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夕日が綺麗な夏  作者: TSUBAKI
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♔プロローグ♔

♔プロローグ♔



(汚い、汚い、汚い、汚いッ!!)


っと思いなが何十分もシャワーの水を出しっぱにしながら

必死に皮膚がえぐれるぐらいの勢いで何度も何度も体の

隅々をボディーソープで洗う。


(なんで…なんでこんな事になっちゃったの)


出しっぱなしにしていたシャワーの水を止め、

しばらく俯き、自分の濡れた髪から滴る水をぼーっと

眺めていた。


ボディーソープの香りが肌に染み付いているのか、

良い匂いが鼻をくすぐり、何故か一瞬だけ安心感を

感じさせてくれた。


しかし、その安心感は一瞬で消え、今日の出来事が急に

頭の中でバッと一気にプレイバックしまた悪夢のようだった時間全てを思い出させる。


あの時の場の雰囲気、香り、味、音、感触、相手の表情、言葉、体臭、体温全てを思い出し、お風呂場で

しゃがみこんでしまう。


「汚れちゃったね」

「もう、後戻り出来ないよね」

「お金の為にそこまでやっちゃうだ」こんな言葉が

沢山耳元で囁かれているのうな気がして体が

動かなくなってしまった。


それも私の声で囁かれているような感じがし、とてつもない恐怖感が私を襲うのだ。


「…お金の為にこんなことしちゃうんだね、私って」


私は不気味な笑を浮かべながら、

へへっと作られたような笑いかたをし、

シャワーの蛇口をひねりまた浴び始めた。




人生の節目である20歳を迎えた誕生日の夜8時に

狂ってしまった彼女がビルから飛び降りてしまうお話。


フィクションでもあり、ノーフィクションでもある。


あなたを狂わせるようなお話を開幕させようではないか

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