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第6話 尋常じゃないくらい紗奈から見られてないか……?

 昼食を終えて教室に戻った俺達は荷物を持って次の授業である体育に参加するためにそれぞれ分かれて更衣室へと向かう。更衣室に着くともう既に着替え終わっているクラスメイト達ばかりだ。空いていた棚に脱いだ制服を置いて着替え始めていると、体操服姿の秋夜が話しかけてくる。


「遅かったな、今日の授業は伊吹さんと一緒にサボるのかと思ってたぞ」


「サボらないから、そもそも紗奈と一緒にサボって一体何をしろって言うんだよ?」


「やっぱり幼馴染と一緒に授業をサボってやることと言ったら保健室でベッドインだろ」


「いやいや、お前と一緒にするな」


 おかしなことを言い始める秋夜に俺はそうツッコミを入れた。幼馴染萌えが進行しすぎて秋夜の脳は完全に腐ったとしか思えない。保健室でベッドインとか完全にエロ漫画の世界だけだからな。


「冗談はこのくらいにしておいて、春人は伊吹さんとは最近どうなんだよ?」


「そんなふうにめちゃくちゃ抽象的に聞かれると答えづらいけど別に悪い感じではないと思う」


「確かに雰囲気も柔らかくなって春人に理不尽なことも言わなくなったもんな、その代わり春人をめちゃくちゃガン見するようになったけど」


「えっ、そうなのか?」


 秋夜の口から飛び出した言葉があまりにも予想外だったため俺は思わずそう声を漏らした。すると秋夜は呆れたような表情になる。


「おいおい、伊吹さんから穴が開くほど見られまくってるのに気づいてなかったのかよ」


「ああ、全く。むしろ秋夜が俺の反応を見て楽しむために騙そうとしてるんじゃないかって気持ちの方が正直強い」


「じゃあ次の体育の授業の時に伊吹さんの方をチラッと見てみろよ、マジでずっと春人のことを見てるから。ってわけで俺は先に行くから春人も遅れないように来いよ」


「……あっ、急がないとやばい!?」


 秋夜と呑気に話していたせいで気付けば予鈴がなる直前になっていた。体育教師は予鈴までに整列していないとうるさいので遅刻すると面倒な事になる。

 だから俺は全力で着替えを終わらせ何とか予鈴がなるギリギリ前に体育館へと滑り込む。その際に体育館の奥で友達と話していた紗奈と目があった。

 秋夜がさっきあんなことを言ったからつい意識をしてしまったが、多分紗奈はたまたま入り口の方を見ていただけだろう。そう思う俺だったがそれがすぐに違うということに気付く。


「尋常じゃないくらい紗奈から見られてないか……?」


 授業開始直後の整列中や準備運動中、バレーボールのサーブの練習中など偶然を装ってさりげなく何度かチラ見をする俺だったが、その全てにおいて紗奈と目があったのだ。

 紗奈に見られていることが気になり過ぎて授業に全く集中出来なってしまう。そのせいでバレーボールの試合中にも関わらず完全に自分だけの世界に入ってしまった俺だったがそれが良くなかった。


「黒崎、危ない!?」


「えっ……?」


 その声に反応して我に返った時にはボールが目の前まで飛んできていたのだ。反射的に手を出す俺だったが次の瞬間人差し指に嫌な痛みが走る。この感じは恐らく突き指をしてしまったに違いない。


「ちょっと春人、大丈夫なの!?」


 俺が盛大に突き指をしたせいで試合が一時中断になったわけだが、気付けば紗奈がそばに来ていた。体育館の反対側で女子はバスケットボールの授業をやっていたはすだがいつの間にやって来たんだろう。


「やっぱりこういう時に考え事をするのはダメだな」


「そんなの当たり前でしょ、一体何を考えてたのよ?」


「そんな大したことじゃない」


 紗奈のことを考えて突き指をしたとは言えなかったため俺はそう誤魔化す。流石に本人に対して堂々とそんなことを言える勇気はなかった。

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