第36話
「すでに通達したので知っていると思うが、魔物の大量発生が確認された。
通常であれば約10年で1回発生する大量発生だが、今回は期間が長かった所為か
それとも別の要因があるのか分からないが、通常よりもかなりの数が確認されている」
冒険者ギルドに集まった面々は、ザワザワとしているな。
「しかし対応方法が変わるわけではないし、我々なら問題なく乗り越える事ができるだろう。
みんなは職員の指示に従って、対応をしてくれ!」
今のがギルドマスターって奴かな?
なんか偉そうな人だったし、こんな時に話をしてるしな。
きっとギルドマスターなんだろう。
「は~い。ではサポート班と討伐班に分けますよ~
まずサポート班ですが、Cランク以下の人が対象になりま~す。
それで討伐班ですが、Bランク以上の人が対象ですよ~
それぞれ分かれて説明しますので、サポート班はこのままここに残ってくださ~い。
討伐班は30分以内に準備をして、街の入口に集合してくださいね」
「俺たちって、どっちに行けば良いんでしょうか?」
「私たちがDランクだからサポートで良いんじゃないか?」
あ、レオナ達は俺と会った時と同じくDランクのままなのだ。
何でかって言うと迷宮に潜ってばかりで依頼を受けてないからだな。
本来は3ヶ月に1回は依頼を受ける必要があるらしいんだけど
魔物の素材など売る時に一定金額以上を納めると依頼を受けなくても大丈夫になるそうだ。
まぁその場合は冒険者ランクは上がらないんだけどな。
「一応聞いてきたほうが良いんじゃないかな?
王様から直接言われてるわけだし・・・」
「そうピコ。その方が良さそうピコ」
「じゃあ、俺が聞いてきますよ」
「すみません。王様に助力する様に言われて来たんですが
どちらの班に行けば良いですか?」
「ああ、ちょっと前に通達が会った人達ですね。
レベルはどれくらいですか?」
「えっと3人がLv52で、1人がLv51ですね」
現在の俺たちのLvだが
俺、レオナ、ノンの3人がLv52
フラックスがLv51になっている訳だな。
Lv30から上がりにくくなったと思ってたんだが
Lv50から更に上がりにくくなった気がするよ。
「あれ?そんなLvなんですか?
通達だと凄い薬を取ってきたって事だったんだけどな。
そんなLvだと奥深くまでいけないですよね?」
「あ、はい。薬は取ってきましたよ。
ただ強い方に行ったんムガ・・・」
うぉっ!いきなり口を押さえられた。
「たまたま偶然な。運良く手に入ったんだよ」
「そうピコ!運が良かったピコ!」
「そうなんですか?」
「そうそう。そうなんだ」
「まぁわかりました。
とりあえず全員Lv50以上との事なので討伐班の方に行ってください」
「わかったピコ!じゃあ準備して街の入口に良くピコ!」
俺は口を押さえられたまま、ギルドを後にした。
「んーんー」
「あ、すまん。すまん」
「ぷはぁ。何でいきなり口を押さえたんですか!?」
「お前なぁ。強い方に潜ってる冒険者なんて
ほとんどいないって聞いただろ?
なのに強い方に潜って取ってきましたって言ったら
色々と聞かれるに決まってるだろ」
「え?でも情報を共有しとけば、死ぬ人減るし良いんじゃないですか?」
「普通のドラゴンより弱いですって情報が出て
弱い奴らが突撃したら、逆に死者が増えるぞ!」
「他にも問題があるピコ!
私たちが強い方に潜ってるって知れ渡ったら
強い方で手に入れたアイテムを寄こせって奴が出てくるピコ!」
「あーそんな感じになるんですね」
「そうピコ!だから強いほうについては喋らない方がいいピコ!」
「レオンの場合は異常なスキルについてもだな。
わかったな!変な事を喋るんじゃないぞ!」
「でもレオンだからな。どっかでポロって言いそうだよね」
「そんな事ないよ!たぶん・・・」
◇◇◇◇◇
さて街の入口に来ましたよ。
それなりに人がいるな。
Bランク以上の冒険者って意外に多いみたいだな。
あ、兵士っぽい人達もいるな。
さて、討伐の説明なんだが非常に簡単だった。
パーティーを組んでる者は、そのパーティーで
組んでない者は4~5人ぐらいで組んで魔物を討伐する。
多少撃ち漏らしても、街に近づく魔物はサポート班が対応するので
目の前の魔物に集中して討伐をおこなう。
また街の中には治療用のサポート班もいるので
負傷した場合は無理をせず街に戻る事って話だな。
「おや少年も討伐班ゲス?」
「あ、コポッヘさん。そちらも討伐班なんですね」
「そうゲス!我輩と我輩のパーティー"ゲス野郎"は討伐班ゲス!」
「ゲス野郎ですか・・・」
「そうゲス!我輩を慕ってくれている仲間で作ったゲス!」
もっと良いパーティー名は無かったんだろうか・・・
ゲス野郎って・・・駄目だよな?
本人達が納得してるならアリなのか?
「魔物が見えてきたぞ!」
誰かが声を上げる。
なんだあれ?
地面が真っ黒でウニョウニョしてるんだよ。
数なんて分からないが、アレは物凄い数がいるんじゃないか?
「やっと来たみたいゲス!
じゃ、少年も死なないように頑張るゲス!」
コポッヘさんは仲間たちと共に魔物に向かっていった。
「よし。私達もやるとするか」
「魔法でドカンとやりたい所だけど、レオンのスキルがばれると大変なので
少し離れた所で討伐するピコ!」
俺たちも場所を移動する。
アチコチから魔法で攻撃してる音が聞こえる。
時々、叫び声みたいなものも聞こえてるが・・・
っと他を気にしてる場合じゃないな。
俺たちも魔法で魔物を倒していく。
魔法に耐えた奴も弱っているので、苦も無く次々を倒していく。
倒していくんだが・・・
どんだけいるんだよ!
俺達だけでも200ぐらいは倒したと思うんだが
全然減ってる気がしないよ!
魔法の使いすぎか、みんなもそれなりに疲労してるみたいだし・・・
数が多すぎて討伐班も徐々に押されてきてるみたいだし・・・
どうすればいいんだよ?
「危ないゲス!」
ヒュンと俺の横を矢が通り過ぎ・・・
ドサッ
後ろにいた魔物が倒れる。
「戦いの最中に考え事は危険ゲス!
疲労が酷いのなら、ここは我輩に任せて退くゲス!」
「まだっ大丈夫です」
「フッ、ここは大丈夫そうゲス!
我輩は次の所を助けに行くゲス!」
相変わらずゲスゲス言ってるけど、なんかカッコいいな。
妖精族だから外見も、かなりイケメンなのに・・・
あれで語尾がゲスでなかったら、凄い事になってるんじゃないのか?
っと、今は魔物退治だな。
はぁはぁはぁ・・・
かなり減ってきたな。
後もう少しで何とかなりそうか。
「ド、ド、ドラゴンだーーーー!」
えーーー!
ここに来て、そんなのが出てくるの!?
この辺の魔物も大分減ったし大丈夫だよな?
「俺、ドラゴン退治の援護に向かいます!」
「分かったピコ・・・」
「私たちもこの辺を片付けたら向かうよ」
なんだこれ・・・
ドラゴンの周りに冒険者がいる。
でも、それ以上に冒険者の死体が転がっている。
「魔法を放ちます!
場所を開けてください」
そう叫ぶと冒険者達は、さっとドラゴンから離れる。
俺はありったけの力をこめて魔法を放つ!
ドッカーン!!!!
迷宮のドラゴンも倒せるんだ。
これなら・・・って、え?
多少は傷ついているが健在なドラゴンが現れる。
通常のドラゴンはこんなに強いのか・・・
こんな事なら『魔力一極』も使うべきだった。
くそっ!しょうがない、もう1回だ!
あれ?視界がゆがむ・・・
ここで疲労が限界なのか・・・
ドラゴンが火を吐く。
あ、ヤバイ!直撃コースだ!
避けようにも体が動いてくれない。
「まったく、世話が焼けるゲス!」
コポッヘさんだ!
さっきといい、今といいナイスタイミングな人だ!
「ありがとうございます。おかげで助かりました」
「少年は少し離れて休んでいると良いゲス!
後は我輩に任せるゲス!」
コポッヘさんがドラゴンと対峙するのを俺は離れて見守る。
何でもいい。デメリットのあるスキルでも良いから
ドラゴンを倒せそうなスキルは全部ONなれ!
そんな事を考えていると、コポッヘさんが攻撃を仕掛ける。
「ここゲス!」
ガギン・・・
「ゲス?」
コポッヘさんの攻撃が弾かれ、ドラゴンが攻撃する。
「っ危ないゲス!」
とっさに転がって避けるが、避けたところに尻尾が迫ってくる。
駄目だ!バランスを崩してるところにアレじゃ回避できない。
このままじゃコポッヘさんが・・・
くそっ!俺の力を一時的にでも良いからコポッヘさんに渡す事が出来れば何とか避けられるかもしれないのに・・・
「危ないピコ」
あれ?俺はまともに立てないほど疲労していたのか?
とっさにノンが支えてくれた。
どうやら向こうは片付いたみたいだ。
って、そうだ。コポッヘさんはどうなった?
「ゲースゲスゲス!
これぞ火事場のゲスぢからゲス!
体が非常に軽いゲス!」
な!?あの攻撃を避けれたのか?
でも、どうやって?
いや今はドラゴン退治だな。
「ゲースゲスゲス!
これぞ秘技、ゲスの舞ゲス!」
コポッヘさんが物凄い勢いで攻撃をしていく。
さっきまで弾かれていた攻撃も、何故か今は効いてる様だ。
「あいつもの凄いぞ!」
「ああ、動きも凄いがゲスゲス激しいな」
「怒涛の勢いだな」
周りで一緒に戦っていた冒険者達がそんな事を言う。
「コレで止めゲス!
ゲスフィニッシャー・・・ゲス!」
コポッヘさんが大きく突きを繰り出し
ドスン・・・
ドラゴンが倒れる。
「ふっ、またつまらぬ物を突いたゲス!」
「「「「「「「うおぉぉぉぉ!!!」」」」」」」
「あんたスゲーよ!」
「まさかドラゴンを倒すなんてな」
「物凄い勢いだった!」
「ゲスゲス凄すぎだぜ!」
「・・・怒涛のゲス・・・」
誰かがそんな事を言った。
「怒涛のゲス?それはいいな!今日からあんたは"怒涛のゲス"だ!」
「怒涛のゲス、万歳!」
「万歳!」
こうしてコポッヘさんはドラゴンを倒した英雄として
"怒涛のゲス"という二つ名を授かったのだ!
って、何コレ?
"怒涛のゲス"・・・そんな二つ名で良いのだろうか?
「我輩に二つ名が付くとは最高ゲス!
"怒涛のゲス"・・・我輩に相応しい二つ名ゲス!」
あ、別に良いらしい。。。
とりあえず魔物大量発生の危機は乗り越える事が出来たわけだし今日は終わりだな。
まともに立ってられないくらいだし、さっさと休みたいよ。




