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エンドル戦役 ⑶

 エランドルク征伐軍は、真っ直ぐにエンドルを目指して、進んでいる。


 エランドルク防衛軍では、帝国の軍勢が砦に到達するまでのどこかで、軍勢の横腹を突く事も検討された。


 だが、歩兵は後ろに行くほど優秀な者が揃っていることが多く、前が崩れても後ろが持ち堪える、三万を相手では、もともと少ない兵数を割いてまで実行したとして、その割に効果は薄いと考えられた。

 先に相手の領土を侵したくない、との国王の方針もあり、この作戦実行の可能性は真っ先に無くなった。


 エランドルクは、帝国の侵攻が開始されるまでの間に、エンドルの町を砦にするべく、準備を進めた。まず始めに複数の道を封鎖し、残る道を狭め、関を作り、通行を制限した。


 当然、町の内外から、文句を言う者が毎日のようにエンドルの主、オルヴァニオンの館に押し寄せて来た。その都度、オルヴァニオンは、動じることなく帝国軍が攻めてくるのだから仕方がない。とした上で、逃げる、戦う、何もしない、等の選択肢を提示し、好きにさせた。大抵の者は、これで黙り、むしろエランドルクに協力する様になった。当然、自分の身を守る為である。


 更に、転んでもただでは起きない商人の町である。カリヴァ300挺を提供したマグダミア王国のイザリア女王よろしく、この武器で帝国を退けた、という箔を付ける為、無償で武器を提供する、という強者も現れた。驚くべきはその商根性である。アレクゼスとしては、有難くもあり、後が恐ろしかった。


 無法の自治地域でありながら、エンドルには、高い塔を持つ、複数の宗教施設が建っている。

 マルク教や、キンレイ教等の礼拝堂、聖堂、教会など。

 聖職者たちは、布教の足掛かりとして、ここで有力な商人との繋がりをつくり、拠点とした。また路上で生活する者に、神の教えを説いて信者にしたり、食事を提供したり、冬には寝床を提供したりしていた。


 これらの高い塔は、攻撃の拠点として、防衛軍に接収された。聖職者たちにとっては、信者を守る為であり、喜んで差し出した。


 この時流に至って、キンレイ教の信徒や神官が、いわれのない暴力を受ける事件が相次いだ。

 

 これには、オルヴァニオンは、黙っておらず、彼らを館に住まわせる等して、守った。


 オルヴァニオンは、商人になる前、聖職者になるべく修行をしていた事があった。しかし、性に合わないと、途中で辞めた。その割に目指していたのは、子供の頃、自分の命を助けてくれたのが、マルク教の神父だったからであった。だからと言う訳では無いが、何を信じるか、の選択の自由も守られるべきと考えている。


 エンドルを離れて生きられない者も、確かに多くいた。多くは、エランドルクに協力はするが、戦わないことを選んだ。当然である。

 戦う、という者も、数十人いた。まあ、こんなものだろう、と、エランドルクの軍務大臣、シドウェルは思った。

 とはいえ、巻き込まれるのは御免と、逃げ出す者も、多くいた。これは賢明な選択であった。


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