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間話3 あんたの失敗は無駄にしないから

「あれ、ここって……?」


 春人の部屋で寝たはずなのに気付けば違う場所にいた。マンションの一室のようであり、どこかで見たような記憶があるがすぐには思い出せない。過去の記憶から思い出そうとしていると突然誰かが話しかけてくる。


「春人とは上手くやってるみたいね」


「あっ、あんたは!?」


 相手の顔は私と全く同じだった。そこでようやくここがどこなのかを思い出す。ここは私が()()()()()()()()辛く厳しい現実を突き付けられたあの場所だ。


「まさかあなたがあそこまで素直になるなんて正直予想外だったわ」


「あんたのせいで心を完全に折られたんだから素直にくらいなるわよ」


「あのくらいしないと伊吹紗奈って人間は自分の過ちに一生気付かなかったと思ってたけど、いくらなんでも変わり過ぎじゃない?」


「私はあんたみたいに絶対に失敗はしたくないの」


 あんな未来がやって来るなんて絶対に嫌だが、変わらなければ間違いなく目の前にいる二十九歳の私と同じ末路を辿るとしか思えなかった。だから私は自分の過ちを認めて変わったのだ。


「あんたみたいに絶対に失敗はしたくないって本人に向かって容赦ないわね、私がいなかったら間違いなくあんたの未来も真っ暗だったって言うのに」


「そこは素直に感謝してるわ、ありがとう」


 その言葉に嘘偽りは一切ない。二十九歳の私がいなければ間違いなく私は失敗していただろう。精神的大ダメージを受けるような光景を見せられた上に、聞きたくもない言葉を聞かされた時は正直恨みもしたが、今はそんな気持ちなんて微塵もない。


「私も今のあんたみたいに素直に感謝の言葉を言えるような人間になれてたらきっと結果は違ったんでしょうね……」


「せっかく感謝してやってるんだから暗いオーラを出さないでよ、あんたにだっていいことくらいきっとあるはずよ」


 自虐的な表情を浮かべる二十九歳の私に対してそう声をかけた。正直自分と同じ顔をした人間が暗い表情をしているのを見るのはあまり良い気分ではない。


「そうね、ちょっとポジティブさが足りなかったわ。歳をとると駄目ね」


「まだ二十九歳なんだから十分若いでしょ」


「十六歳のあんたに言われても嫌味にしか聞こえないから」


 そんな話をしている私達だったが、二十九歳の私は急に真面目な表情になる。


「今のあんたはあの頃の私と比べものにならないくらい素直になったと思うけどくれぐれも余裕だけはなくさないことね」


「どうしたのよ急に?」


「高校一年生の中間テストが終わった後に色々あったのよ、春人に嫌われたくなかったら今の言葉は絶対に忘れちゃ駄目だから」


「ええ、肝に銘じておくわ」


 私がはっきりとそう答えると二十九歳の私は満足そうな表情を浮かべていた。そして次の瞬間、私の意識は覚醒して部屋の天井が目に飛び込んでくる。

 起き上がって辺りを見渡すと春人の部屋だった。また前回と同じように夢を見ていたらしい。だが先程の内容は細かい部分まではっきりと覚えていた。


「あんたの失敗は無駄にしないから」


 私はそうつぶやくとそのまま春人のベッドに潜り込む。現在の時刻は深夜の三時であり春人はぐっすりと眠っていた。だから特に起こすこともなく布団の中に入れた。この温もりだけは絶対に失いたくない。

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