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大和維新  作者: 花村 楓
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残響の旗

プロローグ:静寂の亀裂

2025年、東京。春の陽光が皇居の堀に反射し、桜の花びらが舞い散る。一見、平和な日本の風景。しかし、その水面下では、静かなる亀裂が広がっていた。


長引く経済の低迷、国民の政治不信は頂点に達し、各地でデモが頻発。その最中、安倍晋三元首相暗殺事件を契機に、人々の不満は爆発寸前となっていた。


その頃、徳川宗家の末裔を名乗る男、徳川義影とくがわ よしかげは、密かにアメリカ政府高官と接触を重ねていた。義影は、現代日本の腐敗しきった政治体制を、そして象徴である天皇制を打倒し、新たな秩序を打ち立てるという野望を抱いていた。


「日本は変わらねばならない。腐った根を断ち切り、新しい芽を育てるのだ」


義影は、アメリカに対し、日本を実質的に支配下に置くことを条件に、軍事支援を要請。アメリカは、極東における影響力を拡大する絶好の機会と捉え、この大胆な提案を受け入れた。

第一章:密約の調印

深夜のワシントンD.C.。ホワイトハウスの一室で、義影とアメリカ大統領は密約に署名した。


「徳川殿、貴殿の覚悟、見事なり。我々は、貴殿の理想実現に協力しよう」


「感謝いたします、大統領閣下。必ずや、新時代の日本をお見せしましょう」


密約の内容は、以下の通りであった。


徳川軍による日本政府転覆を、アメリカ軍が全面的に支援する。

新政権樹立後、日本はアメリカの軍事的・経済的影響下に置かれる。

アメリカは、日本の防衛を名目に、在日米軍基地を大幅に増強する。


第二章:蜂起の狼煙

2025年5月5日、こどもの日。全国各地で、徳川軍が一斉に蜂起した。


彼らは、最新鋭の兵器を装備し、元自衛官や、現状に不満を持つ若者たちを中心に構成されていた。アメリカ軍は、情報提供、後方支援、そして一部の特殊部隊を投入し、徳川軍をサポートした。


一方、自衛隊は、突然の事態に混乱し、対応が遅れた。政府は、事態を過小評価し、国民への情報公開を躊躇。その間に、徳川軍は、主要都市を次々と制圧していった。


第三章:東京進撃

徳川軍の進撃は、破竹の勢いであった。SNSを駆使した情報戦、巧みなプロパガンダにより、国民の支持を集めていった。


「腐敗した政治家どもを倒せ!」

「新しい日本を創るのだ!」


デモ隊の一部は、徳川軍に合流し、共に国会議事堂を目指した。自衛隊は、必死の抵抗を試みるも、アメリカ軍の圧倒的な軍事力の前に、徐々に劣勢に追い込まれていく。


第四章:国会議事堂の陥落

2025年7月7日、七夕の夜。徳川軍は、ついに国会議事堂を包囲した。


激しい銃撃戦の末、徳川軍は国会議事堂を制圧。テレビ中継を通じて、義影は、新政府樹立を宣言した。


「国民諸君、我々は、腐敗した旧体制を打倒し、新たな日本を創造する! 新国号は、『大和共和国』とする!」


第五章:新時代の幕開け

義影は、新国旗のデザインを発表した。


新国旗:


デザイン: 黒地に、金色で円環と十六弁の菊を組み合わせた紋章。

意味:

黒: 過去の暗闇、旧体制の終焉

金色: 未来への希望、新時代の光

円環: 国民の団結、永遠の繁栄

十六弁の菊: 伝統と革新の融合、天皇制からの脱却

義影は、大統領制を導入し、自らが初代大統領に就任。議会を解散し、新たな憲法を制定した。


第六章:残響の旗

大和共和国は、アメリカの強い影響下に置かれながらも、独自の道を歩み始めた。


義影は、大胆な経済改革、社会保障制度の再構築、教育改革を断行。国民の生活は、徐々に改善されていった。


しかし、その一方で、アメリカの軍事プレゼンスは、日増しに強まっていった。沖縄の基地は拡張され、本土にも新たな基地が建設された。


「これで良かったのか…?」


義影は、自問自答を繰り返す。


彼の理想とした「新しい日本」は、本当に実現されたのだろうか?

エピローグ:未来への問い

大和共和国の誕生から数年後。


東京の街並みは、大きく変貌を遂げた。高層ビルが立ち並び、経済は活況を呈している。しかし、人々の心には、どこか空虚感が漂っていた。


「自由とは何か?」「独立とは何か?」


物語は、読者に問いかける。


真の独立とは、単に外国の支配から逃れることだけではない。自らの足で立ち、自らの未来を切り開くことこそが、真の独立なのだと。

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