表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/54

14夕食は冷たい雰囲気に包まれて


 ピックにダイニングルームに案内にされるとダイルが忙しそうに準備をしている。

 「ダイル。夕食まだ?」

 はっ?一瞬でダイルの顔が険しい顔つきになる。

 (そりゃそうだよ。一人で大変なのに、それはないでしょピック)

 「私、お手伝いします」

 プリムローズは急いでキッチンから出来上がった料理を運んだりグラスやお皿の用意をする。

 「ピックお前も見ていないで手伝え」

 「え~、プリムローズお手伝いなんかいいんだよ。今日はダイルの当番なんだから…」

 「でも、私は新米ですから…ピック。ちょっとそこをどいてもらえる?」

 椅子に座って邪魔なピックに遠慮なくプリムローズが告げる。

 「いいって言ってるのに‥」

 ちなみに今日の夕食はビーフシチューとサラダにパン。プリムローズは一般的な家庭料理だなと思うがいい香りにお腹がぐぅと鳴った。

 恥ずかしさで赤くなる。

 「プリムローズ今お腹鳴ったよね?かわいい」

 ピックがいきなり立ち上がる。

 そこにどやどやと男たちが入って来る。

 「なんだピック。何がかわいいんだ?」

 ブレディとレゴマールが首を突っ込んで来る。

 「レゴマール。プリムローズのお腹が…」

 (シャラップピック!私はこれ以上の恥辱にまみれるつもりはない!)

 「ピック。これお願い」

 プリムローズはすかさずピックにパンの入った籠を突きつける。

 「何?これをどうするの?」

 「いいから黙って籠を置いて!」

 「プッ!何だかプリムローズがいるだけでいい雰囲気だよ。いつもの夕食が華やかって言うか」

 くすくす笑いながらレゴマールがつぶやきながら席に着く。続いてブレディとアルナンドも席に着いた。

 ダイルがビーフシチューの入った鍋を持ってくると大きな皿にシチューを入れて行く。

 プリムローズはそれをかいがいしくそれぞれのテーブルの前に置いていく。

 「うぅっ、プリムローズにこうやってもらうだけで料理がうまそうに見えるよぉ~」

 プリムローズは思う。(ピックあなたは子犬なの?今にはぁはぁ舌を出すし始めるのでは?)

 ダイルの冷たい視線と氷のような一言が…

 「あのなピック。作ったのは私だ。勘違いするな。あっ、でもプリムローズも当番に入ってもいいって言ってくれた。これからは少し楽になるぞ。でも手抜きは許さないからな」

 「ほんとかプリムローズ?仕事も出来ておまけに家事まで出来るのか?すげぇな」

 レゴマールやブレディも驚く。

 「私は貴族のご令嬢ではないので、でも、しばらく家事はしていなかったので失敗しても多めに見て下さいね」

 「そんなの気にするもんか。その気持ちがうれしいんだから。なっ、アルナンドもそう思うだろう?」

 アルナンドは置かれたビーフシチューをすでに食べ始めていた。

 素っ気なく「ああ」の一言。


 プリムローズはそんなアルナンドの態度に少し寂しさを覚えるが…

 (ああ、私って相当嫌われてるのかな?でも、生贄になるような女だからかな?まあ、別に好きになってもらわなくたっていいんだし…でも、何だろう。この胸がきゅって痛い感じ…きっと疲れたのかも。だって今日は色々なことがあり過ぎたもの)


 「さあ、盛り付けも終わったし、そろそろ食べるか」

 ダイルが機嫌よく席に着いた。

 「おい、アルナンド?お前もう食べたのか?」

 「ああ、先に失礼する。ごちそうさま」

 「なんだよ。プリムローズと一緒の夕食だぞ。いくらアルナンドでもそんな態度許せないぞ」

 ブレディも気分を悪くしたらしく文句を言う。

 アルナンドはぶすっとした顔でブレディに言う。

 「彼女はお前たちと仲良く出来れば問題ないだろう?俺はその結婚相談所とかには関わる気はないからな」

 「そんなの出来る訳ないだろう!メルクーリに来たのは5人の結婚相手を探すためだろう?アルナンドも相手を見つけてくれなきゃ」

 「ああ、そうだな。番は関係ないんだ。俺はどんな相手でもいい。子供さえ作れればそれでいいさ。じゃあ、おやすみ」

 「そんな…アルナンド考え直せよ。きっと気に入った女の子が見つかるって」

 レゴマールもアルナンドにすがるような視線を送るが…

 アルナンドの決意は固いらしく彼は何も言わずダイニングルームを出て行った。


 「プリムローズすまんな。嫌な気分にさせてしまった。いつもはあんなじゃないんだが…」ダイルが謝る。

 「いえ、気にしてませんから」

 「きっと照れてるんだよ。気にするなよ。さあ、冷めてしまうよ。食べよう」

 そう言って場を和ませたのはピックだった。


 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ