あ、あ、あ、あ、あの
布団にくるまりつつ、はんぶん寝ながら書いてるので誤字とか辻褄は朝気力があれば直します。
「やめてくれ!」
自身の寝言と共に飛び起きた。
とてつもない、アニメの世界から出てきたような美女に迫られる夢を見た。夢とは言えど、もう少しで喪失するところだったが、すんでのところで押し戻してきた。
飛び起きたまま目の前の光景を見ると森だった。そう、今は謎の森にいたのだと思い出す。同時に拾った赤ん坊の事が気になった。これだけ放置してしまっては流石に不味い、と辺りを見渡すが影も形も無い。
振り向いた際、恐らく枕にしていたであろう物が手に触れた。
持ち上げてみると、麻袋を縫い合わせたようなゴワゴワな生地の外套だった。
「なんだ、こりゃ」
謎の物体に考え込みそうになるが、赤ん坊の事があると自分を叱責し外套をその場に置き立ち上がった。
自身が寝ていたのは大木の根本にある苔地帯だったので、取り敢えずは大木をグルリと一周見て回ったが赤ん坊は見つからず、この大木の大きさがとてつもないという事が分かるのみだった。
「んだよこの木、大き過ぎだろ。」
昔、叔父に連れられて行った日本一の大木のようなヒビ割れなどが全くない。瑞々しいのに、それでいて日本一の大木なんて目じゃない位の大きさだ。大きさに辟易しつつも、根の間などを更に丁寧に調べたが、赤ん坊は見つからなかった。
(狼にでも連れていかれたか?いや、それにしては血痕ひとつないのは不自然だ。)
冷静にあたりを見渡すようにしつつも内心は焦りつつあった。
「くそっ」
自発的にそう遠くに行けるとは思えなかったが、周辺に痕跡がない以上仕方が無いと大木を起点としてゆっくりと円を描くように探し歩いた。円を少しずつ広げながら、螺旋状になるように歩く事10分ほど、倒木のあたりにやってきた。
(そういえばコイツのせいでここだけ視界が途切れてるな・・・)
元いた場所の大木ほどではないが、軽く自分の背丈を超す直径を持つ大木である。高い所から見てみるのも良いかという思いもあり、枝が伸びていたのであろうとっかかりに足と手を掛け登った。
想像以上の登りにくさに悪戦苦闘しつつ、やっとの思いで木の上に登り一息つく。顔を上げる後ろの光景と特別代わり映えしない森が続く光景が広がっていた。ぐるりと遠くになにか無いかと見渡すが、変わった事はなかった。今足元にある木が恐らく100メートル以上の長さであり、改めてこの森の木々の異常な巨大さを思い知るのみであった。深い溜息をつき踵を返すと、どうやって降りようかと逡巡し始める。すると、どこからか水をバシャバシャと弾く音が聞こえてきた。
瞬時に顔を上げると少しの音も聞き逃さまいと息を止め、耳を澄ませた。音は木の上部であったであろう未だ葉が残った側から聞こえてきていた。音の出どころを確認すると、木の上を急いで掛けた。数秒ほどで音がするであろう葉の茂る場所に付いた。もとの大木から見ると丁度倒木を挟んで反対側だ。近づくにつれ大きくなってきた水を叩く音と、赤ん坊のものであろう声も聞こえていたため、その場所につくと安堵のため息と共に下に降りれる場所を探す。
なんとか枝に捕まりつつおりれそうな場所があったため、おっかなびっくり枝に足を掛け、上の方ではまた別の枝を持ちそれを交互に降りるのに合わせ場所を変える事で少しずつ下におりた。
おりれそうな所を探して探しつつ降りたため下に着く頃には随分と声から遠ざかっていた。
倒れても尚青々しい枝葉を避けながら、赤ん坊の声に少しづつ近づいていく。先程から軽くぬかるんできたが、枝葉に光が遮られて足元がよく見えないため慎重に進んだ。
恐らくこの枝の向こう側だろうという所まで近く。目の前には丁度目線の高さで腕まわりよりも太い枝が地面と垂直に伸びており、上下に葉っぱをしならせた枝が分厚いカーテンのように視界を遮っていた。
もうこの一枚を挟んだ目の前で元気そうな声が聞こえているからだろうか、少しづつ他のことにも気を取られていく。青々と茂る葉の形は銀杏のそれに似ているが、厚みが通常の10倍以上はありそうな程にモッチリとしている。一枚千切ってみたところ、ジワリと水分が断面から滲みてくる。試しに膝の裏に垂らしてみたが特別痒くなったりはしなかった。また、持つために二本指でかるく摘んでいた部分からまるで溶け出すかのように少しづつ水分が染み出していた。
不思議な植物について観察しながらも、抜けれそうな、枝がしなる場所を見つけゆっくりとかき分けていった。
枝葉のカーテンを抜けると、そこは小さな広場になっていた。天井部分は良い具合に光が差し込んでおり、中心付近を照らしている。
その中心付近では水が湧き出ているらしく、指の関節二つ分程の高さに湧き出しては地面を伝っていた。
湧き出す水の真横、そこに赤ん坊がおり、湧き出る水を上からバシャバシャと手で叩いては嬉しそうに笑っていた。
「まったく、どうやってお前はここに来たんだ…」
ため息混じりで独り言のような言葉を吐き出しつつ、赤ん坊に歩み寄った。
正面から近付く俺に、赤ん坊が驚いたような顔をしていた。また、何か後ろに居るのかと振り返るが何もいないが、赤ん坊が驚いた理由は分かった。
広場に差す光は丁度真ん中辺りだけを照らしており、周辺は真っ暗なのだ。気付いてみればなんて事は無かった。そういえば、光の向こうにある広場の対面側は暗くてよく見えない。
「なんだ、びっくりさせるなよ」
自嘲気味に笑いつつ、赤ん坊の元に歩み寄った。
赤ん坊も驚いたような表情を直ぐに消し、笑顔を作ると手足を巧みに交互に動かし、ゆっくりと俺に近付いてきた。
必死に手足を動かすその姿が愛らしく、思わず立ち止まり眺めてしまった。足元まて来た所で腰を落とし、脇の下に手を差し込む持ち上げた。
今までと同じように抱っこしようと考えたが
、どこか記憶の彼方で指摘されたような気がして、深く抱き直し空いた方の手で背中を優しく支えた。
すると、これまでは抱く度に暴れていたのが嘘のように大人しくしていた。大人しくしたらしたで耳の直ぐ横で指をしゃぶる音が延々と聞こえるのだが…
妙な達成感に感動を覚えていると、唐突に赤ん坊が俺の頭を叩いた。ペチペチと肉厚の手のひらで側頭部を数回叩くと自身の後ろ側、俺から見て正面側を見て手を伸ばしていた。
伸ばした手は固定できないのか、フラフラと上下左右に行き来しつつも、ずっと暗い壁際を見つめていた。
ここからでは暗くてよく見えない。ゴクリと喉を鳴らして赤ん坊が差す方向へ静かに近寄る。
「何かあるのか?」
「うあーうーあーぶぅー」
話しかけた所でまともな返事が返ってくる事もないまま、湧き水を迂回するようにゆっくりと近付いた。
「だれか、いるんですかー」
緊張して掠れた声になりながらも呼びかけて見るが何かあるようにはみえない。と思った矢先、微かに衣擦れの音が聞こえた。
枝葉の加減により、光が全く差していなく、暗闇となっている。もう一度ゴクリと喉を鳴らしてからへっぴり腰のまま暗闇に一歩一歩近づいていく。
一歩足を踏み出す度に、暗闇のでは衣擦れの音が鳴る。何が飛び出しても良いように、赤ん坊の背中を支えていた手をグルリと赤ん坊の背中からお腹にかけて半分巻きつけるように守りの体制をとったその瞬間、大きく草木が擦れる音がした。
風が大きく吹いたようで、押し出される風が更に草木を押し除けているのが聞こえるが、当然この広場の頭上も例外ではない。ギチギチと何かが擦れ合う音が聞こえ頭上の枝葉が
大きく揺れている。
また、それに合わせて間を抜けていた光も、差す方向をユラユラと変えていた。
それは、丁度目の前にはある暗闇を照らすのに役立ち、長い銀髪で、両手にそれぞれ持った下着らしきクリーム色の布を胸元と足の付け根あたりで固定した女性の姿を浮かび上がらせるのであった。
「あ、あ、あ、あ、あの…」
何を言うでもなく、ただ取り繕う為だけに発せられた言葉に意味は無く、ただ虚空に消えていった。




