第39話 夢くらい見させなさいよ、あんた達の方が優秀なんだから
体操着に着替え終わった俺が教室を出ると、女子更衣室に指定された隣の教室から紗奈と瑠花がちょうど出てきたところだった。紗奈は俺と同じデザインの体操着だったが、瑠花は全然違う。
「へー、それが前の学校の体操着なのか」
「うん、周りとは色が違うからめちゃくちゃ浮きそうだけど」
星稜高校の体操着は白と青のありふれた感じのものだが、瑠花が着ていたものは赤をベースにして黒が入った結構お洒落なデザインをしていた。
確かに全然違うのでかなり目立つに違いない。俺達はそのまま話しながら昇降口に向かって歩き始める。開会式の時間まではまだ余裕があるためそんなに急ぐ必要はない。
「そう言えば今日の球技大会のチームって夏休み明けにある学園祭のチームと一緒らしいよ」
「えっ、そうなのか?」
「どこ情報よ、それ?」
瑠花の口から出た言葉に対して俺と紗奈はそう反応した。今日の球技大会は全学年合同で行うことは知っていたが、その情報は知らなかった。
「体育委員をしてる友達から教えてもらったんだ、一応開会式の時に告知されるらしいから一年生はまだ知らない人も多いみたいだよ」
「瑠花は相変わらずコミュニケーション抜群だな」
「いつの間に仲良くなってたのよ」
まだ転校してきてから二週間だというのにあっという間に交友関係を広げていて流石という言葉しか出て来ない。入学してから二ヶ月近く過ごした俺より瑠花の方が友達が多い気がする。下手したら俺よりも学校について詳しくなったのではないかとすら思う。
「ちなみに球技大会のチームを学園祭と同じにするのは、早いうちから三学年を結束させるのが狙いなんだって」
「なるほど、学園祭はポイント制になっててチーム対抗で競うって聞いたし球技大会はその前哨戦って感じか」
うちの学校の学園祭は文化祭と体育祭を合体させたような行事になっていて毎年夏休みが明けてから少し経ってから行うイベントらしい。そのためまだ割と先だが早いうちから意識させる狙いがあるのではないだろうか。
「ちなみに優勝したら何かいいことがあるの?」
「私もその辺りはあんまり知らないんだけど、優勝したチームには景品があるとは聞いたよ」
「頑張るかどうかは景品の内容によるわね、テストでプラス十点とかになるなら全力で頑張るんだけど」
「それはないだろ」
「うん、絶対に有り得ないと思うな」
「夢くらい見させなさいよ、あんた達の方が優秀なんだから」
そんな話をしているうちに昇降口に到着したため俺達は上履きから履き替えてグラウンドへと向かい始める。まだ全校生徒は集まっていないが、もう既に半数以上が集まっていた。やはり偏差値の高い学校ということもあって、その辺りはみんなしっかりとしているのだろう。
小学校や中学校は公立で不真面目な層が一定数いたため、集合のたびに怒っていた先生がいたことはいまだに忘れられない。だんだん開会式の時間が近づいてきたため整列していると隣のクラスの列から話し声が聞こえてくる。
「なあ、あそこの赤い体操着の子って……?」
「あれが八組に入った噂の転校生だろ」
「めちゃくちゃ可愛いって聞いてたけどマジみたいだな」
「八組の奴らが羨まし過ぎる」
似たような会話が他からもちらほらと聞こえてくるが、会話をしている大半は男子だった。ただでさえ珍しい転校生である上に美少女なのだからこうなるのは当然だろう。
もし俺が転校生だったとしたら多分初日に少しだけ話題になって後は話にすら出てこなくなるに違いない。紗奈であれば瑠花と同じような反応になるとは思うが。
それから少しして開会式が始まり、先ほど瑠花が言っていたように学園祭のチームについて説明があった。そして全体で準備体操を行ったところで、いよいよお待ちかねの球技大会開始だ。
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