第45話
「じゃあ、早速魔法で攻撃するよ」
「まぁ待つでゲス!
なんとこの船には分離機能は付いてるゲス!」
はぁ?分離機能?
このドーナッツ型の船に?
「おい!船が分離したら沈んじゃないのか?」
「たぶん大丈夫ゲス!
さっきも言ったけど、船には魔道具がついてるゲス!
最初からそういう設計だから、おそらく大丈夫ゲス!」
"たぶん"とか"おそらく"とかで
物凄く不安なんだが・・・
そもそも何で船に分離機能なんかつけてんのさ・・・
「あ、いや別に分離しなくても・・・」
「分離開始ゲス!」
止めようと思ったが、それより先に分離が始まったよ。
ドーナッツ型の船が8つに別れる。
しかも普通に包丁で切ったかのように、別れていく・・・
「このまま海龍を取り囲むゲス!
取り囲んだら攻撃開始ゲス!」
分離した船は海龍を中心に取り囲むように移動していく。
分離した時は、転覆するかと思ったけど
確かに今のところ安定しているな。
他のみんなが乗ってるのも、大丈夫そうだな。
ドーン!
なんだ!?
海龍の表面で爆発したぞ!
ドーン!ドーン!
あ、なんだ。
みんなが攻撃開始しただけか。
じゃあ俺も攻撃に参加しよう。
俺たちは海龍を取り囲み攻撃していく。
こんだけ攻撃したんだ。
そろそろ・・・あれ?
なんか全然大丈夫そうなんですけど・・・
「レ・・・ン、・・・に・・・れ!」
ん?なんか聞こえたような・・・
周りを見るとレオナが、こっちに向かって何か叫んでる。
でも周りの音が酷すぎて何を言ってるかさっぱりだな。
しょうがないジェスチャーで聞こえない事をアピールしよう。
俺は耳に手を当てて、その後に体の前に×を作る。
あ、レオナが頭の上に大きな丸を作った。
どうやら伝わったようだな。
ん?今度はなんだ?
左手の人差し指を立てて、右手の親指とそれ以外の指で挟むように摘む。
駄目だ?さっぱり分からん。
俺がキョトンとしていると
また左手の人差し指で俺を指して、右手の人差し指で海龍を指す。
そのまま右手の人差し指で、自分の口を指して
左手の人差し指を右手の親指とそれ以外の指で挟む。
あ!あーそういうことか。
つまり海龍に食べられろと言うわけか・・・
確かに迷宮で出てきた亀は、そうやって倒したけれども・・・
またアレをやんのか?
さすがに遠慮したいんだが、倒さないと報酬もらえないしな。。。
すげー嫌だが、やるしかないのか・・・
しょうがない。まず海龍の口をこっちに向けさせるか。
この3年で色々と確認したスキルの内の1つ『魔物誘引』の出番だ!
魔物誘引:魔物の興味をさそって、自分に引き寄せる。
よし!海龍がこっちを向いた。
俺は海龍の口にダイブした。
・・・迷宮の時の亀と同様にヌルヌルしてる。
でもって非常に臭い。
ちくしょう!さっさと奥にいって魔法をぶっ放すしかない!
俺は魔法を放つ!
しゅわーーーー
ちょっ!?
魔法がぶつかった瞬間、融けるように消えたぞ!
俺は、さらに魔法を放つ!
しゅわーーーー
マジで!?
どうすんの?これ!?
中に入ったけど、意味なかったって事か!?
「ゲェーーーーーースゥーーーーーーー」
は?
あ、コポッヘさんが降ってきた。
「レオン青年、大丈夫ゲス?
突然口の中に飛び込んだのでビックリしたゲス。
我輩も頑張って後を追ってきたゲス」
「あ、大丈夫です。
それよりも、よく口の中に上手くは入れましたね」
「そこは気合で頑張ったゲス!
それにしても、どうして飛び込んだゲス?」
「いやー中から攻撃したらイケルかなって思いまして・・・」
「なるほどゲス!
で、上手くいきそうゲス?」
「それがどうも魔法を放っても、当たった時に消されちゃうみたいで・・・
どうしようかと困ってたんですよ」
「直接の攻撃はどうだったゲス?」
「え?直接?」
あ・・・
そういえば魔法で攻撃する事ばっかで、直接攻撃してないや。
「試してないゲス?
では、我輩がやってみるゲス!」
コポッヘさんが短剣を思い切り振り下ろす。
ほんの少しだが刺さる。
「このまま動かすゲス!」
コポッヘさんは顔を真っ赤にしながら、短剣を横に動かし始める。
ギャオーーーーーーー
うお!物凄い叫びだ!
これは効いてるって事だろう。
俺も剣を抜こうとして・・・
グニョングニョン
な!まわりが動きまくってまともに立ってられねぇ。。。
これじゃ剣が突き刺せねぇじゃねぇか!
俺はゴロゴロ転がりながら剣を抜こうとするが上手くいかない。
あ、収まってきた。
んじゃ、俺も剣を突き刺すとするか!
「待つゲス・・・」
「コポッヘさ・・・」
あれは海龍の血なのかな?
なんか、物凄くドロドロに汚れたコポッヘさんが・・・
剣を突き刺すと、あんなふうになるって事か・・・
ただでさえヌルヌルしてて気持ち悪いのに、余計に気分が萎えるな。
「・・・大丈夫ですか?」
「かなり気持ち悪いですが問題ないゲス!
それよりも我輩が攻撃した所を見るゲス!」
え!?もう傷がふさがってきてる。
「こいつは非常に回復速度が速いゲス!
これじゃ攻撃しても、すぐに回復されるゲス」
「でも回復するより先に攻撃しまくれば」
「外に仲間がいるゲス。
下手に暴れられると、そっちも危険ゲス」
あーそうだった。
てか、さっきのは大丈夫だったかな?
海の上だし、下手に船から落ちたらヤバイよな。
「なので速攻で倒すゲス!
そこで提案ゲス!
魔法が効かないって言ったゲスが、魔物の中で威力の高いのを発動させれば
もしかしたら効くかもしれないゲス!」
「魔物の中でって・・・
既に魔物の中ですよ」
「違うゲス!
我輩が短剣で切り裂くので、レオン青年はそこに手を突っ込んで
魔法を発動させて欲しいゲス」
魔物の中でって、まさに魔物の肉の中に手を突っ込んでって事か・・・
確かにそれなら効くかもしれないけど・・・
あまりやりたく無いんだが・・・
「ではいくゲス!」
「ちょっ・・・」
コポッヘさんが短剣を振りかぶり、そして突き刺す。
そのまま横へスライドさせていき
「レオン青年、今ゲス!」
あーもう!
俺は素早く手を突っ込んで、魔法を発動させる。
グオーーーォォォ・・・・・・
◇◇◇◇◇
俺とコポッヘさんが海龍の中から出ると、みんな船の上で待っていた。
特に誰も大きな怪我はしてなさそうだな。
んじゃ、俺たちも船の方に・・・
「臭い!」
「臭いニュー」
「2人は、こっちに来てはいけないナノ!」
やっぱりこうなるのか・・・
まぁ海だし飛び込んで、汚れを落すか。
とりあえず顔を洗おうと、海に顔を近づけると
ジャプ・・・カプ・・
「ぎゃーーーー痛ーーーーー!」
「動くなゲス!」
スパッ!
「もう大丈夫ゲス!
うかつに海に顔を近づけると危ないゲス」
この海にはピラニアでもいんの?
なんで、いきなり魚が噛み付いて来るんだよ!
コポッヘさんが、すぐに倒してくれなかったら
危うく俺の鼻が無くなるところだよ!
俺は迷宮の時と同じ様に、お湯を作り出して
俺とコポッヘさんの汚れを落とした。
落としたんだけどな。。。
まだ匂うらしい。
俺とコポッヘさんが船に乗ったら、みんな逆サイドに移動したよ。。。
ギルドに戻る道も、微妙に距離を開けて歩いてるし・・・
まぁでも、これで5000Gゲットできたな。
素材が持ち帰れればよかったんだけど、さすがにあの大きさは運べないし
固くて切り分けも出来なかったので、残念ながら依頼の報酬のみだ。
お!ノンの方も依頼が終わったのかな?
スズクとクミャも一緒にギルドに入ってきたぞ。
俺は手を振って、居る事をアピールする。
あ、気が付いたみたいだな。
クミャが走り寄って・・・
あれ、途中で止まって引き返したぞ。
「くさいー!」
「くさいです!その臭いをどうにかするです!」
あ、そうだよね。
くさいよね。。。
俺とコポッヘさんは、共同浴場に行って念入りに体を洗った。
潮風でベタベタする所為か、港町には共同浴場が大抵あるそうだ。
まぁ当然有料な訳だが・・・
それでも、その日はクミャが寄って来ず、モフモフさせてもらえなかった。
干し肉で釣ってもみても「きょうはだめー」との事だ・・・
報酬の高い依頼は無かったが、周辺で出来る討伐依頼をこなしたり
街中で出来る雑用依頼をこなしたりして
なんとか期日内に無事に追徴金を含めた税金を払う事ができた。
んじゃま、次の町を目指して旅を続けるとしよう。




