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シナスタジア  作者: 残念パパいのっち
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来訪

「それってもしかして裏サイトの管理者は学校の先生ってことか?」


一呼吸間をおいて、安井は言った。


『そうだよ。うちの部の顧問、山井先生だ』


流石に青天の霹靂だった。聞きたいことは沢山あるが、まず現状把握をしたい。


「山井先生はいま何をしているんだ?」


『呑気なことに公式ホームページの更新をしているみたいだな』


あぁ……そうか、何も知らないからいつも通りの行動を取っているのか。


『正樹部長が証拠片手に校長と生活指導の中上に状況説明に行ったから時間の問題で大問題になるだろうよ』


正樹部長らしいせっかちな対応だ。こういう手合いは「悪・即・斬」がモットーらしい。


山井……終わったな。


警官の古田が言っていた裏サイトの結末はこれのことなのだろうか?


『良い土産話だっただろ。明日詳しく話してやるから今日はさっさと寝るんだな』


そういうと、こちらの返事を待たずに電話を切ってしまった。


実に安井らしい。


山井とコンピュータサイエンス部の面々はあまり良い関係にはない。かと、言って山井に何かされたわけでもないし、何かしたこともない。


むしろ、何もないことが関係を悪くしている。


ふと、自動車の窓から外を眺めると、パラパラと雨が降ってきた。


陽芽高校近くの大通りを通過する頃には自動車の屋根を激しく叩きつける豪雨になっていた。


周囲の音をかき消して、シナスタジアが正常に働かなくなる。


だから雨は好きだ。


ノイズが無くなる。


思考の海に身を浸す事ができる。


でも、まだ分からないことがある。裏サイトの運営が山井なのはわかった。でも、裏サイトに投稿をしたのは別の人物だろう。


これも明日になると解決するのだろうか?


その時、思考の海に小さな波がたった。いや、スマホのバイブレーションで現実に戻った。


はぁ……平穏は長く続かないものだな。スマホを見ると、SNSに新たな通知が来ていた。


『今から行く』


メッセージはひらきからだった。


うん……?なんだ、意味がわからない。とりあえず、メッセージを返す。


『どこへ?』


間髪入れずに返事が届く。


『そこへ』


何故だろうか……凄い嫌な予感がする。


『……まさか、うちに来るという意味では無いよな?』


『そうに決まってるでしょ』


くまが走っているスタンプが届いた。気が遠くなってきた。昨日あんなに落ち込んでいた人間とは思えない変わり身の早さだ。


いや、いや、いや、いや、そういう問題じゃない。突然、母さんと面識のない……女子が……。


肩を揺すられた。


「悟……降りないの?」


いつの間にか自宅に着いていた。た、対策を立てている暇がない。


自動車を降りて、雨に濡れないように足早に玄関の軒下へ駆け込む。


ひらきは……もしかして、思い立ったら動かずにいられないタイプなのか?

お、落ち着けまだ到着まで時間がある。その間に何か言い訳を……。


「やっ!藤井くんっ!思ったより元気そうだね!」


振り返ると奴がいた。


思考が……オーバーフローした。


「あら……えっと、桧川さんだっけ?悟に用事?」


「あっはい、藤井くん……悟さんに大事な用があって来ました。お母さん」


な、なんだ、なんか変な流れに……。


「大事な……?」


母さんがチラッとこちらを見る。まずいなんとなく、今訂正しないと大変な事になる予感がする。


「ひ、ひらき……」


「あんた、桧川さんのこと下の名前で呼んでるの?」


ひらきが即座に返した。


「お母さんも私のことをひらきと呼んでください」


母さんは口に手をあてて、なんかハッとした顔をしている。


ち、ちがう、それはひらきの十八番の『下の名前で呼ばせるハラスメント』だ。


は、早く言わないと……。


「やだ、ひらきちゃん、ずぶ濡れじゃないの。家に上がっていって。タオルと着替えを用意するから」


母よ……適応早いな……。


「あ、はい。じゃあ、遠慮なく」


おいっ!


「少しは遠慮しろぉぉぉお!! 」


やっと出た声は雨音にかき消されて虚しく消え去った。


軒先の屋根に激しくぶつかる雨音と、雨樋からだくだくと流れる水を見て思った。


うん、諦めた。


諦めました。


思い出したが、母さんはひらきと病院で既にあっているのだ。


俺が脳震とうで気絶している間に物語は勝手に進行していたのだ。





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