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第一章 エンドル戦役 ⑴
皇帝紀453年5月28日。
キンレイ帝国は、エランドルクに対し、征伐軍の進軍を開始した。
首都から出発した兵士の数はおよそ三万。
名誉ある先頭を行くのは強固で勇美な鎧を纏った100騎の騎馬隊である。悠然と進む彼らの歩調に合わせ、征伐軍が進んでいく。人々は、歓喜と恐怖によって、彼らに道を譲る。
騎馬隊の後ろに、軍旗を掲げる者とその護衛、その後ろに、鎧姿の歩兵隊が無限と思われる程、後ろまで続く。
帝国の軍は、神の軍である―――。それがキンレイ帝国の自負である。姑息な攻めを良しとせず、巨大な力で相手を圧倒する。これこそ神の攻めである、との考えを伝統的に守っている。
とはいえ、兵数一千のエランドルクにとって、三万の軍勢が押し寄せて来たら、それだけで充分お手上げである。
数は力。数によって圧力をかけ、戦わずして降参させる意図も当然込められていた。
三万の軍勢がエンドルに到達するまで、4日から5日かかる。エランドルクは、この時間に、考え直す事も出来る。逆に姑息な準備を整えることも出来る。




