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突然のKiss
どうやって帰って来たかわからないまま、気がついたら柚子木の表札の前に立っていた。
「 ただいま… 」
「 おかえりなさい…ずいぶん遅かったわね 」
「 ごめんなさい… 」
「 何かあったの?… 」
「 ううん…なんでもない… 」
ハッ!
スマホの時間を確認すると、完全に門限の時間を過ぎていた。
もう何もかも終わりだ。
リビングに行くと、パパにハッキリと言われてしまった。
『 たとえどんな理由があっても、約束だから、明日から部活は禁止、門限も1時間早くするからな… 』
「 …… 」
「 檸檬!ご飯食べないの? 」
「 いらない! 」
あいつのせいで!
何もかも
あいつのせいで!
私は洗面所に駆け込んで何回も何回も歯磨きをしていた。
絶対に許さない。