決戦!旗艦アフロディーテ!⑤
<アフロディーテ>のブリッジは炎の海だった。
ブリッジだけで<スペースインパルス>の数倍ある。すぐ近くにインパルスが突っ込んだためその半分は瓦礫と化している。
その中心部。玉座とも言うべき高台に・いた。アリアだ。
「お前が弓月明か。たったひとりでここに来るとはいい度胸だ。だが生かしては帰さん」
侵入者である明に対しアリアを守る親衛隊が攻撃を始める。
パワードスーツがショルダーキャノンを発射。
壁から蛇のようなガード砲が首をもたげビームを発射。
明はESPバリアーで跳ねのける。アリアを見据える。駆け出す。
走りながら明はエスパーガンを発射。一発二発三発・・
ガード砲やパワードスーツを次々と撃ち抜く。
鎧を着た騎士の光る槍が明を襲う。
明は槍を避けつつ銃を撃ち込む。光弾は鎧を貫き、騎士は倒れ込む。
次はレオンだ。音速の獣も今の明の敵ではない。
エスパーのサイコキネシス攻撃も明には通じない。
明は愛する人の名を叫ぶ。
「美理―!」
敵旗艦に隣接して(正確には突き刺さって)いるのに攻撃して来る敵がいるのは計算外だった。
<アフロディーテ>のハリネズミの様な砲は砲身がぐにゃりと曲がりこちらを狙って来る。動けないインパルスに直衛艦隊は遠慮なく砲撃を加えて来る。
ハリネズミ砲の集中砲火がインパルスの第二エンジンに命中。エンジンが炎に包まれる。
反撃のホーミングアローが放物線を描いてハリネズミ砲を破壊する。
直衛艦隊との砲撃戦は壮絶を極めた。
主砲弾が次々と敵艦へ命中。爆発爆発爆発・・・
プラズマ砲がインパルスの右舷戦闘機格納庫を直撃。右主翼共々爆発する。
「第二エンジン緊急停止!右翼へのエネルギー供給カット!急げ!」
「弾幕薄い!ホーミングアロー連続発射!」
光の応酬。
数隻を撃破するが、攻撃の合間を縫って一機の<ネーガー>が接近する。
荷粒子砲発射!
放たれた執念の一撃はインパルスのメインブリッジを直撃する。
<アフロディーテ>ブリッジの玉座で、アリアは微笑む。これをコントロールしているのはアリアだった。
ホーミングアローが<ネーガー>を追尾し破壊する。
バリアーで大半のエネルギーは消退されたが、一部は貫通し主操縦席に命中。
無人だった席は完全に消滅。隣のロイと斜め後ろのショーンら数名が吹き飛ばされる。
空気流出。
ロイはかろうじて副操縦席につかまる。
意識を失ったショーンを助けようとグレイは手を伸ばす。
届かない。
ベルトを外しジャンプするグレイ。その身体をジグがつかむ。だめだと首を横に振る。
ショーンは船外へ吸い出される。
他にも数名が外へ。ジグの部下もいた。
非常シールドが下りる。空気の流出は止まる。
「あああああああああああああ・・・・・・・・・!」
妻とお腹の子供を奪われたグレイの絶叫。
「ショーン!いやあ!」クリスの悲痛な叫び。
一瞬で奪われた仲間の死にクルーは呆然と立ち尽くす。
流は怒りで震える。「アラン、あと何分だ?」
「あと4分!」
「明!たのむ」
「早く美理ちゃんを連れて戻って」
明と親衛隊の戦いは続いていた。
それをアリアの操る<ネーガー>が狙う。全長10mの小型戦闘機は広いブリッジ内を飛行。勿論先程とは別の機体だ。アリアの口元が笑う。
荷粒子砲発射!その威力はインパルスの主砲一門に匹敵する。人が持つ火器とは比べものにならない。
気づいた明は銃を構える。間に合わない。テレポート!
広大なブリッジ内で爆発。荷粒子砲は親衛隊数名を焼き殺す。
玉座近くに移動した明は銃を撃つ。
玉座を破壊する。これが<ネーガー>コントロール装置だった。
アリアは命中前にテレポートで逃れていた。アリアもエスパーだった。だがリインほどではない。
明はアリアにゆっくりと近づく。
「リインを殺したのは俺だ!殺すなら俺を殺せ!あの娘は関係ない。美理はどこだ!」
「我らの本星」
「何っ!?」
「あの方はトスーゴ王家の血をひく者。お前達の元においてはおけない」
話しながら明は次々と襲いかかる親衛隊を倒していく。
ピルルルル・・・
『アリア様、銀河跳躍砲稼働態勢に入りました。目標座標を入力してください』
「銀河跳躍砲?」明の直感が働く。「あの砲か!?」
アリアは笑みを浮かべて命ずる。音声入力のようだ。
「目標は銀河連合艦隊・・いや、それじゃつまらない。目標・地球!お前の故郷だったな」
「やめろー!」明は銃を撃つ。
その光弾は盾となった親衛隊により阻まれる。




