第40話 めちゃくちゃ上から目線なのは気になるけどしっかり助けてやるよ
中学生の時にあった球技大会はドッチボールだったためクラスメイト全員が同じチームで試合を行っていたが、今回はバレーボールとなっているためチームが細分化している。
チームに関しては球技大会前に話し合って決めたわけだが、男女混合にさえなっていればどんな決め方をしても良いルールだった。そのため、精鋭だけを集めた最強チームを作るクラスやバランスを考えて実力をある程度均等化するクラスなど、クラスによって様々だ。
「じゃあ苦手な人も楽しめるように協力して頑張ろう」
「うん、バレーボールは得意だから任せて」
俺達のチームはバランス型であり、バレーボールが得意な瑠花と天崎、そこそこな俺と進藤さん、苦手な紗奈と秋夜、朝田さんというメンバー構成になっている。
試合は六人で行うため、ローテーションで一人コートの外に出る感じで試合を行う。現在は最初の試合が始まる前の待機時間となっているため、各々ストレッチをするなど自由にしている。
「颯と久遠さん、あとついでに春人がいれば多分どうにかなるから俺達はゆっくりしてようぜ」
「小柄な私や莉緒は分かるけど川口って身長は高いくせにバレーボールは苦手なのはどうなのよ?」
「身長が高いイコール運動が得意ってわけじゃないから」
「ドヤ顔でそんなことを言っても全然カッコよくない」
苦手な三人組はそんな話をしていた。秋夜は身長百八十二センチあって、明らかに運動が得意そうに見えるのに実は全然駄目だったりする。そんなことを思っていると進藤さんが秋夜に絡みにいく。
「ねえ、何で秋夜君は颯君と瑠花ちゃん、黒崎君の名前は出したのに私は出さなかったの? もしかして私も不得意チームにカテゴライズされてる?」
「いやいや、別にそういうわけではないぞ。萌音がどのくらい出来るか知らなかっただけだから」
「じゃあ私もそこそこ出来るってことを見せつけてあげるから」
秋夜と進藤さんはお互いに名前で呼び合うようになってるし本当に仲良くなったよな。そんなことを思っているといつの間にか隣にいた紗奈が話しかけてくる。
「春人は知ってると思うけど私は本当に苦手だから何かあったら助けなさいよ」
「めちゃくちゃ上から目線なのは気になるけどしっかり助けてやるよ」
「私も紗奈ちゃんの分まで頑張るから任せて」
気付けば瑠花も俺の隣にいた。紗奈も瑠花も気配を消して近づいて来るのが上手すぎるだろ。少ししてついに試合が開始される。対戦相手は二年生のチームだったが全員かなり動きが良かった。
俺達のチームも天崎や瑠花を中心にサーブを相手コートに叩き込むが、高確率でレシーブされてこちらのコートにスパイクされて点を決められる。
「……めちゃくちゃ強いな」
「間違いなくクラスの精鋭で固めたチームね」
俺のつぶやきに対して紗奈はそう反応してきた。球技大会はトーナメント戦ではないため負けても次の試合はあるが、初戦でここまでボコボコにされると絶望感が半端ない。
まあ、精鋭で固めたチームを作ったクラスは逆に不得意なメンバーばかりのチームも作らざるを得なくなるため、ここで勝っておかなければ釣り合いが取れなくなる。だから向こうも優勝するために必死なはずだ。
それから試合時間はどんどん過ぎて終了間近になるころには、俺達のチームも全力で頑張ったもののかなり引き離されていた。体力があまりない紗奈はまだ一試合目だというのに息も絶え絶えな様子だ。だから相手がこちらのコートに打ち込んできたサーブが自分の方に飛んできていることに紗奈は気付いていない。
「紗奈ちゃん、危ない!?」
「えっ……?」
進藤さんの声でようやくボールの存在に気付く紗奈だったが、疲れてボーっとしていた反応の遅れは致命的であり顔に直撃する寸前だった。だが、それより前に俺が手でボールを弾く。
「約束通り助けてやったぞ」
「あ、ありがとう」
そう言葉を口にした紗奈の表情はほんのりと赤かった。俺の手が当たってコートの外に出てしまったため相手チームの得点になったが、誰からも責められなかったことは言うまでもない。




