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28まずは自己紹介と希望を聞くだけで大変です


 男性が揃ってそれぞれ席に着いた。席はすでに飲み物が用意されてみんなグラスを手に取ってひと息ついた様子だ。

 右側のテーブルには…

 アルナンド、アドナ、ブレディ、フランソワ、レゴマール、ミルフィ6人で一つのテーブル。

 左側のテーブルには…

 カイト、ローリー、エリオット、マリーン、レイモンド、エレナ、チャドの7人。こちらは女性が3人男性が4人になったが仕方がない。

 「こっちは男が多いからプリムローズも入れば?」ブレディが言う。

 「でも、私進行役があるから…」

 「そんなのダイルに任せておけばいいさ。流れは大体わかってるんだろう」

 「そうだけど…」

 そんな言い合いをしていると他の女性たちがざわざわし始める。

 プリムローズは仕方ないと椅子を持って来てレイモンドとエリオットの間に座った。

 「えっ?プリムローズがそっちなら俺もそっちがいいんだけど」

 すかさず言ったのはカイトだ。

 「いえ、座ってるテーブルで相手が決まるわけじゃないのよ。ゲームはみんなでやるんだし関係ないのよ」

 カイトはほんとに?みたいな顔をして「まあ、そういう事なら…あまり最初から文句言うのもあれだし…」

 「あの…皆さん。気にしないで下さいね。さっきも今言った通り席にはとりあえず座ってもらっただけですので気にしないで下さいね。私も席に着きますが進行役も務めさせていただきますのでよろしくお願いします。さあ、では一言自己紹介と質問から行きましょうか…まずはアルナンドさん簡単に自己紹介と付き合う女性への希望や条件みたいなことがあったら言ってもらいたいんですが」

 プリムローズは雰囲気を変えようと話をアルナンドに振る。

 プリムローズが拍手をするとみんなも続いて拍手をする。


 アルナンドは慌てて椅子から立ち上がる。その顔は眉が上がり三白眼の目はますます見開かれ少し怒っているらしいのか…

 一瞬刺さるような冷たい視線が放たれる気がした。

 「はっ?俺から…そんなの聞いてないぞ」

 「でも、この中では一番年上ですし…アルナンドさんはここの責任者でもありますが結婚を切望されているんです…」

 「アルナンド頑張れ!」レゴマールにやじを飛ばされてアルナンドはますますしどろもどろになる。


 「コホン。あ、アルナンド・エステファニアだ。年は299歳。竜人ではまだやっと成人したばかりの年齢だ。それからゼフェリス国では竜帝をしている。それから好きな食べ物は肉。ああ…好きな色は…撫子色で、好きな食べ物ははちみつで…それから…」

 アルナンドの顔はまるでロボットみたいに眉が上がったり頬が強張ったりして動きがぎこちない。

 女性たちも最初はアルナンドから目を反らしたりしていたが、さすがにゼフェリス国の竜帝と聞いた辺りから顔色が変わった。


 プリムローズはそんな様子を見ながら思う。

 (まあ、無理もないわ。もし結婚すれば竜帝の妻なのだから…って、私がどうしてこんなに胸をざわつかせてるのよ。何でもないわ。みんながアルナンドに注目したからっていいじゃない。計画通りなんだから…)


 「アルナンド。どんな女性が好みだとか付き合うならこんな人がいいとか。ほら、何かあるだろう?」

 ブレディがアルナンドをせっつく。

 アルナンドは耳まで真っ赤になって白金の髪をガシガシ掻きむしる。相当照れているらしい。

 「いや、それは…もちろん自分と真剣に結婚を考えてくれる人。それで、優しいけどしっかり者で…てきぱき仕事をこなしてくれて…あっ、料理もうまい方がいい。それにまず絶対条件としてゼフェリス国に嫁いで来てくれる女性が条件だが…」

 おっと、ぎこちないアルナンドの話に一番聞きたいことが出たところでプリムローズは急いでアルナンドを止める。

 これ以上は時間がかかりすぎると思ったからだ。

 「アルナンドさんありがとうございます。もうそれくらいで結構ですよ」

 「アルナンドさんはゼフェリス国の竜帝と言うことで国に来てもらうことが絶対条件なんですね。女性のみなさんでゼフェリス国に行ってもいいと思う方手を上げてもらえますか?」

 プリムローズは、手を上げた女性をアルナンドと同じ席に入れ替える。

 フランソワがカイトのいる方の席に行ってエリスがアルナンドのいる方の席に変わった。

 ゼフェリス国に行ってもいいと手を上げたのはミルフィとエリスとアドナだった。


 「では次はローリーさん。ローリーさんは少し耳が不自由ですが唇を読み取ることが出来ます。ゆっくり話をすれば会話もできるので皆さんよろしくお願いしますね。ではローリーさんお願いします」

 プリムローズは、ローリーにゆっくり名前を言って質問をしてと唇を動かす。

 ローリーは急いで立ち上がる。そばでカイトがそれを手助けしてくれる。

 プリムローズはほんとにふたりはお似合いだとうっとりそれを見つめた。

 

 「ろーりーといいます。はたおりのしごとをしています。よろしくおねがいします。18さいで、まずは、こんなわたしでもおつきあいしてもいいとおもうかた…」ローリーは相当勇気を出したらしくそう言った途端唇を噛みしめている。

 「では、男性陣の中でローリーと付き合いをしてもいいと思う方。手を上げて下さい」

 「あの、でもローリーはゼフェリス国に行くのは無理なんだろう?俺はもし気が合えば付き合ってもいいと思うけど…」

 「そうですね。全部の条件を重ねると難しくなるかもしれませんから取りあえずその人の質問にだけ答えるとしたらと言う事で」

 するとアルナンド、ブレディ、レゴマール、エリオットが手を上げた。

 ローリーは恥ずかしそうに俯くと席に座った。

 「ありがとうローリー。ではそろそろ進行役はダイルさんに変わりますね。ダイルさんお願いします」

 プリムローズはダイルに進行役を任せて席に座る。

 (カイトどうして手を上げなかったのよ。もう…恥ずかしいの?)

 プリムローズはカイトをじろりと睨む。


 「それでは進行役のダイルと言います。今日はよろしくお願いします。次は…カイトさんどうぞ」

 さすがダイル。彼は難なく進行役を引き継いでいく。

 「じゃ、カイトです。年は18歳。オリーブ通りのニップ商会で仕立ての仕事をしてます。よろしく。質問は特にありません」

 カイトはぶっきらぼうに自己紹介をすると席に着いた。

 何だか怒ってるみたいだがプリムローズにはそんな事を気にしている暇はない。

 ダイルが次の人を。

 「では、今度はそちらの席のエリオットさんどうぞ」

 「えっ?俺…エリオットです。年は20歳。カイトと同じ職場で同じく仕立ての仕事をしてます。よろしくお願いします。希望は優しくて真面目な人です」

 「次は…」

 取りあえず女性は…

 マリーンは親の面倒見なければならないのでそれに理解のある人と健康で安定した職業が希望。

 ミルフィはローリーと同じ機織り工房で働いている。積極的で男らしい人がタイプ。

 エリスは港の輸入会社で事務の仕事をしている。優しくて真面目な人が希望。

 アドナはソティリオ商会で事務の仕事をしている。安定した職業についている人で健康な人が希望。

 フランソワはソティリオ商会と言う会社の社長令嬢で商会で婦人服の販売員をしている。希望はイケメンでスタイルが良くて楽しい人。

 (これにはみんな引いたのだが、フランソワはあっけらかんとはっきりと意見を言う人らしい)

 男性は…

 ブレディとレゴマールがやはりゼフェリス国に来てくれるのが絶対条件。まずはそれをクリアしていないと言った。

 チャドは港で働いている。好みは優しくて料理の上手い人。

 レイモンドはサポス商会と言う会社の跡取りで、結婚相手は自分で決めたいのでここに来たと言った。希望はしっかりして優しい人出来れば帳簿などつける事が出来る人が希望だそうだ。

 それに女性の扱いがうまそう。椅子を引いたり笑顔を振りまいたりと社交的だ。


 (はぁ、しかし…こんなに疲れるとは…前途多難!)

 プリムローズは大きく息をつく。





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