第12話
今日は、いよいよ出発だな。
外の天気は・・・うん。晴れてる。
さすがに今日は見回りもしないので、早朝って訳でもない。
「レオ、気をつけるのよ。無理はしないようにね」
「レオがいなくなると寂しくなるな」
「うっ、ぐす、レオ君、気をつけ、ぐす、てね」
俺は母さん達やシン達に見送られて、父さんや村人達と村を出た。
ちなみに父さんや村人達は町までの買出しだ。
ここから一番近いラドン中東の町までは一緒に行く事になっている。
荷物が雨に濡れないよう幌付きの荷馬車もあるのだが、ほぼ徒歩での移動になるだろう。
俺が魔法でドンドン魔物を倒すので、毛皮が大量にあるからだ。
その所為で、1人で休憩するぐらいのスペースしか確保できないのだ。
まぁ毛皮が少なくても、魔物が出た時に備えて
村人7~8人での移動だから速度的には大して変わらないんだが・・・
「いや~ここ1年は凄い毛皮の量だべ」
「そうだな~おかげで村の蓄えも多くなったな」
売った毛皮の代金の一部は、いざと言う時の為に村共有の財産になっている。
「レオ君が魔法で倒しちまうから、かなり楽が出来たな」
「レオ君がいなくなるから、また大変になるな」
「んだな~。うっかり油断して、なんて事がないように注意が必要だな~」
そんな話をしながら、俺達はゆっくりとラドン中東の町に向う。
大体、住んでいた村から2週間ぐらいらしい。
予定では父さん達はラドン中東の町で、毛皮を売って買出ししたら村に戻るが
俺は、そこからさらにラドンの街に向う事になっている。
ラドン中東の町とかラドンの街と似たような名前が多いだろ。
俺も周辺の地理を勉強した時に驚いたよ。
この世界では《納めている領主の名前》《領地内の位置》《街・町・村》って感じで名前がついてる。
名前に位置が入っていないのは、領地の中央にある町だな。
王都もルテニウムの街って名前があるんだが、大抵の人は王都って言ってる。
◇◇◇◇◇
村を出て8日目が過ぎた。
「ぜーはーぜーはー」
やばい。徒歩での移動がこんなに辛いなんて・・・
見回りで魔物が楽勝だったし、レベルも上がってるから大丈夫だと思ってたのに・・・
『超回復』のスキルもあるはずなのに・・・なんでだ?
「レオ、あまり無理はしないで荷馬車の隅に乗ってたらどうだ?」
「いえ、まだ・・・大丈夫・・・です」
こんなんで俺、ちゃんと王都まで辿り着けるのか?
「まぁレオ君はまだ小さいからな。とはいえ・・・ほれ!」
後ろから抱えられ、俺は荷馬車に乗せられてしまった。
もっと体力をつけようと心に誓い、今は荷馬車で休ませてもらう事にした。
・・・
・・・
・・・
ゴトゴトを荷馬車に揺られながら進む。
・・・
・・・
・・・
はぁ、はぁ、はぁ・・・おかしいぞ。
休んでるのにドンドン疲れてくる。
「魔物が出たぞ!」
村人の声を上げる。
俺は荷馬車から顔を出し、魔物を確認し
「俺が魔法で」
「おい。レオ」
父さんが声をかけるのと同時に魔法が発動する。
ズン・・・