呪文
掲載日:2025/12/10
あの子が好きだ。
春に咲く花のような可憐さ。
夏の日差しのような激しさ。
秋に実る果実にも優るあの豊満な肉体。
冬の厳しさをも凍てつかせるあの冷たい眼差し。
ああ、今直ぐにでも私のものにしてしまいたい。
だが、どうすれば彼女に私を受け入れさせることができるのだろうか……。
独りで鬱々と悩み続けていたある日、こんな私を見かねた父が我が家代々に伝わる魔法を一つ教えてくれた。
我が家はそういう一族であったようだ。
翌日、私は彼女を呼び出した。
そして声高々と呪文を唱えた。
一ヶ月後、彼女は私の花嫁となった。
なるほど、産まれて来るならばやはり高貴な家だ。
魔法の呪文。文字通り魔の法であり、呪いの文言。権力者の言葉はいろんな意味で抗い難いですが、彼女はどのように解釈をしたのか。迎合か諦念か果して……。
注) 本作品はハラスメント行為に対する揶揄であってそれを推奨する意図はありません。
とはいえ、手段は具体的でなくとも目的と結果ははっきりとしてますし、いつの時代にもありふれた事実ですし、簡潔な因果だけの表現でもやはり規約違反となるのか。権力で目的を達成した物語ですしね。
一応こうして注意書きをしていますけど、あればよいというものではないという意見もあるでしょうし……。




