよね。
というか、はっきり言うと不味いんだけれども
水がないと死んじゃうからな。
そんな食べ物事情最悪状態が続いてたわけだが
やっと、やっとラドンの街に到着だ!
でもなんだろ?
人はいるんだが、活気が無い。
というか、人が少ないな。
ラドン西の町にいた人達が流れてきてると思ったんだが・・・
とりあえずギルドに行って情報収集だな。
「あのーすみません。
なんか街の人達が少ないようなんですが何かあったんですか?」
「えっ!?
あなた達、知らないんですか?」
「えぇ!アンチモン領から来たばかりで・・・」
「アンチモン領から!?
通れるようになったんですか?
物凄い金額を要求されるって言うんで、誰も来なくなってたと思うんですが・・・」
「要求されましたけど、上手いこと切り抜けてきましたよ」
「はぁ。そうなんですか。
で、あぁ街の様子ですね。
色々と複雑なんで、順に説明して行きますね」
「まず王族が亡くなったという情報が入ったのです。
これにより貴族を裁ける者がいない状態になりました。
そして元々、妖精族を嫌っていた王都周辺の貴族たちが
妖精族を弾圧し始めたのですよ。
そして同時に領に出入りするのに金を取るようになりました。
もっとも出るのには物凄い金額を要求されるので
無事に出てきたのは、あなた達が初めてですね」
「無事に?」
「ええ、お金を払えずに逃げてきた者ばかりですから
アンチモン領の兵士に殺されかけたみたいです。
実際、多くの方が逃げ切れずに命を落としたと聞きました」
「そうですか・・・」
「アンチモン領は逃げた者達を引き渡せと要求してきましたが
ラドンの領主様は拒否しました。
ただラドン領は辺境で兵士の方が少ないので
ラドン西の町を放棄し、東側に兵力を集めています」
「それは戦争になると?」
「おそらくは・・・
非公式ではありますが、事前に妖精族を弾圧するように
中央の貴族から話があり、これも断っているようですから」
「なるほど・・・」
「ですが、中央の貴族は権力欲が強く
誰がまとめるかで揉めるでしょうし、先に西側の妖精族が領主のところに
攻め込むと思われますので、まだ時間はあると思いますよ」
「なら中央の貴族が西側を攻めてる最中に、背後から攻めるピコ?」
「それは分かりませんが、可能性としては低いと思いますよ。
東側と西側の貴族は接点がありませんので・・・」
「そうなのか。
あぁ、それと東に戦力を集めてると言ったな。
それはラドン東の街にって事か?」
「そうですね。
あそこは、ここ数年で急激に発展して住みやすくなってますし
もし中央が攻めてきても、東までだと兵站が長くなりますからね。
領主様も既に移動していますし、ここも後数日したら
食料など全て持って移動する事になってます」
中央の貴族は相当やりたい放題らしい。
それにしても戦争か・・・
どうなるか分からないけど
とりあえずラドン東の街に行った方が良さそうだな。




