人の恋愛にちょっかい出すのは止めましょう。
「彼女なんて作りやがってこの裏切り者め!」
朝、クラスメイトの田島に詰られた。一部の男子とほとんどの女子が好奇心をありありと浮かべた視線を向けてくる。
面倒な事になったなと思いながら俺は一計を案じた。
「そ、それじゃあ、一昨日にお前が俺にした告白は罰ゲームとかじゃなかったのか!?」
軽く身を引いて嫌悪感を露わにした俺に教室がざわつく。
「ちょっと待て、事実を捏造するな」
慌てた様子でツッコミを入れてくる田島を無視して続ける。
「『夕日が綺麗だね』とかキモいこと言いながらキスしようとしたのも」
「だから嘘は止めろって、そこの女子も嬉しそうな顔すんな!」
田島が指差した女子は隠しきれない嬉しさを近くの友人と共有し始めた。放って置いても盛り上がりそうではあるが丁度良いので利用させて貰う。
「そうだぞ女子、俺は被害者なんだ。こいつが無理矢理ーー」
「俺を加害者みたいに言うな、冤罪だ! 女子、何で更に嬉しそうな顔をする!?」
俺の台詞を田島が遮ってみても肝心の部分が耳に届いた女子が楽しそうにはしゃぐ。
「そういえば、『古典の松下には及ばないけどな』とかのろけていたな」
たった今思い出しました、何で忘れていたんだろうか。そんな態度で女子に聞こえるように呟く。
「更に燃料を投下するな! あぁもう、楽しんでるだろ、お前。って、おい女子。俺を汚すな!」
はしゃぐ女子は恥も外聞もなく田島と松下の関係を妄想している。
「女子で汚される、やはり純正か」
「やはりじゃねぇ! 純正でもねぇ!! ついでに『女子で』じゃなく『女子に』汚されてんだよぉおおおぉっ!」
「女子と話すだけで嫉妬するのか、古典の松下はーー」
「だぁぁかぁぁらぁぁああぁっ!!」
その後、古典の授業が始まる度に女子の楽しげな視線が田島に突き刺さることになるのだった。




