荷造り ②
短いっすね
満月まであと4日。余裕を持って明日には出発する。
「あれ、おっかしいな。」
「ん?どうした。」
今日はヴェルが御飯を作ってくれている。いや、今日からずっと。らしいです。
「何故か、火が出せないんだよ。火魔法は得意なんだけど。」
「ふーん、火打ち石使う?」
「・・・」
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食後、2人は外輪山の外に出た。凸凹の斜面には石灰で点が打ってある。
「やってみろ。」
「了〜解っ!」
ヴェルは金属製の直方体(5×30×20cm程度)のようなものを持っている。下部にあるボタンを押し、全長を引き延ばす。隠れていた引き金が現れる。銃床を肩につけ、照準を定めて引き金を引く。
銃声が響き、斜面が土煙で見えなくなる。土煙が流れた後の斜面は茶色一色。石灰があった場所が窪んでいる。
ヴェルはしばらく驚きで硬直していた。
「上出来じゃないか。」
「そう・・かな?」
「そうだよ。」
「・・えへへ。じゃあ、褒めて褒めて。」
ポンポン。と頭を撫でてやる。
「なんだ、朝っぱらからうるせーぞ。」
不機嫌そうな声が上から聞こえた。
「すまんキリク。どうしても今日中にやっておきたくて。」
崖の上の方で寝ぼけた顔が飛び出している。
「今日中って、どっか行くのか?」
「王都の方にちょっと。」
「王都か。アレ持ってくの?」
「もちろん。」
次はいきなり王都。