初邂逅part2
調子がいい時で日に4000文字書くか書かないか位なので投稿はペース遅めです。
軽く呼び掛けても反応は無く、呻き続けるだけの推定女に段々と腹が立ってきていた。
(こいつは今苦しげだが、急に現れたと思ったら背中に凶器を突きつけてきて、それが勝手な事を言いつつ突然ひとりでに苦しみ始めやがって、これ、俺が心配する必要あるかね?)
少しづつ頭に血が上るのを感じつつ、その蹲りかけた姿を観察した。胸の辺りにある手とは逆側の手は力を込めれないのだろうか腕ごと地面に真っ直ぐ伸びていた。何か、木の柄を握るようにしているが、弾力のある苔に半分埋れており何かは判別付かない。ふと背中に押し付けられた感触を思い出し、もしかしたら凶器かもしれないものをそのままにして良いのだろうかという不安が押しかけてきた。
だが、どのようにして手に握るそれを取り上げるかを悩む。呻き声は聞こえなくなってきたが、代わりに浅く早い呼吸を繰り返し、身体から力が抜けていくのか本当に蹲るように段々と体勢が前傾に倒れつつあった。それを支えるのが地面に突いた凶器を持つ手で、存外まだしっかりと握っているのが分かる。そこに取りに行って、グサリとやられたらたまらないとばかりに頭を軽く降り、自分が持つのではなく、こいつが持たなければ良いのだと思い至る。
考えが纏まったのであれば後は行動するだけである。幸いにも苦しいためか自身で手一杯の状況でコチラを気にかけている様子は無い。又しても腕の中で暴れる赤ん坊を抱え直し、地面に付けられた左手側の斜め側、蹲りかける人物の丁度左後ろ側にゆっくりと移動すると一度チラリと地震の右足を置く位置見てから地面を蹴り助走を付けた。
助走の勢いのまま歩幅を合わせ、最後に左足を勢いよく踏み出すと後ろに残した右足を少し浮かし力を込め地面に付けられた左手ごと握る木の柄を勢いよく蹴飛ばした。
恐らく助走のタイミングでコチラの動きを察知したのであろう、握る手に力を入れたのが見えたが弱った身体に抗う力は残っておらず、握ったもごと手は勢いよく弧を描くように跳ね上がり腕が地面と水平になる所で抗えずに握ったものを手放した。
放物線を描いて向こうに飛んでいくそれはただの木の枝だった。いや、勢いよく飛んでいったのでしっかり確認できているわけでは無いが、ある程度形が整えらているっぼくても良く言って木の棒である。
「Aa・・・」
放物線を描くそれを間抜けな顔で送り出す俺の耳に赤ん坊の声とは違う、糸の用に細くそれでいてとても澄んだ声が聞こえた。
同時にドサリという音も聞こえ、恐らくその声の主であり、尚且つ俺を後ろから襲った人物が辛うじて身体を支えていた腕を跳ね上げられ、そのまま倒れ込んだのだろうとあたりを付けて振り向いた。
振り向くとそこには細く、長く、キラキラと光を反射する銀色の髪の毛が広がっていた。
それは今まさに蹲る人物のフードの辺りから広がっており、今も尚フードの中からサラサラと地面に溢れ続けている。
今も広がる髪はパッと見ても身長を超えるながさがあり、それでいて枝毛とは無縁そうな艶がある。数秒経ったが尚溢れ続ける髪の毛は恐らく頭の上で固く結ばれていたのであろう、段々とフードが萎んでいく様からもその様子が伺えた。
(えぇーーー)
内心でどうしたものかと混乱するが、直ぐに抱いた赤ん坊の暴れる手が顔をピシャリと叩き正気に連れ戻される。
「と、取り敢えず、寝かせとこうか…」
誰が聞いている訳ではないと理解はしているが、苔に顔を埋める女(確信)への罪悪感からか誰に話しかけるでもなく、独り言を口に出し膝立ちの状態で顔から地面に突っ伏している前衛芸術の元へ歩み寄った。