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野井琅世のコメディー短編置き場

NTRのすれ違い

作者: 野井琅世
掲載日:2026/03/28

下ネタが多数含まれますので、苦手な方は読むのを避けてください。

また、ルビにすると読みにくかったので、括弧書きが多用されています。

読みにくいかと思いますが、勘弁してください。



「田所。NTR(寝取られ)って、どう思う?」

「は?」


 突然の質問に、田所と呼ばれた男が間の抜けた声を上げる。

 声だけでなく、何処(どこ)か間の抜けた表情でもあった。

 しかし、まあ、突然こんな質問をされたのだから、こんな風に返してしまっても仕方ないだろう。


「NTR?」

「そう。聞いた事ないか?」

「……初めて聞くな」


 田所が首を傾げる。

 どうやら、本当に聞いた事がない様だ。


「最近は、アルファベット三文字くらいで省略する事が多いが、そんな略し方するんだな」

「……なんの事かは分かるのか?」

「ああ。NTR(納豆 卵 ライス)だろ?」


 絶望的に間違っている。

 何を、どの様に考えて、その結論に至ったのか。

 勝手に結論に達する前に、一度、情報の確認を取ってくれ。

 だが、そんなすれ違いに気づく事なく、男二人の会話は続く。


「……分かるなら話は早いな」

「まあな。……それで、吉川は、なんか、NTRに思う所があるのか?」


 田所の質問に、吉川が頷く。


「……正直、良さが分からん」

「そうなのか?」


 吉川の言葉に、田所が少し驚いた様な声を上げる。

 そして、すれ違っている事に気づかぬままに言葉を続けた。


「……俺は、毎朝NTR(納豆 卵 ライス)でも良いな」

「朝からNTR(寝取られ)⁉」


 田所の言葉に、吉川が驚愕の声を上げる。

 その表情は、ありえない者を見たかの様だった。


「朝からヘビーすぎないか⁉ それ、オカズって事だよな⁉」

「オカズ……? まあ、オカズか……」

「と、言うか、朝から元気だな⁉」


 吉川の言葉に、田所が再び首を傾げる。

 そして、不思議そうな表情で吉川に訊ねる。


「吉川は、朝は抜いてるのか?」

「っ⁉ 抜いてる訳ないだろ⁉」

「そうなのか?」

「当たり前だろ!」


 吉川が叫ぶ。

 奇跡的に話が嚙み合ってしまっているが、内容は決して噛み合っていない。

 そして、かなりの下ネタになってきている。

 なので、そろそろ、勘違いに気づいてほしいものだった。

 こんな訳の分からない話で、この作品を十八歳未満お断りにはしたくない。

 だが、そんな思いも虚しく、二人の会話は続いてしまう。


「と、言うか、気になる事があるんだが」

「……色々とショッキングな事を知ってしまったが、まあ、質問があるなら聞こうか」

「? じゃあ、聞きたいんだが……」

「ああ」

「普通、NTG(納豆 卵 ご飯)じゃないか?」


 割とどうでもいい質問だった。

 だが、吉川は、その質問に目を見開く。

 そして、驚愕に染まった声で叫ぶ。


「NTG(寝取らゲイ)⁉」


 勘違いが、とんでもない加速を見せる。

 大気圏を突破しそうな勢いで、話が、あらぬ方へと向かって飛んで行っていた。

 あと、吉川。お前も、話も聞かずにNTGから瞬時に妙な結論に到達するんじゃない。

 頼むから、対話をもって相互理解を試みてくれ。


「いや! 価値観は人それぞれだから否定はしない! 本人が良いなら良いと思う! だが、一般的ではないと思うぞ!」

「そうか?」


 田所は、相変わらず不思議そうな表情である。

 まあ、此奴(こいつ)は『納豆、卵、ご飯』だと思っているので、仕方がないが。


「もしかすると、日本が開国する前だったら標準的だったのかも知れんが……」


 吉川が(うめ)く様に言う。

 ちなみに、此奴が言っているのは、衆道(しゅどう)文化(男性の同性愛)の事だ。

 海外の思想が日本に入り、同性愛が忌避される様になった話をしているのである。


「ああ……。まあ、そうだよな」


 田所が納得した様に言う。

 だが、此奴が言っているのは、ご飯の呼び方の話である。

 正直、ご飯の事をライスと呼ぶ様になったのが何時の事かは分からんし、興味もないが……。


「ま、まあ、お前が、NTR(寝取られ)が好きなのは分かった……」

「吉川が、NTR(納豆 卵 ライス)が苦手だとは思わなかった」


 互いにそう言って、二人とも無言になる。

 無言にならずに、話し合って誤解を解いてほしいものである。


「……正直、俺は、NTR(寝取られ)は駄目だ。(相手に)焼きを入れたくなる」

「ああ、そう言う奴もいるよな」

「だろ?」

「まあ、俺は、(卵は)生が良いな」

「生⁉」


 吉川が混乱した様に叫ぶ。


「生って……⁉ そういう事だよな⁉」


 どういう事を想像しているのかは分かるが、言及するは止めておく。

 流石に下ネタが過ぎる。


「ああ。(卵が)生のNTG(納豆 卵 ご飯)なら、朝から三杯いける」

「朝から三発⁉」


 発じゃない。

 杯だ。杯。

 良く聞け、クソたわけが。


「朝から、とんでもないオカズで、とんでもない回数だな⁉」

「そうか?」

「そうだよ!」


 吉川が、信じられないというより、信じたくないという表情で田所を見つめる。

 そこまで思うなら、いい加減、勘違いに気づいてくれ。


「吉川の言う通り、(卵に)焼きを入れても良いとは思うぞ」

「だよな!」

「軽く、(卵を)熱湯に放り込んでやっても良いと思う」

「いや! それは、やりすぎだろ!」

「? そうか?」

「当たり前だろ!」

「火を通しすぎなければ大丈夫だろ」

「そういう問題じゃねぇだろ!」


 そう叫んで、吉川がドン引いた表情を浮かべる。

 それに対し、どこか不思議そうな表情の田所。

 二人が無言になる。

 暫しの間、二人は無言で見つめあう。

 そして、二人が同時に口を開く。


「「……NTRの話だよな?」」


 異口同音に言う。

 完全に言葉が重なっていた。

 流石に、勘違いの可能性に気づいた様だった。


「「そりゃあ、NTRの話だよ」」


 返事も重なった。

 二人が同時に首を傾げる。

 そして、再び無言となった。

 

 そんな二人に言える事は一つである。

 首を傾げていないで話し合え。

 今のお前達に必要なのは対話である。


「ま、まあ、この話は終わりにするか」

「そうか?」

「ああ……。正直、怖くなってきた」

「? そうか」

「とりあえず、聞いた話は黙っておくから安心してくれ」

「別に、隠す様な内容じゃないだろ?」

「……マジで言ってる?」

「ああ」


 田所の言葉に、吉川が、何かを考える様に目を(つむ)る。

 そして、重々しい口調で言う。


「……そうだな。皆にも知っておいてもらった方が良いかもしれないな……」

「そんな、大層な話か?」

「大丈夫だ。俺が上手く伝えておいてやる」

「? ……じゃあ、まあ、頼むわ」


 田所の言葉に、吉川は重々しく頷いて見せる。

 こうして、勘違いは解消される事なく、二人の会話は終わる。

 そして……




 そして、二人が勘違いに気づいた時には、『田所はNTG(寝取らゲイ)好き』という話が、二人の通う大学に蔓延(まんえん)していたのだった。


友人から、NTR(納豆 トマト ライス)で、アン〇ャッシュ的ネタを書く様に言われました。

仕方がないので、トマトを卵に変更して書いておきます。

あの友人は、私の事を、お題を放り込むと物語を出力するAIか何かと思っているのかもしれません。

二十年ほどの付き合いの友人ですが、無茶ぶりは止めてほしいですw

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