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第25話 ちゃんと否定しとかないと面倒なことにならないか?

 トイレを済ませて図書室に戻った俺達は勉強会を再開する。先程の俺と紗奈が付き合っていると思われている発言が気になってしかたがなかったが、ひとまず勉強会に集中しよう。そう思う俺だったが、なぜか紗奈が異様に密着してきていたため全然勉強に集中出来そうになかった。


「……なあ、もう少し離れてくれないか?」


「ごめん、でも春人のノートの文字がよく見えないのよ。最近視力が悪くなってきて」


「そうかもしれないけどさ」


 確かに紗奈の言い分には納得できる部分もあるが、流石に体同士が完全に密着するくらいくっつくのはやり過ぎではないだろうか。

 朝田さんと距離が離れすぎているため、周りから見たら仲が悪いと思われるレベルだ。俺達の真似をしているのか秋夜と進藤さん、天崎もさっきから距離が近いし。


「紗奈ちゃんと黒崎君、さらっとイチャイチャしない」


「見せつけてくれるね」


「羨ましいぞ、このやろう」


 秋夜や進藤さん、天崎はそんなふうにからかってきたが、当事者の俺からしたらたまったものではない。ちょっと嬉しそうな紗奈に対して、朝田さんは黙り込んでいた。

 何故か不機嫌そうにも見えたため朝田さんはこういうノリがあまり好きではないのかもしれない。それから夕方まで勉強をした俺達は一斉に図書室から出る。


「黒崎君のおかげでめちゃくちゃ捗ったね」


「確かに僕らだけで勉強すると何だかんだでだらけちゃうし」


「春人が必要になったらまたいつでも貸してやるから言ってくれ」


「おい、秋夜は勝手にそんな約束するなよ」


「そうよ、どうしても春人を貸して欲しいっていうならまずは私に話を通しなさい。私の厳正な審査を通過したら検討してあげるから」


「いやいや、それもおかしいからな」


 紗奈も秋夜も自分の所有物のごとく俺を勝手に人を貸し出そうとするかよ。そんなやり取りの最中も相変わらず朝田さんは黙り込んでいた。

 それから俺達は校門の前で別れる。紗奈と秋夜は帰る方向が同じなため一緒に変えるつもりだったが、秋夜は寄り道してから帰るようでついてこなかった。

 秋夜は別れる間際に送り狼をしてハメを外すなよなど俺に耳打ちしてきたが、心配されなくてもそんなことは絶対にしない。俺は秋夜のような頭のおかしい幼馴染オタクではないのだから当然だろう。


「春人はこの土日はどうするの?」


「そんなの家にこもって勉強一択だろ」


 確かに中学校の復習テストの結果は良かったが、今回の中間テストはまだ内容も序盤で差がつきにくいため、油断するとあっという間に順位が大幅に転落する可能性がある。だから決して手は抜けないのだ。


「なら私も一緒に付き合っていいかしら? 分からない問題があった時に春人がいたら助かりそうだから」


「ああ、それは別に全然大丈夫だぞ。教えるのも意外と勉強になるしな」


 実際に今日も思ったが他人に勉強を教えようと思うと自分が深く理解している必要がある。そのため、紗奈に分からない問題などを教えることは自分の勉強にも役立つ。だから特に断る理由はなかった。


「そう言えば私とあんたが付き合ってるって噂が流れてるらしいわね」


「えっ、そうなのか!?」


「ええ、実は私もつい最近知ったんだけど」


 なるほど、だから俺と紗奈が付き合ってると思っているやつがいたりするのか。確かに紗奈とは学校でもずっと一緒にいるが、ちょっと仲が良い異性の友達くらいの関わりしかしていないはずなので、なぜそんな噂が流れているのか不思議で仕方がない。


「ちゃんと否定しとかないと面倒なことにならないか?」


「わざわざそんなことをしなくても大丈夫でしょ、あくまでただの噂話なんだし」


 紗奈がはっきりとそう言い放ったため俺はそれ以上はその話題には触れなかった。

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この噂、マッチでポンプな匂いがしますねえ
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