第9話
「じゃあ、もう少し近づいてから仕掛けるか。
レオ君は魔物を吹っ飛ばしたって言うから、攻撃魔法も出来るんだろ?
最初にそれを当ててもらって、怒った魔物が近づいてきた所で倒そうか」
「だな。怒ったアレは真っ直ぐ突進してくるだけだから
比較的簡単に倒せるだろ」
よし!がんばるぞ!
この前は、いきなりだったから吹っ飛ばしただけだったけど
今回は比較的余裕があるからな。
炎で燃やすか?いや火達磨になった魔物が突っ込んでくると危ないからな。
ここはカマイタチみたいな感じで、スパッと切ってみるか。
「わかりました。風を刃みたいにして飛ばして攻撃してみます」
「ん?僕が危なかった時は、ふっ飛ばしただけだったけど
そんなことも出来るのかい?」
「たぶんだけど、できると思う」
「よし。わかった。合図するからやってみてくれ!
失敗したら、魔物の攻撃に当たらないように
俺達の後ろで少し離れててくれ」
俺達はゆっくりと魔物に近づいていく。
「じゃあ、いくぞ!
3・2・1・今だ」
俺は見えないギロチンの刃が、飛んでゆくのをイメージして
行け!敵を切り裂け!
ズン、何かが飛んでいくようなのを感じ
上手く出来たと直感した。
魔物はどうなった?
すぐに魔物を確認すると・・・
あれ?おかしいな・・・
魔物が綺麗に真っ二つになってる・・・
「おいおい。魔法ってのは凄いもんだな」
「ああ、こんな距離から真っ二つだもんな」
「あれなら死亡確認は必要ないな」
村の人達はそう言うが
俺、そんなに強く撃ったつもりないぞ。
魔法って、こんなんなのか・・・
こりゃ、しっかり使えるようにならないと逆に危ないな。
下手に暴発でもしたら、簡単に死ねそうだよ。
などと考えていた。
「よし。あれだけ綺麗に真っ二つだと毛皮は厳しいが
食用の肉にはなるだろう。回収するぞ」
村の人達が魔物の回収作業をしていると
「レオ、疲れてないかい?
魔法を使うと疲れるって聞いた事があるんだけど・・・」
「あーうん。
ライ兄を助ける時は、いきなりだったから
思いっきり吹っ飛べって思ったけど
今回はちゃんとイメージする時間もあったし、距離もあったから
手加減ではないけど、思いっきりでもないから大丈夫だと思う」
「そっか。疲れてないなら良かった。
でも疲れてないからって、あちこちに撃ったりしたら駄目だよ。
それに人には絶対に向けちゃ駄目だ!」
「もちろんだよ。
俺も、まさかこんなに強いとは思わなかったし・・・」
やはり危険だと思ったのだろう。
ライ兄に軽く注意された。
その後は一旦魔物を置きに村に戻ってから、また見回りをしたが
特に魔物を発見することも無く、見回りは終了した。