第14話
「おはよう。レオ」
「おはよう。父さん」
起き上がり父さんに挨拶する。
よし。体の調子も問題なしと・・・
倒れて3日間も寝たみたいだけど大丈夫だな。
「レオ、今日は何処か行きたい所はあるか?」
「うーん。そう言われても町に来たのが初めてだから
何があるのかも分からないよ」
「ああ、それはそうだな。
じゃあ旅に必要なもので買い忘れたものとかないか?}
「それも大丈夫かな~」
「そうか。なら適当に散歩でもするか」
俺は父さんと街を散歩して回った。
大きな教会らしき建物の側に来ると
「おっと、そうだ!
レオの旅の無事と、学校に入学できるように祈っておかないとな」
◇◇◇◇◇
「なんだ?またお前か」
【あれ?えっと・・・ミ、ミ、ミント様だっけ?】
「違う!ミルトだ。ミルト様!わかったか?
んで今回はなんだ?」
【いや父さんと町の教会で祈ってただけなんですが・・・】
「ああ、お前は全スキル持ってるからな。
『神託』あたりが発動したんだろう」
【なるほど】
「というか、お前。スキルの設定が出来てないのか?」
【スキルの設定?
スキルって持ってたら勝手に発動するんじゃないんですか?】
「んなわけないだろう。
そんなんだったら魔法関係のスキル持ってるやつなんて
勝手に魔法が発動して大変なことになっちまうだろうが」
【あ、確かに・・・】
【って事は俺はスキルの設定が出来てない?】
「よく分からずに、ここに来ている時点でそうだろうな」
【そうだったのか・・・】
【ちなみに設定って、どうやれば出来るんですか?】
「普通はスキル取得した時に設定するもんなんだが・・・
お前の場合は特殊だからな~。
とはいえ、まぁ設定自体は簡単だよ。
このスキルは使う、このスキルは使わないって意識すればいいだけだ。
設定してないと勝手に発動したり、発動して欲しい時に発動しなかったりするぞ」
【全く知らなかった・・・】
【あーって事は、この前のは変なスキルが発動してたって事か?】
「この前?」
俺はここに来るまでの間に変に疲れて倒れた事を説明した。
「あ~なるほどな。
おおかた『代理疲労』が発動してんだろう」
『代理疲労』なんどそれ?
俺はスキルから『代理疲労』を探す。
代理疲労:近くにいる仲間の疲労を肩代わりする。仲間だと思っていれば動物の疲労も肩代わりできる。
【うわ!なんてスキルだ・・・】
【こんな使い道のない・・・】
「何言ってるんだ?使い道なら、あるぞ!
強い奴が魔物を倒し続け、弱い奴が疲労だけ肩代わりすれば
効率よく魔物を倒していけるだろ。これはそういうスキルだ」
【あ~そういう風に使うのか・・・】
まぁ俺は使わないから
『代理疲労』の設定はOFFだ~OFFになれ~
そう念じると、何かスイッチが切れたような感覚がした気がする。
これで大丈夫なんだろう。
それにしても俺は、この町に来るまでの間
父さんや村人、馬の疲労を肩代わりしてたって訳か・・・
倒れた後も町まで急いで移動してたらしいから
『超回復』で回復するけど、『代理疲労』で疲れるから
ずっと寝ていたと・・・なるほど、納得できるな。
まぁ、だとすると別に俺の体力が少ないって訳はなそうだな。
うん。良かった良かった。
よし。とりあえず良く分かってないスキルはとか
普段使ってないスキルはOFFにした方が良さそうだな。
【あの~これって一つ一つ設定しないと駄目なんですか?】
「いや一括で設定できるし、曖昧なイメージでも設定できるぞ
例えば自分にデメリットや反動のあるスキルだけOFFにするとか
戦闘に関係するスキルだけOFFにするとかできるな」
【なるほど】
俺は早速、自分にデメリットや反動のあるスキルだけOFFに設定する。
あ~~~なんか物凄い勢いでスイッチが切れたような感覚が・・・
分からなかっただけで、色々と発動してたのが多かったのかもしれない。
【ありがとうございます。無事に設定できたみたいです】
「そうか、それは良かったな。
他には無いな?無ければ、もう行くが・・・」
【あ、なんで今回はミルト様に会えたんですか?】
【転生した時以外、呼びかけても会えなかったんですが・・・】
「転生した時は、転生神の使いが色々とやってたからだろう。
本来『神託』のスキルは教会などでしか発動しないからな。
それに私の都合が悪い時は、どれだけ祈っても発動しないし・・・」
【そうなんですね】
「よし。他には無いな?じゃあ、またな」
【はい。ありがとうございました】
◇◇◇◇◇
一夜明け
「レオ、気をつけて行ってきなさい。
何かあったら、村に戻ってきても良いんだからな」
「うん。わかった!
じゃあ、行ってきます」
俺は父さんや村人に見送られて、乗合馬車でラドンの街へと出発した。