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第22話 今のままだと全く魅力が無いって言われちゃったからね、だからもっと自分磨きを頑張ろうと思ってるのよ

 お風呂から出た俺達はそれぞれ髪を乾かして服に着替えていた。ちなみに俺は土砂降りに巻き込まれて制服がびしょ濡れになったため、紗奈のお父さんの服を借りている。

 そして先程の失言について紗奈は特に触れてこなかったので、俺もそこに対してわざわざ掘り返すようなことなしなかった。


「雨雲レーダーを見た感じだと雨が止むまではまだしばらくはかかるみたいだし、せっかくだからそれまでいなさいよ」


「いいのか?」


「ええ、どうせパパとママが帰ってくるのもだいぶ先だしね」


 紗奈の両親は昔から共働きで帰りが遅かったっけ。だから紗奈が子供の頃はよくうちで一緒に晩御飯を食べてたし。てか、紗奈に誘われたとはいえ両親の不在につけ込んで一緒にお風呂に入った俺って中々やばいやつじゃないか?

 もし幼馴染と裸の付き合いをするのが普通ではないのなら紗奈の両親、特に父親にバレてしまったら下手すると殺されかねない。だから俺はスマホで調べてみたのだがそんな情報は特に出てこなかった。


「……なあ、幼馴染と裸の付き合いをするのは普通ってどこ情報なんだ?」


「どうしたのよ、急に?」


「いや、調べてもそんな情報はどこにも出てこなかったから」


「川口に教えてもらったのよ、あいつは幼馴染博士を自称してるくらいなんだから間違ってないと思うわ」


 どうやら情報元は秋夜だったらしい。えっ、あいつそんなとんでもないことを紗奈に吹き込んでたのかよ。流石にドン引きなんだけど。

 てか。幼馴染と裸の付き合いをするとか絶対秋夜がやってるエロゲの中だけの話だろ。よく女子にそんなことを教えられるよな。もしかしたら紗奈が俺を騙したのではないかと思ったが、秋夜に騙された被害者だったようだ。

 とりあえず秋夜は明日会ったら一発ぶん殴っておこう。そんなことを思っていると紗奈はカバンの中から勉強道具を引っ張り出してくる。


「せっかくだから雨が止むまでもう少しだけ勉強に付き合ってくれないかしら?」


「それは勿論大丈夫だけど、凄いやる気だな? 前の紗奈だったらそこまで頑張ろうとしてなかった気がするんだけど」


「今のままだと全く魅力が無いって言われちゃったからね、だからもっと自分磨きを頑張ろうと思ってるのよ」


 そう口にした紗奈めちゃくちゃ真剣な表情を浮かべていた。一体紗奈はどこの誰にそんなことを言われたのだろうか。

 普通はそんなことを言われても中々受け入れられないと思うし、もしかしたら相当説得力があったのかもしれない。それから俺と紗奈は二人で勉強を始める。


「そう言えば春人は志望大学とかってもう決めてるの?」


「まだここってのは決まってはないけど、県外の大学に行く可能性は高いと思う」


「確かに大学は県外にもたくさんあるもんね」


「ああ、特に私立大学は東京とか大阪、京都辺りの大学を受けようと思ってるし」


 難関私立大学は大都市圏に集中しているため、国立大学に落ちたらそっちへの進学に切り替える可能性が高い。


「それなら私も頑張らないとね、あんたと同じ大学に進学したいし」


「えっ、そうなのか?」


「幼稚園から高校までずっと一緒なんだし、せっかくなら大学も同じにしたいじゃない」


「別に無理に合わせる必要は無いと思うけどな」


「私がそうしたいだけだから気にしなくてもいいわ、とにかくそういうわけだからよろしく」


 以前までの紗奈であれば同じ大学に進学したいと言われても嫌という気持ちしかなかったが、今は逆にめちゃくちゃ嬉しかった。俺もだんだんと紗奈から骨抜きにされているのかもしれない。

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