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通り雨の旅行士《トラベラー》  作者: 赤黒伊猫
インターミッション:騒乱劇のその後に
40/41

シーン13:明日へ旅立つその意志を



 -§-



「さっきのお店、すっごく美味しかったですね! エメリーさん!」

「ちょっとリウィア、はしゃぎ過ぎよ。ほら、ちゃんと前見て」


 花咲くような笑顔を振りまき、浮き立つように足取りも軽く。ご機嫌ご満悦なリウィアに手を引かれるままのエメリーが苦笑を零しながら言う。


 宿泊先を出てから数時間ほど経ち、二人はすっかり首都観光を満喫していた。


 思い返せば、ひたすら資金稼ぎに追われ、気が滅入った仕事詰めの日々。

 遊びを楽しむ余裕などろくになかった一ヶ月間の鬱憤を晴らすべく、エメリーたちは手当たり次第に店々を巡っては上等な料理や菓子の数々に舌鼓を打ち、露店に並ぶ物珍しい品々や歴史情緒あふれる街並みを見て回った。

 予定や順路など考慮しない、足先が向くに任せた、勝手気ままな道行きである。

 諸々の煩いごとから解放された解放感も相まって、改めて経験する首都“ゲルプ”の空気感は、実に新鮮でありかつ刺激的であった。


 なにより。明日の早朝にはもう、この街を立ち去るのだ。

 改めてそう考えてみると、無性に名残惜しくなってくるもので。そこはかとない寂しさが、じんわりと胸の奥に染みてくるようだった。


 とりわけ二人が会話を弾ませたのは、苦労話や失敗談の類であった。

 

「エメリーさん、ほら! あそこ! あの空き地って……」

「……ああ、私が廃屋の解体工事を手伝ったところね。身体中埃塗れになるわ、口や目に砂が入るわで、ほんと散々だったわよ。二度と御免だわ」

「ふふ。帰ってきたときのエメリーさん、全身真っ白で髪もぼさぼさで、びっくりしちゃいました。シャワー浴びながらずっと怒ってましたね」

「し、仕方ないじゃないの! あなただって、ほら! あの路地裏! たしか迷い猫を捜すために入り込んで、自分の方が迷子になりかけてたじゃない!」

「あ、あはは。結局、ヴィルさんに迎えに来てもらいました。猫ちゃんはレーゲンさんが見つけてくれましたっけ。顔中、引っ掻き傷だらけになって……」

「猫の集会のど真ん中に突っ込んだらしいわね。どうしたらそんなことになるのかしら。あんまり情けない顔してたから、思わず笑っちゃったけどさ」

「笑ったら可哀想ですよ。レーゲンさんと言えば、配達をしに行ったとき……」


 以前に依頼の関係で訪れた場所を通りがかる度、エメリーもリウィアも当時の状況を鮮明に思い出しては、苦笑交じりにその顛末を語り合った。

 あれほど嫌で嫌で仕方なかった長い労働の日々も、過ぎ去ってみれば得難い経験であったような気がしてくるから不思議だった。喉元過ぎればなんとやら。件の大喧嘩ですら過去の出来事となれば笑い話だ。懐かしさすら感じてしまう。


 そうして現在。怒涛の勢いで味覚と視覚に刻み込まれた思い出の数々を反芻しながら、小休憩の意味合いも兼ねて買い物の類は一旦停止、二人は市街巡りのペースを落としてのんびりとするターンに入っていた。


 昼下がりを迎えた街角を、二人連れ立ってぶらぶら歩く。

 騒がしい繁華街から離れた旧市街の小道は、心落ち着くような静けさに包まれている。吹き抜ける風もどこか軽やかで、道行く人々の表情にもあくせくしたものがない。小鳥のさえずりと付近を流れる小川のせせらぎが優しく耳朶を撫でていく。

 平和だ。ここには破壊の音も、猛り叫ぶ声も。心臓を乱暴に高鳴らせるような音色はひとつも存在していない。騒ぎ乱るる四重奏は彼方に過ぎ去り、風が届けたその残滓すらも、すでにこの街からは拭い取られているようだった。


「……静かですね。なんだか気が抜けて、欠伸が出ちゃいそうです」

「しばらく忙しかったから、そのギャップで余計にね。まあ、張り詰めてばかりじゃ参っちゃうし、たまにはこういう時間も必要よ。そういう意味ではあの騒がしい二人がいなくて良かったかもね。おかげでゆっくり彼方此方を回れたし」

「ふふ。レーゲンさんたちと一緒でも、きっと楽しかったと思いますよ」

「楽しさにも性質があるのよ。連中に付き合ってたら弾丸ツアーになりかねないわ。しかも暴飲暴食のおまけつきでね。……あいつら、どこにいるのかしら」

「そういえばさっき、すれ違った人が『物凄い大食いの二人組が飯屋をハシゴしまくってる』とか、そんなことを言ってたような……」

「……どうやらあいつらとは陽が沈むまで合流できそうにないわね」


 そんな会話を交わしつつ、道なりに路地を抜けていった先。やがて二人はこぢんまりとした広場に行き着いた。その中央に置かれた、しゃわしゃわと控えめに飛沫を空に散らす噴水の縁に腰掛け、どちらともなしに「ふぅ」と一息を吐く。


 そんな二人の傍らには、いつの間にか増えた多くの荷物が。

 それは道中で衝動買いした他愛のない小物や菓子の包みの集合体であったり、この一ヶ月間で知り合った市民から餞別にと手渡された品々であったり。


「なんだかんだ、この街にも愛着ができてるのかもね、私も」


 エメリーは独り言ち、大きく伸びをする。


「はあ。ほんと、久々に遊んだって感じ。一ヶ月分の埋め合わせとしては十分ね」

「私はすごく楽しかったですよ。色々なものが見られたし、エメリーさんも一緒だったし。……ふふ、嬉しいものを独り占めしちゃいました」


 そう言って幸せそうにはにかむリウィアの横顔を眺めながら、エメリーもまた不思議な幸福感を噛み締めていた。それは懐炉を抱いたような暖かさが、じんわりと体中に広がっていくような、思わず口元を緩めてしまいそうな感覚で。



 -§-



(……どんな顔してるのかしらね、今の私)


 かつて故郷にいた頃の自分からは考えられないような心持ちだ。

 周囲を無差別に敵視し、関わりを遠ざけ、安寧な日々を停滞と蔑んだ。

 吹き荒ぶ寒風に望んで身を晒し、身を切る冷気に憤りを以て挑みかかった。


 充実した日々ではあった。


 手の平に傷痕が増える度。

 指される後ろ指が増える度。

 目の奥に鈍い痛みが増していく度。

 自負が深々と刻まれていく確信があった。


 しかしそれは孤独に身を浸し、凍えながら去勢を張るも同然の有様で。限界まで膨らんだ風船になおも空気を吹き込もうとする所業に等しく。


(若気の至り、なんて言えればまだ格好はつくけど。なんのことはない。拗ねたガキが意地を張って、せまっくるしい世界の中で癇癪を起こしてただけね)


 翻って現在の自分は、臆面もなく友達と呼び表す関係を他者と結び、彼女らと過ごす日々に有難みすら感じている。率直に評して、満たされているのだ。

 言葉にすれば気恥ずかしさで顔が霜焼けのようになりかねないが、この段に至って自らを偽るほどエメリーは意固地でも狭量でもなく。

 絆されたのだとすれば、なんだかんだと付き合ってきた連中のお陰なのだろう。

 もちろん相応の気苦労と桁外れの艱難辛苦も抱き合わせだったが。


「……ま、悪くないわよね」


 エメリーは自らの現状をそう結論した。そう、悪くない。


 かといって、この微温湯めいた安息に延々と浸り続けるつもりもない。

 死地を生き延び、立ち直ったからには、また意気を新たに突き進むだけだ。

 頂きを目指す意志は萎えていない。魂に宿した反骨の焔はいまだに燃えている。


 だからこそ、今はこの穏やかさを享受する。心身を休め、そしてまた歩き出すのだ。宛てもない荒野を切り開き、果てのない旅路を踏破せんとして。


(この世で一番、強くなってやる。姉様にも、胸を張れるくらいに)



 -§-



(……ああ、今の私。きっと、この世で一番、幸せかもです)


 エメリーが灼熱の決意を固めている傍ら。リウィアは麗らかな日差しを浴びながら、ぼんやり蕩けた表情を浮かべていた。


 乞い焦がれる憧れの対象を独り占め、心躍るもので溢れかえる街並みを、思う存分自由気ままに練り歩く。ほんの数週間前の暮らしからすると、信じられないような出来事だ。まるで夢でも見ているような幸福だった。


 来る日も来る日も、変わり映えのない平穏な日々。

 諍いも危険もなかったが、大きな感動など望むべくもなく。

 まるで籠に閉じ込められた小鳥のような生がかつての自分の総てだった。


 なによりそんな境遇に疑問すら抱かず。かすかに残った両親の記憶だけを縁に、ただ与えられるものだけを己が望みと錯誤して。やがて訪れる死の運命すらも、その恐ろしさを想像することさえなく、甘んじて受けるべきなのだと妄信して。


(だけど、籠は壊されて。新しい風が、熱が、私の中に吹き込んで)


 その果てに待ち受けていた裏切りと、絶望と、恐怖を。


 怒ってくれた人がいた。

 救ってくれた人がいた。

 奮い立たせてくれた人がいた。


 そんな人たちが、友達になってくれた。一緒に旅をする仲間になってくれた。知らなかったことを、見たことのないものを、たくさん経験させてくれた。


 きっとこれは、一生かかっても返せない恩だ。

 否、返そうとすることすら彼女たちは望まないだろう。

 ただ一緒に居るだけでいいと笑ってくれる優しい友達に、一度は身勝手な感情を押し付けて喧嘩になったりもしたけれど、それでも離れずにいてくれた。


 だから、考えたい。知りたい。

 自分にこれからなにができるのか。

 自分はこれからなにを与えられるのか。

 

 押し付けではなく、分かち合うものとして。喜びも、幸せも。苦難も、痛みも。好いものも悪いものも、奇麗なものも汚いものも、一緒に感じていきたいから。


(明日からの、新しい景色を。皆と一緒に、私は見たい)


 だから今は、このかけがえのない時間を楽しもう。二度と巡ってはこない今日を噛み締めよう。また明日から始まる旅路の険しさに挫けないように。心が折れ砕けそうな瞬間に思い出せるように。魂が削れるような絶望に立ち向かえるように。


(私も、……強くなりたい。強く在りたい。皆のように、きっと)


 と、そこで不意に視線を感じ。振り向いてみれば、間近にエメリーの顔がある。


「――ふぇっ」

「……? どうしたの、リウィア?」


 桜色の瑞々しい唇から、グラスを弾いて奏でるような澄んだ声が零れる。

 まるで新雪のような白い肌に、精巧な彫刻のような整った顔立ち。

 ほんの少し癖のある黒髪が、淡い陽光に照らされて艶々と輝いている。

 眼鏡のレンズの奥、確固たる意志を宿した翠玉の瞳はキラキラと煌めいて。


 それが、そのすべてが、真正面からこちらへ向けられている。


「――あ、ぁ」

「なんか、顔が赤いけど。もし具合が悪いなら」

「あ、アイス!! あそこ、アイスの屋台が、ほらほら!! お、お、美味しそうですね!! 急に食べたくなっちゃった、か、買ってきます!! エメリーさんの分も、えと、い、い、行ってきまぁああああああああああっす!!!!」


 リウィア・カントゥスは逃げ出した。



 -§-



「――あ、ちょっと!! リウィア!!」


 咄嗟に呼び止めたが、すでに遅く。脱兎のごとく駆けて行ったリウィアの背を見送って、数秒後にエメリーは深々と溜息を吐いた。


「……どうしてこう、私の仲間には突発的な奇行が出る奴ばかりなのかしら」


 リウィアはいい子だ。十二分過ぎるほどにいい子だ。

 が、たまにこのように不可解な言動を繰り出してくるから、レーゲンやヴィルと同様に油断ならない人物である。やはり自分がしっかりしなくては。


 エメリーが己が所業の数々を棚上げしつつ見守る前で、リウィアはアイスの屋台にずらりと並んだ行列の最後尾に着き、行儀良く順番待ちを始めた。

 こちらとはだいぶ距離がある。大声を張り上げなければ言葉も届かないだろう。

 なにかあってもすぐに対応できないという点では不安だが、ここ“ゲルプ”の治安の良さを一先ずエメリーは信用することにした。加えて広場の隅には警邏任務中と思しき〈ゲルプ騎士団〉の団員が、走鋼馬の上から周囲を見守っている。


 危険はない。エメリーはそう判断し、リウィアから視線を外さぬように注意したまま、彼女が戻ってくるのを大人しく待つことにした。


「――よう、久しぶりだな」


 だから。完全なる不意打ちとして掛けられたその声に、エメリーは思わず肩を跳ね上げてしまった。咄嗟にそちらを振り向けば、見覚えのある顔の人物が――


「……え。その、すみません。どなたですか?」

「ご挨拶だな、オイ。アタシがこんな格好してちゃ悪いか」


 ――聞き覚えのある声で、まったく見覚えのない恰好をしてそこに居た。


「……まさか。……えっと。……イーリスさん、ですか?」

「おう、そうだよ。憶えててくれて嬉しいぜ、エメリー・グラナート」


 白いブラウスの首元に赤いリボンを結び。腰元を絞ったスタイルの黒いキャミソールワンピースを着込み。赤銅色の髪をポニーテールに纏めて。

 泣く子も黙る雷撃術の使い手。“シュレーダー隊”副隊長、イーリス・アーベラインが、なんとも可愛らしい風体でエメリーの目の前に現れたのだ。


「……言っとくがな。これでもアタシはまだ二十代の女子だぞ。出かけるときくらいはまともな格好するわ。それともなにか? 似合ってねぇか?」

「あ、いえ。か、可愛いです。はい。思ったよりも、普通に」

「お前、知り合いに一言多いって言われねぇか?」


 ぎらぎらと輝く真鍮色の瞳を、じっとりとした半目に眇め。不機嫌そうな声色でそう言ったイーリスに、エメリーは慌てて言い返す。


「に、似合ってますって。ただ、第一印象と違いすぎて、正直戸惑ってて」

「ああ、ああ。これはアタシが悪かったな。そうだろうな。鉄火場の印象、引き摺るよなそりゃ。まあ、いいや。別に怒ってねぇよ。怒ってはな」


 実際、イーリスの表情は怒りを堪えているというよりは、拗ねたような寂しそうな感情が滲むもので。そうしてみると戦場であれほど雄々しく、勇ましく振舞っていた騎士が、どこにでもいる普通の女性に見えてくるから不思議なものだ。


「その、……すみませんでした」

「謝んなって。余計に惨めになんだろ」


 イーリスは肩を竦め、やさぐれたような苦笑を見せた。

 そうするとエメリーにも見覚えのある「らしさ」が浮かび上がる。

 しかし何故、彼女が声をかけてきたのか。訳が分からず目を白黒させるエメリーに、イーリスは「横、座るぞ」と声をかけ、噴水の縁に腰掛けた。



 -§-



「……いいんですか。私たちと接触して。見られたら、不味いんじゃ」

「よくねぇ。が、構わねぇよ。そんなに人目もねぇし、アタシはこんな格好だしな。小声で話してりゃ気付かねぇって。長居するつもりもねぇしな」


 実際に広場の隅に居る騎士団員も、ちらりとこちらを見はしたが、すぐに興味を失ったようだった。それでもエメリーは心臓が縮む思いだった。


「……要件は、なんですか?」


 乾いた喉を呑み込む唾で無理矢理湿らせて、どうにかエメリーが発した問いには、即座にイーリスから明確な答えが返る。


「別に。買い物してたら、偶然お前らが目に入ってさ。ちょっと伝えたいこともあったんで、声かけさせてもらっただけだよ。デートの邪魔して悪かったな」


 その言葉通り、たしかにイーリスは食材や日用品がぎっしり詰まった紙袋を、片手に抱えていた。ならば偶然見かけたという言葉は本当なのだろう。

 一方でエメリーがリウィアと首都観光をしていた事実を知っている以上、少なくとも数十分ほどはこちらの様子を見張られていたのは確実で。


「……あの。私たち、明日にはもう首都を出て行くつもりで」

「ああ、そりゃよかった。なら心配事のひとつは解消されたな。そろそろ軍の連中が痺れを切らし始めてたからよ。面倒臭ぇことになる寸前だったぜ」


 告げられた事実に、エメリーの眉根が寄る。

 その様子を見やり、イーリスは口元を歪めた。


「へぇ。あまり驚いてなさそうだな」

「色々と勘付くところがありましたから」


 そう。エメリーは首都に滞在できる()()()()を察していた。

 実を言えばこの一ヶ月間エメリーが不機嫌だった理由もそこに由来する。

 出発を急がなければならない。しかし準備が中途半端なままでは旅立てない。仕事の忙しさに加えて、その板挟みの事実が、彼女の神経を擦り減らしていたのだ。


 とはいえエメリー自身も、確証を得ていたわけではなかったのだが、


「渡された口止め料が妙に高額だったり、街中を歩いているとやけに視線を感じたり。なんとなく、私たちが“ゲルプ”に留まり続けるのを快く思っていない連中がいるんだろうな、くらいのことは途中から考えるようになってましたよ」

「明察だな。どの辺りから気付いてた?」

「……レーゲンが退院して、整備が完了したヴィルが戻ってきて。宿の手配とか諸々を済ませて、本格的に資金稼ぎを始めてから、数えて三日目くらいですかね。正直、半信半疑の状態がずっと続いてたの、だいぶキツかったですけど」

「で、ようやく答え合わせが済んだってわけだ」


 イーリスが口笛を鳴らす。素直な驚きがその顔には表れていた。


「わりかし本気の提案だがな、アタシの部下になる気はないか?」

「率直に返しますが、勘弁してください。まだやりたいことがあるし、危なっかしい連中の面倒も見なきゃならないんで。それに、……軍人って嫌いなんです」


 エメリーはそう言ってから気まずそうな表情になり、ぽつりと「イーリスさんたちのことじゃないです」と付け加えた。対してイーリスは気を悪くした風もなく、


「そうかい。だったら、この話はナシだ。悪かったな。忘れてくれ」


 と、あっさり引き下がった。が、それはそれとして残念ではあるようで。


「本音を言えば惜しいがな。アタシの主観だが、お前はかなり見所あるぜ。特にその洞察力と土壇場での胆力は大したもんだ。空素術士(エーテル・ドライバー)としちゃあ得難く、けど一番必要な才能だよ。きっと大成するぜ、エメリー・グラナート」


 イーリスの称賛がお世辞でないことは、エメリーの目にもよく分かった。しかし、それだけに。エメリーはひどく苦々しい表情になって、絞り出すように言う。


「……止してくださいよ。私、これでも故郷では劣等生で通ってたんですよ」

「は! そりゃあ周りの連中に見る目がなかっただけだろ」

「……あの。知ってるとは思いますが、私の出身〈皇都魔導学院クラースナヤ・ズヴェズダー〉ですよ。評価基準としてはこれ以上のものはないと思うんですが」

「ああ。超がみっつばかし重ねて付くような名門校だろ。だからどうしたってんだよ。いくらハコが立派でも、中身の評価には関係ないだろうが」


 故郷の者なら誰もが畏れ敬う学び舎の名を、まるでちり紙かなにかのようにあっさり切り捨てられ、エメリーは唖然としてしまう。

 そんなエメリーをじろりと横目で睨み、挑みかかるようにイーリスは続ける。


「出身がなんだよ。ンなこと言ったらアタシの両親は事業家で、リーンハルトなんて仕立て屋だぞ。隊員の奴らも素行不良者の集まりだし、古参メンバーに至っちゃ懲罰部隊からの出戻り組だ。そんな奴らが今じゃあ立派に国家と民草の平穏護ってんだぜ? それともお前の目にアタシらは劣等生の集まりに映るかい?」


 遠慮も躊躇いもまるでなく堂々と言ってのけたイーリスに、エメリーは返す言葉もなく俯いてしまう。あの鉄火場において“シュレーダー隊”が示した在り方は、まさに誇り高く勇猛なる騎士と呼ぶに相応しいものだった。


 だから、エメリーは頭を振る。否定の方向に。


「……そんなこと。あなたたちは、立派です。立派でした。劣等生だなんて言えるわけがない。あんな怪物に真っ向から立ち向かったあなたたちが、騎士に相応しくないなんて、この世界の誰にだってそんな馬鹿げたこと言えるはずがないですよ」


 分かっている。分かっているのだ。

 評価も、出身も。命の瀬戸際を擦り減らす戦場では、そこで振るうための力には。なんの裏付けにもならないことを、痛みとともに思い知ってきた。

 割り切ったつもりだった。振り切ったつもりだった。


「だけど、……だからこそ、ですかね」


 けれど、それでも。ふとした瞬間に込み上げる劣等感は。嫌というほど突き付けられてきた無才は。心に刻まれた傷痕は、そう簡単に消えるものではなく。

 むしろ信念を磨き上げ、魂を烈しく燃やせば燃やすほど。

 己が心中に見出す、罅割れのような亀裂は、鮮明に浮かび上がるもので。


「どうしたって、私に才能はない。それはもう前提条件ですよ。誤魔化したって意味ないし、意地を張っても無駄。出来損ないとまで評された私が、そんな奴らを見返してやるって一心で鍛えて、ある程度までは強くなれたと思ったけど」

「……そんなに重いもんかね。〈紅きグラナート〉の家名は」


 告げられた家名。久しく耳にしていなかったその響きに、エメリーは思わず身を強張らせ、けれど唇を引き結んで頷く。そこはもう、認めるしかないのだから。


「重いですよ。離れてみて、余計に痛感しました。実家にいた頃は好きに買い揃えられた魔導具(ガジェット)も、こうして旅をしてみればひとつ手に入れるだけで莫大なお金がかかる。そのために働いて、働いて。でも、それが当たり前のことなんですよね」


 だとすれば。そんな当たり前が分からなくなるほど、何不自由ない生活を赦されていた〈グラナート家〉に生まれ育った境遇を、その特権に比類するだけの重圧を。両親や、姉や、先祖代々は背負ってきたのだと今更ながらに理解すれば。


「だったら拗ねてる暇なんてない。私は劣等生で、出来損ないで。けれども〈紅きグラナート〉の血を引いている。その事実からは目を逸らしたくない。逃げたくない。だから、才能なんて言ってほしくないんです。私が身に着けてきたものを」


 言い切る。今度ははっきりと、正面からイーリスの瞳を見据えて。するとイーリスはひどくバツの悪そうな表情を浮かべ「ああ……」と呻いてから、


「すまん。本当にすまん。勘違いしてた。お前はもうとっくに逆境を乗り越える決意を固めてたんだな。これはアタシが完全に悪い。なにを、上から目線で偉そうに、分かったようなことを。……ああ、クソ! 馬鹿か、アタシは!!」


 ガシガシと髪を掻き毟り、イーリスは叫んだ。エメリーは慌てる。周囲の注目を集めかねない。慌てて諫めると、イーリスは深く溜息を吐いて、


「……エメリー・グラナート。お前が身に着けてきた力を、無責任に才能と評したこと、心から謝罪する。調子に乗って先輩面かました大間抜けと罵ってくれて構わねぇよ。……いや、もう、マジで情けねぇ。好い気になるもんじゃねぇな」


 神妙な面持ちのイーリスに、エメリーは思わず噴き出す。


「可笑しいか? いや、まあ可笑しいよな。嗤ってくれ……」

「あ、いえ。別にそんな。心配してくれたのは、伝わりましたし」


 本心だった。不愉快になったわけでもない。ただ、気遣いの方向性が少し行き違っただけなのだ。それにイーリスに実力を認められたこと自体は嬉しかった。


「評価基準の話で言うならイーリスさんに褒められるのも、私にとっては十分なほど名誉ですから。それこそ学院の教師たちに褒められるより何倍も」

「フォローありがとよ。身に染みて泣けてくる。……いや、本当にお前のことは評価してんだぜ。部下に欲しいってのも大真面目だ。そこは嘘じゃない」

「お世辞とか忖度を口にする人じゃないとは思ってますから大丈夫です。私自身の強みも、再確認できましたしね。だから、ありがとうございます」

「アタシがお前くらいの年頃のとき、そんなに大人じゃなかったよ……」


 がっくりと項垂れてしまったイーリスに、どう言葉をかければいいかエメリーは迷う。それにもうそろそろリウィアが戻ってきてもおかしくない。


「あの、イーリスさん。いい加減に、そろそろ……」

「分かった。手短にあとふたつだけ、伝えさせてくれ。重要なことだ」


 そう言うと、イーリスは気を取り直したように面を上げ、


「まずひとつ。お前たち、この後はどっち方面に向かうつもりだ?」


 問われた内容は、今後の旅路についてだろう。エメリーは頭の中に地図を広げ、その中から候補をいくつか拾い上げて伝える。


「一応、西側を目指そうかと思ってます。フローラリアか、アクアールか……」

「二大公国か。選択肢としては悪くないが、できればアクアールにしとけ。フローラリアは最近、情勢が不安定でな。それにアクアールならイグルスタ行きの旅客船が出る港もある。お前たちがもう少し長く旅を続けるつもりならその方が良い」

「わかりました、ありがとうございます」

「アクアールもアクアールで、地元のギャング共に気を付けたほうが良い。特に沿岸部は網元組合の権力が昔から強くて、裏社会との繋がりも浅からねぇ。ちょい待ってろ。性質の悪い組合の名前、メモってやる。こいつらには近付くな」

「あ、ありがとうございます……。詳しいんですね……」

「父さんの仕事関係でね。鷲は飛び方を親を見て学ぶ、ってな」


 数行ほど書き並べられた名前に、エメリーはざっと目を通す。余計なトラブルを事前に避けられるのはありがたかった。後でレーゲンたちにも教えておこう。


「ついでに。これは軍関係者としての忠告だが、南に行くのは絶対に止せ」


 声を潜めて、イーリスが言う。


「……未整調地帯について知識はあるか?」



 -§-



 未整調地帯。それは言うなれば〈災厄の禍年(カラミティ)〉の後遺症である。


 〈骸機獣(メトゥス)〉は汚染されたエーテルが一定量集中した場所に発生する。

 そして〈骸機獣(メトゥス)〉自体が瘴気を撒き散らし周囲のエーテルを汚染する。

 このような連鎖反応を繰り返して〈骸機獣(メトゥス)〉は増殖するのだが、ではその連鎖が誰にも止められずに連続した場合はどうなるか。


 答えは単純。汚染領域は止め処なく広がり、〈骸機獣(メトゥス)〉も際限なく増えるのだ。


 この悪循環が、もはや制御不可能な段階まで人知れず進んでしまったことが、一説では〈災厄の禍年(カラミティ)〉発生の原因であるとされている。

 そして絶望と悲嘆の夜が討ち払われてなお、この世界にはいまだ彼方此方に、整調の手が及ばなかった汚染領域がいくつも残されているのである。


 未整調地帯を遠目から観察すると、その一帯に飽和した瘴気によって、まるで紫黒色の雲が渦巻いているかの如き光景が広がっているらしい。

 その内側では夥しい数の〈骸機獣(メトゥス)〉が延々と産み落とされ続け、時には共食いまで発生するような、まさに地獄めいた有様だという。


 加えて充満する高濃度の瘴気によって、防護装備か空素術(エーテル・ドライブ)の加護なしには数秒たりとも人間は生きていられず、なによりエーテル自体が捻じれ狂っているため、そもそも空素術(エーテル・ドライブ)の行使にも制限がかかってくる。

 

 具体的には、術の威力と範囲および射程、持続時間が著しく減衰するのだ。


 こうなってくると熟練の空素術士(エーテル・ドライバー)であろうとも、未整調地帯内で長時間戦い続けるのは難しい。どころか四方八方から〈骸機獣(メトゥス)〉が湧き出し続け、一瞬の油断や失策が即死に繋がりかねないという過酷な環境である。


 もちろん未整調地帯そのものを消滅させる方法はある。

 未整調地帯の最深部。瘴気が最も凝縮する一点に、空間に穿たれた漆黒色の大穴。汚染領域の(コア)とも呼ぶべき“虚獄穴”が存在する。

 この“虚獄穴”を消滅してしまいさえすれば、まるで膨れ上がった風船に針を突き刺したように、汚染領域そのものが一挙に弾けて消え去るのだ。


 が、事はそう簡単ではない。


 まず“虚獄穴”まで辿り着くのが容易でない。辿り着いたとして塞ぐためには莫大量の正常なエーテルが必要となる。万事成し遂げたとしても〈骸機獣(メトゥス)〉の残党が徘徊する長い長い道程を再び戻らなければ生還は叶わない。


 事実。この行程を完遂できたのは歴史上でも〈黎明の翼〉一行のみであった。



 -§-



「……そんなクソッタレの未整調地帯が、シュタルク共和国の南部には広がっていやがる。アタシも一度、入り口付近を見学したことがあったがな。ありゃあ、地獄だ。あんな所に突っ込むくらいなら一生“溝浚い”してた方がマシだろうぜ」


 実感を込めた、苦く重い口調だった。


「実際問題、軍は手を拱いている。外から制圧射撃で瘴気を散らす試みは対象地域が広すぎて失敗した。〈災厄の禍年(カラミティ)〉以後に何度か組まれた決死隊は骨すら帰って来れなかった。なにより厄介なのが飛行型の〈骸機獣(メトゥス)〉が出やがることで――」


 そこで、イーリスは不意に言葉を切った。

 話を聴くエメリーが絶句している様を見て、自分がただ愚痴めいた言葉を並び立てていることに気付き、その無意味さに思い当たったためだ。

 数秒の沈黙。イーリスは「ともかく」と咳払いをしてから、


「――近付くな。遠回りしてでも避けろ。お前たちは一生あんなモンに関わらない方が良い。レーゲンにもよく注意しとけ。あるいは、……ハナから言わない方がいいかもな。アタシもリーンハルトの前じゃ、極力この手の話題は避けてんだ」


 あいつ、突っ込んで行きかねないからな。そう、砂を噛むような表情で言ったイーリスの目には、隠し切れない遣る瀬無さが滲んでいた。

 その感情を端的に表現するならば「無力感」であろう。

 エメリーは思い、思わず唇を噛む。〈万雷閃〉イーリス・アーベラインともあろう女傑でも、己が力の及ばぬ壁を前に心挫けそうな瞬間があるのだと。


 しかし、この場でその悔しさを語っても詮無いことで。


「……わかりました。忠告、ありがとうございます。気を付けます」


 結局エメリーは、それだけを口にした。


 そうして内心、ふと思った。姉はどうなのだろうと。

 百年に一度の天才と称賛を受け、生まれた時代がもう少し早ければ〈黎明の翼〉に名を連ねていたに違いないとまで噂される、氷雪国が産みし稀代の才女。

 〈焔姫〉スヴェトラナ・グラナートは、あの美しく気高いラーナ姉様も、立ちはだかる困難を前に屈辱と無念を噛み締めたことがあるのだろうかと。


「じゃあ、最後にもうひとつ――」


 物思いに耽っていたエメリーを、イーリスの声が現実に引き戻す。


「――リウィア・カントゥスについてだ」


 告げられたその名に。その名を告げた人物に。この状況でその名が出た意味に。エメリーは自分の喉奥から、鈍い声が漏れるのを自覚した。



 -§-



「お、遅くなって、すみません! 行列、思ったより長くて……!」


 両手にアイスクリームを持って駆け足で戻ってくるリウィアの姿は、まるで逸れた飼い主の姿を見つけて縋り付いてくる子犬のようでもあった。


「大丈夫だから落ち着きなさいって。ほら、転ぶわよ。――ちょ、右手!」

「え? ……あわわっ!! む、……は、はぶははったへふ」


 振動で転がり落ちそうになった右手のアイスクリームを、間一髪リウィアは口で押さえつけることに成功する。が、その代償として彼女の口周りは溶けたクリームでべとべとになってしまい、その幼気な姿にエメリーは頬を緩ませた。


「ああ、もう! なにやってんのよ、ほら。拭いてあげるから」

「あう、すみません……」


 両手が塞がっているリウィアのために、エメリーはハンカチを取り出して口元を拭いてやる。柔らかな唇の感触が布地を通して伝わった。されるがままのリウィアは、形の崩れたアイスクリームを見つめ、ふと哀しそうに呟く。


「こっちの味、本当はエメリーさんに買ってきたのに……」


 エメリーはとうとう噴き出した。その程度の他愛ない失敗で、ここまでしょぼくれるリウィアが、無性にいじらしかった。そんなエメリーの様子を不思議に思ったのだろう。きょとんと首を傾げたリウィアに、エメリーは笑いながら言う。


「別に、そのくらいなら気にしないわよ。でも、何味なの、それ?」

「ラズベリー味ですよ。こっちは私用で、えっと、キーウィ味? ですって」


 鮮やかな紅色とは対照的な、鮮烈な緑色のアイスクリーム。果実の種だろうか、黒い粒々が紛れ込んだ見た目に、エメリーは一瞬だけギョッとする。


「……美味しいの、それ? 名前も聞いたことないんだけど」

「プレーンズ連邦の方から輸入された、珍しい果物なんだそうです。甘酸っぱくて美味しいらしいですよ。……よかったら、その。少し、食べます?」

「そうね、一口ちょうだい。ちょっと興味が出てきたわ」


 そう提案すると、何故かリウィアは顔を真っ赤に染めてしまう。

 ややあって、おずおずと差し出されたキーウィ味のアイスクリームをエメリーは一口。刺激的な酸味が、続いて爽やかな甘みが、舌の上に広がった。


「……あら、美味しいのね。種の食感もプチプチしてて好いかも」


 感想を告げると、リウィアは安堵したように微笑んだ。


「よ、よかったです! あ、はい、エメリーさんの分です。ど、どぞ」

「なんでそんなにギクシャクしてるのよ……」


 苦笑しつつラズベリー味を受け取り、こちらも一口。食べ慣れた甘酸っぱさと、華やかさのある風味が口内を満たす。エメリーの好きな味だった。


「うん、好いわね。行列ができるだけのことはあるじゃない」

「そ、そ、そうですね! あは、あはは。お、美味しいですね!」


 ふと見れば、リウィアの顔がますます朱くなっていた。

 この気温で熱中症というのも考えにくいが、万が一のことがあってはいけない。エメリーは気遣わしげにリウィアを見つめる。


「ふぇっ!? な、な、なんでひゅか!?」

「……元気そうだからいいけど。具合悪かったりしたら、ちゃんと言うのよ」

「は、はい! それは、もう。けど、ぜ、全然元気ですから!!」

「ふぅん。なら、良いんだけど……」


 とりあえず心配はなさそうだった。

 が、気付けば陽射しも西の空へと傾き始めている。

 明日の準備もあるので、そろそろ帰り支度を始めた方が良いだろう。リウィアにそう伝え、エメリーはホテルの方へと二人連れ立って歩き出す。

 たくさんのお土産を、分け合って持ち。

 仲良く肩を並べて、アイスクリームを食べながら。


(……どうしたものかしらね)


 エメリーの脳裡を、薄暗い影のような思考が過る。


 旅立つ前の休日としては、十分すぎるほど楽しい一日だった。そのことに嘘はない。けれど、考えるべきことが増えたのも、また事実で。


(さっきの話。リウィア本人にも、話すべき……なんでしょうね。お互いもう隠し事はしないって決めたもの。今後のことも考えれば、相談はしておくべきだし)


 だとするならば、レーゲンたちとも情報は共有しておかねばならない。これから向かう先。未整調地帯について。リウィアを取り巻く事情のことも。


(……いつの間にか、背負うものが増えちゃったわね)


 きっと以前の自分ならば疎んじていただろう重圧感。

 けれどその重さには熱がある。血の通った暖かさがある。

 ならば、捨てられない。投げ出せない。背負い切って進むしかない。


 それが旅をするということだ。

 それが仲間と共に歩むというものだ。


 また、明日から旅が始まる。


 苦難と、疲労と。逆境と、難関と。

 後悔と、口惜しさと、遣る瀬無さを。

 きっとそんな辛さを幾重にも味わう旅が。


 そんな現実を覚悟と共に受け入れながら、それでもエメリーはほんの少しだけ歩む速度を緩めた。もう少しだけ、この穏やかな時間を引き伸ばしたくて。


「あのね、リウィア。帰ったら、色々と話があるわ」

「え? あ、はい。明日からのこと、相談しなきゃですもんね」


 振り向いてくるその笑顔が、陰ることのないように。エメリー・グラナートは祈りを込めて、紅いアイスクリームをもう一口、齧る。


 さきほどよりも少しだけ、苦いような味がした。



 -§-



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