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星のない宇宙で⑤

 銀河系外縁のとある惑星――――

 惑星全体が工場のような機械だらけの惑星ほし

 機械たちは休むことなく一日中モノを作り続けている。生物はいない。有毒ガスのたちこめるその汚れた環境では生物は生存できない。いや作られた製品モノの中に生物それらはいた。

 爆発が起こる。瞬く間に引火し星全体が炎に包まれる。

 ”それ”は星より脱走する。テレポーテーションで。


 ウインウインウイン・・・・

 <スペースインパルス>艦内に警報が鳴り響く。

「何だ?」 「自動警報?」 

「艦首上甲板にESP反応!」クリスが報告。

「敵の攻撃か?」

「艦の損傷なし。第一砲塔付近に・小型の有機生命体・・人間です」

 第一主砲塔。

 リックたち砲手はヘルメットを被る。元々スペーススーツを着用しているため、これで宇宙空間でも活動できる。

「俺が出たらドアをロックしろ」

 リックはそう部下に命じて一人エアロックへ。そして主砲塔の外へ。

 目の前に 人?裸の・・男?(残念)。髪の毛は無い。気を失っているが生きている。

 うつ伏せで倒れている男を起こそうとして、バチッ。ESPバリアーに阻まれる。

 リックはその男に見覚えがあった。

「明?」

 明が目覚めて医務室からテレポートしたのかと思った。だが弓月明は医務室で眠ったままだった。

 

 医務室。

 明の隣のベッドに全く同じ容貌の人間が眠っている。毛がない以外は区別つかない。医療班の他に流艦長、アラン副長、美理、エスパー代表としてロミとヨキが来ている。

 ロミは艦載機スペースコンドル隊副隊長。艦内エスパーの代表でもある。ヨキは移民星ミルキン出身の小柄な少年。一流のエスパーだが持久力に欠ける。

「明のクローンですね。DNAが一致しました」アランが分析結果を報告する。

 あまりにアランがあっさりと言ったため流たちは困惑する。

「クローン?」

「セルバンク*に弓月明の登録はありません。入手ルートは不明ですが、体液や毛髪からでもクローンは作れます」 *細胞を保存して病気など必要になった時に備えるシステム

「非合法クローン?いや全てのクローン製造は禁止されているか」

「メイドインどこか・・わかりませんよね」Qとロミが話す。

「目的は何だ?」流がアランに尋ねる。

「おそらく軍事目的でしょう。明は優秀な戦士でS級エスパーです。メモリーアナライザー(海馬の記憶を解析する装置)では何も出ませんでした。つまり彼は生まれて間もないようです。おそらくこれから戦闘を学習させるつもりだったのではないかと推測します」

 ヨキが「要するに脳改造される前だと」脳改造は関係ない。

 流の脳裏にラプトン副大統領の顔が浮かぶ。奴ならやりかねない。だが証拠はない。

 彼は”明2号(仮称)”と命名された。

「酷いことをする・・」Qがつぶやく。

「命をもてあそぶなんて(許せない)」

 そう言う麗子の隣で美理は黙ってふたりの明を見比べる。よく見ると髪以外にも違いがある。本物よりも筋肉質だが少し幼い。初めて会った時の明か今の美理と同じくらいか。

「・・・」

「彼もエスパーなのか?」流はアランに尋ねる。

「明と同じ身体ですから素質はあります。ここへもテレポートで現れていますし、発見時バリアーなしでは死んでいます」

「しかしなぜ本艦に?」

「それは不明です。細胞の記憶というか何か思い入れがあったのかもしれません。それより、彼の扱いはどうします?」

「うーむ。作戦行動中は緊急連絡しか出来ん。とりあえず本艦で保護するしかないか」

「あ」

 2号の目が開く。明と同じこげ茶色の瞳。

 最初に彼と目が合ったのは一番近い場所にいた麗子だった。

「起きた・・」

 明2号は麗子に飛びかかる。

「きゃあ――」

「何をする!」ヨキが制止しようとして・・「あ」やめる。その熱い視線の先・・

 2号は麗子を押し倒しその胸をまさぐる。役得。

 麗子も黙っていない。膝で股間をキック。前言撤回。

「!!」たまらず2号はうずくまる。

 逃れた麗子はQの後ろに隠れる。

「スケベの遺伝子もしっかりと受け継いでいる?」ヨキは人のことは言えない。「ぴょんぴょん飛び跳ねるといいんだよ」見本を示す。

 2号はそれを真似る。

「もしかしてお乳を吸おうとしていた?」

 Qの発言に麗子ははっとなる。

「つまり彼は生まれて間もない赤ん坊と同じだ」

「・・ごめんなさい(思いっきり蹴っちゃった)」

 痛みの治まった明2号はニコニコしながら再び麗子に近づく。

 Qが「刷り込み(インプリンティング)だ」

「え~」

 初めて見た麗子を”親”と認識している。担当ナース決定。


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