異種族漫才?~ダンジョン編~
なんか、一つやりたいツッコミを思いついてしまったが故に出来たものです。
笑ってくれたらいいなって感じです。
ダンジョンの暗がりの中二つの声があった。
「いや、突然やけど僕なりたい職業があってな。」
ガシャガシャと金属のぶつかる音を立てながら、男の声が薄く反響する。
「ほんまに突然やな!なりたい職業!?それは一体なんなん。」
もう一つの声は男女とも付かぬ美声ではあるが、その影はどこにも見当たらなかった。
「冒険者。」
「ぼぼぼ、冒険者!?」
美声の持ち主が相方の答えに、過剰なまでに慌てふためく。
「そう!ほら僕らダンジョンのモンスターやからいつも攻められてばっかやん?」
「せやなぁ。やったやられたはトントンでも、攻めた攻められたはずっと一方的やなぁ。」
「偶には逆の気分も味わってみたいなぁって思ってね?」
洞窟型のダンジョンでは致命的なほどの音を立てながら話をする相方に、深く頷いたあと美声の持ち主は疑問を投げかける。
「なるほどなぁ。せやけど、冒険者も大変な仕事よ?なにせ、太陽の下歩き続けたりしなあかんらしいやないの。」
「それは、僕らアンデットには厳しいなぁ。」
「せやろ。ワシみたいなアンデットでも、相当の血を貯えてないとすぐ蒸発してまうんやから。」
「あぁ、君はそう言うタイプのアンデットやったんかいな。」
「そう言うタイプって、じゃあそう言う君はどう言うタイプなんよ。」
「僕は死んだ人恨みつらみが、装備に宿ったタイプよ。」
「あぁ、太陽浴びると、成仏するタイプかいな。」
「そういうことや、でもそれはそれで冒険者なってみたいんよ。」
「んんー、分かった。冒険者?、実際にはなれんくてもワシがその気分を味合わせたる。」
「ほー、そらまたどうやって?」
「簡単なことよぉ。君が新人冒険者としてこのダンジョンに来た人やって?ワシがそこで遭遇するモンスターやるから。」
「わかった!」
「ほな!ヨーイ、スタート!」
「テクテクテク。あー、初めてのダンジョン緊張するなぁ。まあ、でも!剣も鎧も!村でいちば「ギシャーー!!!ドゥワシャーーー!」ちょちょちょっと待って?」
「どないしたん。」
「いや、まだ自己紹介の途中やから。もうちょっと魔物でてくるの待って?」
「でも、魔物は冒険者側のタイミングなんか待ってくれへんで?」
「おぉい!先輩冒険者が言いそうなこと言うなぁ!君の方が先に冒険者気分味わっとるやないか。」
「あぁ、それはごめん。」
「あとギシャー!とドゥワシャーーー!って何の魔物やねん!」
「蛇型と無機物系やな。」
「一人二役なんて素人が手だすなぁ!あと、チョイスが絶妙にショボい!普通に人型のんで、手を挙げて、グオー!とかでえぇのよ!」
「自己紹介待ってから、手挙げてグオー!か、わかったわ。」
「ほなもっかい行くで?あー、初めての冒険緊張するなぁ!でも、村一番の鍛治師が作ったこの装備さえ有ればいけるやろ!」
「グオー!」
「おお!出たなモンス…!いやお前、片手しか挙げてなかったら、天地魔闘の構えみたいになっとるやないか!」
「いや、遊びで全力出すのもなって…。だから、半身だけ全力にしてみた。」
「敢えて力抜くことで強者ムーブしてたんかいな!今度、このダンジョンに冒険者来た時は、参考にさせてもらうけど。僕に冒険者の気分教えるって君が言うたんやから!今はちゃんと両手でやって!?」
「おぉ、確かにワシが言うたな。分かった今度は両手でやるわ。」
「頼むでホンマ。ほな、いくで〜。あー緊張するなぁー。」
「グオー!」
「出たな!魔物め!剣の錆にしてやる!喰らえ!」
キー!バサバサバサ!
「おーい!無数のコウモリになってよけるなぁ!新人冒険者言うてんねんから!敵役がそんな中位吸血鬼以上しか使えん技つかうなぁ。」
「いやー、今更やったけど君の剣、まあまあ強めの聖属性付いてたから。力抜いてるとは言え、ほんまに食らったらワシでも危ないなって。」
「おぉ!それは、ほんまに僕が悪いやつやん。ごめん。よう避けてくれた!ほな、今度はこっちの何の変哲も無い鉄の剣でやればいけるな。」
「それやったら、どんな攻撃でもワシも大丈夫やな!よし、もっかいいくで、ヨーイスタート!」
「あー、初めての冒険緊張するなぁ。でも、この鉄の剣もあるし!鎧はピカイチや!何でもかかってこい!」
「グオー!」
「出たな!魔物め!喰らえ!」
「…?」
「…」
「???はよ、切りかかってきいや。」
「もう切った。」
「は?おいおいおい!今頃になってワシの首がスライドしとる!切られた奴が気付けんレベルの攻撃すな!何処が新人冒険者やねん!」
「ちょっとむしゃくしゃして。」
「さっきの攻撃避けたの根に持っとるやないか!ワシとの友情より、武人の心取りよったでこいつ!後そろそろ転がった首取ってくれんか?」
「あぁ、はい首。うーん、まだ気が晴れんなぁ」
「あいあい、あざますあざます。気が晴れんって何よ、次からは鉄の剣でもちゃんと避けるで。」
「あぁ、いやそっちじゃなくて。手伝ってもらって悪いんやけど、冒険者気分味わっても、なぁんか気分が晴れんくて。」
「そっちかいな。そら君、最初に君が言うてたやないの。」
「僕が?最初に?」
「うん!攻め込まれてばっかなんがきに食わんー言うてたやん。」
「そうや?だから、冒険者の小芝居やってたんやん。」
「その流れがあかんねん。冒険者やっても結局魔物が先に出て来て、それを返り討ちにしとるやん。いっこも攻めとらん。」
「あぁ、確かに。ほな、どうすんのよ。」
「んー、人族の村に攻めに行ってみる?」
「えぇ!?」
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何卒、何卒ぉ