NTRのすれ違い
下ネタが多数含まれますので、苦手な方は読むのを避けてください。
また、ルビにすると読みにくかったので、括弧書きが多用されています。
読みにくいかと思いますが、勘弁してください。
「田所。NTR(寝取られ)って、どう思う?」
「は?」
突然の質問に、田所と呼ばれた男が間の抜けた声を上げる。
声だけでなく、何処か間の抜けた表情でもあった。
しかし、まあ、突然こんな質問をされたのだから、こんな風に返してしまっても仕方ないだろう。
「NTR?」
「そう。聞いた事ないか?」
「……初めて聞くな」
田所が首を傾げる。
どうやら、本当に聞いた事がない様だ。
「最近は、アルファベット三文字くらいで省略する事が多いが、そんな略し方するんだな」
「……なんの事かは分かるのか?」
「ああ。NTR(納豆 卵 ライス)だろ?」
絶望的に間違っている。
何を、どの様に考えて、その結論に至ったのか。
勝手に結論に達する前に、一度、情報の確認を取ってくれ。
だが、そんなすれ違いに気づく事なく、男二人の会話は続く。
「……分かるなら話は早いな」
「まあな。……それで、吉川は、なんか、NTRに思う所があるのか?」
田所の質問に、吉川が頷く。
「……正直、良さが分からん」
「そうなのか?」
吉川の言葉に、田所が少し驚いた様な声を上げる。
そして、すれ違っている事に気づかぬままに言葉を続けた。
「……俺は、毎朝NTR(納豆 卵 ライス)でも良いな」
「朝からNTR(寝取られ)⁉」
田所の言葉に、吉川が驚愕の声を上げる。
その表情は、ありえない者を見たかの様だった。
「朝からヘビーすぎないか⁉ それ、オカズって事だよな⁉」
「オカズ……? まあ、オカズか……」
「と、言うか、朝から元気だな⁉」
吉川の言葉に、田所が再び首を傾げる。
そして、不思議そうな表情で吉川に訊ねる。
「吉川は、朝は抜いてるのか?」
「っ⁉ 抜いてる訳ないだろ⁉」
「そうなのか?」
「当たり前だろ!」
吉川が叫ぶ。
奇跡的に話が嚙み合ってしまっているが、内容は決して噛み合っていない。
そして、かなりの下ネタになってきている。
なので、そろそろ、勘違いに気づいてほしいものだった。
こんな訳の分からない話で、この作品を十八歳未満お断りにはしたくない。
だが、そんな思いも虚しく、二人の会話は続いてしまう。
「と、言うか、気になる事があるんだが」
「……色々とショッキングな事を知ってしまったが、まあ、質問があるなら聞こうか」
「? じゃあ、聞きたいんだが……」
「ああ」
「普通、NTG(納豆 卵 ご飯)じゃないか?」
割とどうでもいい質問だった。
だが、吉川は、その質問に目を見開く。
そして、驚愕に染まった声で叫ぶ。
「NTG(寝取らゲイ)⁉」
勘違いが、とんでもない加速を見せる。
大気圏を突破しそうな勢いで、話が、あらぬ方へと向かって飛んで行っていた。
あと、吉川。お前も、話も聞かずにNTGから瞬時に妙な結論に到達するんじゃない。
頼むから、対話をもって相互理解を試みてくれ。
「いや! 価値観は人それぞれだから否定はしない! 本人が良いなら良いと思う! だが、一般的ではないと思うぞ!」
「そうか?」
田所は、相変わらず不思議そうな表情である。
まあ、此奴は『納豆、卵、ご飯』だと思っているので、仕方がないが。
「もしかすると、日本が開国する前だったら標準的だったのかも知れんが……」
吉川が呻く様に言う。
ちなみに、此奴が言っているのは、衆道文化(男性の同性愛)の事だ。
海外の思想が日本に入り、同性愛が忌避される様になった話をしているのである。
「ああ……。まあ、そうだよな」
田所が納得した様に言う。
だが、此奴が言っているのは、ご飯の呼び方の話である。
正直、ご飯の事をライスと呼ぶ様になったのが何時の事かは分からんし、興味もないが……。
「ま、まあ、お前が、NTR(寝取られ)が好きなのは分かった……」
「吉川が、NTR(納豆 卵 ライス)が苦手だとは思わなかった」
互いにそう言って、二人とも無言になる。
無言にならずに、話し合って誤解を解いてほしいものである。
「……正直、俺は、NTR(寝取られ)は駄目だ。(相手に)焼きを入れたくなる」
「ああ、そう言う奴もいるよな」
「だろ?」
「まあ、俺は、(卵は)生が良いな」
「生⁉」
吉川が混乱した様に叫ぶ。
「生って……⁉ そういう事だよな⁉」
どういう事を想像しているのかは分かるが、言及するは止めておく。
流石に下ネタが過ぎる。
「ああ。(卵が)生のNTG(納豆 卵 ご飯)なら、朝から三杯いける」
「朝から三発⁉」
発じゃない。
杯だ。杯。
良く聞け、クソたわけが。
「朝から、とんでもないオカズで、とんでもない回数だな⁉」
「そうか?」
「そうだよ!」
吉川が、信じられないというより、信じたくないという表情で田所を見つめる。
そこまで思うなら、いい加減、勘違いに気づいてくれ。
「吉川の言う通り、(卵に)焼きを入れても良いとは思うぞ」
「だよな!」
「軽く、(卵を)熱湯に放り込んでやっても良いと思う」
「いや! それは、やりすぎだろ!」
「? そうか?」
「当たり前だろ!」
「火を通しすぎなければ大丈夫だろ」
「そういう問題じゃねぇだろ!」
そう叫んで、吉川がドン引いた表情を浮かべる。
それに対し、どこか不思議そうな表情の田所。
二人が無言になる。
暫しの間、二人は無言で見つめあう。
そして、二人が同時に口を開く。
「「……NTRの話だよな?」」
異口同音に言う。
完全に言葉が重なっていた。
流石に、勘違いの可能性に気づいた様だった。
「「そりゃあ、NTRの話だよ」」
返事も重なった。
二人が同時に首を傾げる。
そして、再び無言となった。
そんな二人に言える事は一つである。
首を傾げていないで話し合え。
今のお前達に必要なのは対話である。
「ま、まあ、この話は終わりにするか」
「そうか?」
「ああ……。正直、怖くなってきた」
「? そうか」
「とりあえず、聞いた話は黙っておくから安心してくれ」
「別に、隠す様な内容じゃないだろ?」
「……マジで言ってる?」
「ああ」
田所の言葉に、吉川が、何かを考える様に目を瞑る。
そして、重々しい口調で言う。
「……そうだな。皆にも知っておいてもらった方が良いかもしれないな……」
「そんな、大層な話か?」
「大丈夫だ。俺が上手く伝えておいてやる」
「? ……じゃあ、まあ、頼むわ」
田所の言葉に、吉川は重々しく頷いて見せる。
こうして、勘違いは解消される事なく、二人の会話は終わる。
そして……
そして、二人が勘違いに気づいた時には、『田所はNTG(寝取らゲイ)好き』という話が、二人の通う大学に蔓延していたのだった。
友人から、NTR(納豆 トマト ライス)で、アン〇ャッシュ的ネタを書く様に言われました。
仕方がないので、トマトを卵に変更して書いておきます。
あの友人は、私の事を、お題を放り込むと物語を出力するAIか何かと思っているのかもしれません。
二十年ほどの付き合いの友人ですが、無茶ぶりは止めてほしいですw




