でぶ
ふと目が覚めた。
今何時だ?
もう夜中の2時だ。
20時頃家に帰って、漫画を読んでちょっと横になろう、と思ったらこれだ。しかし今日のフライドポテトは当たりだった。ポテトは最後1人分のマズくてスカスカのヤツに当たったら、「マズいから変えて下さい」って言っても良いらしい。だが今日は揚げたてホクホクのヤツで、夜、公園のベンチに座ってポテトをシェイクに浸けながら食べたら、ウマイ。あっと云う間に天国だ。その帰り道、コンビニに寄ってチョコクレープと一緒に買った漫画を読んで、クレープを食べてそれから後の記憶が無いから、また眠くなって寝てしまいそのまま気を失ったんだろう。歯を磨くのを忘れた。何としても磨かなきゃ。
いくら明日が休みで夕方まで寝てても大丈夫だからって、歯を磨かなきゃまた歯医者通いだ。
仕事中、近くの席に座っているおばさん達の女子トーク(女子と云うにはかなり苦し過ぎるが)にイライラしながら、「ウイルス感染したらお前らのせいだからな。仕事しろよブス」と思いながら、仕事の度にチョコ1袋飴1袋平らげていたら、ある日眠れない程歯が痛くなり、歯医者に行ったらまた神経を抜かれた。今回はあいつらのせいだ。だから何としてでも磨かねば。歯を磨いたらすぐ寝て明日の昼過ぎに起きれば半日12時間睡眠だから半日断食した事になるよな。じゃあ大丈夫。
しかし体が重く目が開かない。今年も夏は憎々しい程暑かったが、もう秋の虫が鳴いてる。毎年何故か我が家の玄関前を墓場にするセミも鳴かなくなった。もう秋だ。
夜中は静かだ。こんな時に何故か急に詩を思いついた。ポエムってヤツ。何か傑作が出来たかも。こりゃイケるんじゃないかしら。ああ詩人になりたい。そうだ。詩人になれば人に会わずに生きて行けるんじゃないかしら。そしたらババア達の腹立たしいおしゃべりなんか聞かないで生きて行ける。良いな詩人。
いやそれでも歯は磨かねば。
よっこらせと起きあがり、歯みがきのその前に、チーズを食べたくなって冷蔵庫を開ける。これウマイな。クセになる味だ。ラムレーズンが入っているとかもう反則なウマさだ。ひと口サイズなのがまたニクい。結局3個食べる。丁寧に歯を磨いて横になる。さっさと眠くなる。
口を開けて寝ていたせいか、寝ている最中、自分のいびきが聞こえた気がしたが気のせいか。起きても何だかすっきりしない。本当はまだまだ眠れるが仕方ない。もう昼過ぎでパンザも鳴ったようだが気付かなかった。起きよう。
傑作だと思ったポエムは、次の朝にはキレイさっぱり忘れていた。詩人を目指すのは遠い未来の話のようだ。詩人になる未来があるかどうかはまた別の話。
今日もお菓子がうまい。
こんなにうまいのにお菓子はどうして栄養にならないんだろう。脂身にしかならない。人間の脂身なんか何の役に立つだろう?極寒に行けば寒さをしのげるかもしれない。
今日は、ネットに転がっていたレシピを試してみた。
バタークッキーにバニラアイスを乗せて塩を振ったらやめられない味だった。ああ美味しかった。これ考えた人は神だ。神様これ毎日やりたいんですけど良いですかね?朝ごはんにしたら素敵なんじゃないかしら?パンとかに乗せてもイケるんじゃないかしら?
真夏に買っておいたチョコがけポテトをお菓子袋の中から発見した。真夏の熱波で溶けて既に原型をとどめておらず、チョコが溶けてから油分が浮いて白い膜が張った固まりになっていた。「ファットブルーム」と言うらしい。袋を開けて固まりごと出す。賞味期限は今年の12月。まあ大丈夫だ。チョコは賞味期限から1年以上経ってても大丈夫。そのままかじってみる。元々は小さい固まりだったはずのポテトだが、大きな固まりになると、「何かのバー」に見える。しかし職場に持って行って食べるものではなくなっている。何故こんなになるまで放っておいたのか?味はまあまあだ。結局全部食べた。
先日行った工場の日勤バイトで、私より2倍位太った女がいた。足首を見るとサポーターを巻いていた。手の甲まで肉が付いてしまい、かなり歴史ある太りぶりだった。彼女は真夜中の休憩時間、社内にある自動精算可能なコンビニに駆け込んで、パンだのおにぎりだの野菜ジュースだのチョコだのシリアルバーだのヨーグルトだの10個近く買っていて、ひっそり気にして見ている私まで胸ヤケした。でも羨ましいような、親近感も覚えた。そうそう、野菜ジュース飲めば食物繊維とビタミン取った気になるんだよな。でも野菜ジュースって糖分たっぷりなんだとさ。あんまり栄養取れないらしいよ。残念でしたね。そんな私もその日の休憩時間はカップラーメンとチョ
コデニッシュと野菜ジュースだった。
しかしその太った女は話してみるとめちゃめちゃ気さくで良い人だった。しかも仕事も私の2倍速かった。私と一緒で2日目だと言うのに!
その後、その工場に何度応募しても勤務する事は出来なかった。私が何かやらかしたのかもしれないし、仕事が遅すぎて悪目立ちしたのかもしれないし、人気が有りすぎて抽選に通らないのかもしれない。私は他の工場で働くことになり、結局その2倍増しの女には会えていない。
「去年より15キロ太りましたね」
体重計は80キロ目前を指していた。今年は最高記録を更新した。去年、今より15キロ痩せていた頃は 標準体重まであと10キロと説教されるだけで済んでいたのだが、あからさまに危険信号点灯よろしく、健康診断でアドバイスをくれる医者も態度が変わる。あなたヤバイですよ。とジャブを打つ様にしきりに警告される。
イヤイヤまずいバリウムを飲んでゲップを我慢した胃の健康診断も、前回お世話になった医者はキレイな胃袋ですね、と言ってくれたのに、今年の医者は「ピロリ菌が居るかもしれませんね。」と言って来やがった!
何を食べたらピロリ菌が繁殖するんだ?ピロリ菌て昔から居るって言うのに何なんだ。ピロリ菌を語る美人の医者まで憎たらしくなってしまった。美人な所まで憎たらしい。
「糖尿病」についてまとめた本を急いで購入した。夜寝る前の食事は大変危険と書かれていた。そんなこたあ判ってる。だって夜食べるシェイク浸けフライドポテトは天国の味だからな!
ああどうしよう。どうしよう。半日断食なんて何の意味も無かったよ。
来年まで、次の健康診断までに15キロ痩せて、また標準体重まで何とか落とせそうな所に行かないと、白米ファミリーサイズ×1.5倍の重さ、その道のりはまだ遠い。