表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/16

第7話 そんなガチトーンで言わなくてもいいじゃない

「とりあえず保健室に行きましょう、特別に私も一緒に行ってあげるから」


「いや、別に保健室に行くくらい全然俺一人でも大丈夫だけど」


「せっかく好意で言ってあげてるんだから素直に従ってくれてもいいじゃない、それとも私と一緒に行くのは嫌かしら?」


「……分かった、じゃあお言葉に甘えるよ」


 上目遣いをされてそんなふうに言われてしまうと流石に断れそうにはなかったため、俺は大人しく受け入れることにした。

 秋夜が保健室で幼馴染とベッドインとか言ったせいで変な想像をさせられてしまったため、後で一発ぶん殴っておこう。俺と紗奈が一緒に体育館から出ていく姿をめちゃくちゃ見られていたため恥ずかしかったことは言うまでもない。


「それにしても春人と一緒に保健室にいくなんて一体いつ以来かしらね」


「多分小学四年生の運動会の時以来じゃないか? 確かあの時はクラス対抗リレーの最中にこけて紗奈と一緒に保健室に行った記憶があるし」


「あったわね、そんなことも」


「紗奈が何も考えずに傷口に大量の消毒液をぶっかけてきてめちゃくちゃ痛かったのはいまだに覚えてるからな」


「悪かったわね、あの時はとりあえずたくさんかけとけば治るって思考だったから」


 そんな話をしているうちに保健室へと到着した俺達だったが中には誰もいなかった。中は完全に無人で完全に静まり返っている様子だ。


「保健室の先生はいないみたいだな」


「用事か何かでどこかへ行ってるのかもしれないわね」


「いつ戻ってくるかも分からないし、勝手に応急処置だけさせて貰おう」


「じゃあテーピングテープを取ってくるから春人はそこに座ってて」


 紗奈にそう言われたため今度は抵抗せず素直に好意に甘えることにした。棚を開けてテーピングテープを探し始めた紗奈はすぐに見つけたようだが問題が発生する。

 高い位置にあり紗奈の身長だとギリギリ手が届かなかったのだ。紗奈は身長百五十四センチとやや小柄なため高い位置にあると厳しいらしい。背伸びをして取ろうとする紗奈だったが見ていてちょっと危なっかしかったので俺は立ち上がる。


「手が届かないなら俺が代わりに取るから別に無理しなくても大丈夫だぞ」


「……春人は身長が高くて羨ましいわ、私に何センチか分けて欲しいんだけど」


「男子の平均身長よりほんの少し高いくらいだから分けるのはちょっと無理だな、平均身長だけは絶対に下回りたくないし」


「そんなガチトーンで言わなくてもいいじゃない」


 俺の言葉を聞いた紗奈は少し膨れっ面になりながらそう文句を言ってきた。一応百七十四センチあるため男性の平均よりはほんの少し高いが、ちょっとでも分けたらあっという間に下回ってしまう。

 まあ、そもそも身長を分ける方法なんてないが。そんなことを思いながら先ほど棚から取り出したテーピングテープを指に巻こうとしていると紗奈が口を開く。


「突き指のテーピングくらい私がやってあげるわよ」


「いいのか?」


「ええ、そのためにわざわざ保健室までついて来たようなものだしね」


 そう言い終わった紗奈は俺が持っていたテーピングテープを取る。そして俺の手に触れて来た紗奈だったがその感触は相変わらず柔らかかった。

 ここ最近紗奈は妙に俺と手を繋ぎたがるためよく繋いでいるが、あまり女子には免疫がない人間のためそのたびにドキドキさせられてしまう。

 めちゃくちゃ単純な人間だと思われるかもしれないが、多分モテない男子高校生はみんな今の俺と同じような感じに違いない。

【読者の皆様へ】


お読みいただき、ありがとうございました!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけると幸いです!


評価ボタンは、モチベーションに繋がりますので、何卒応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ