消えぬ痛みと憎しみ
父親に宅建の資格取っとけと言われ、勉強させられてます。(更新が遅くなる言い訳)
「この程度で気絶すると思うな………吸血鬼風情がっ!」
そう言って殺気を放ち、得物を下から上に斬り上げる。クロユリとの距離は10メートル、本来なら届かない距離だ。それでも、クロユリは真横へと飛んだ。その瞬間、強化しきれていなかった天井に大きな傷が残される。崩れはしなかったが、いつ崩れてもおかしくはない状態だった。
「っ! ………さっきまでとまるで違う…………一体何が起こったの?」
「我は何も変わって居ない」
はいダウト! めっちゃ変わってます! と言うか、別人です! 本当に一体何が起こってんの!?
そう考えていると、とある固有スキルが頭をよぎる。
【龍神化】…………名前からして神格を得て強くなる感じだと思ったので、考察だけで終わらせていた固有スキル。
………今の状態でスキルって調べられるだろうか? そう考えると頭の中にスキルの情報が入ってきた。
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固有スキル
龍神化……
能力︰神域展開・召喚《龍・竜》・並列思考・模擬・龍神の意思
説明……【龍神カルマ】が死ぬ寸前に残りの力を使い、自身の意思を込めて作った固有スキル。この固有スキルは次代の龍神へと受け継がれる。
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【龍神カルマ】って、俺が今着てる【龍神カルマの鎧ドレス】を落とした神だよな?
まぁこれは良いとして…………今の俺の状況に関係しそうなのは、龍神の意思かな?
そう思い、能力の説明を開く。
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固有スキル
龍神化……龍神の意思
説明……【龍神カルマ】が次代の龍神を導くため残した意思。次代の龍神が危機に至った時、最善の行動を行うために出てくる。活動できる時間は30分
残り時間……24分38秒
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これだな………
俺は説明を読んで何とも言えない気分になった。
カルマさんっていい人? だったみたいだな………ゲームだからって倒しちゃったけど、ここに意思があるってことは実際に生きていたのかも知れないのか……
そう思うと、心に重しがついたように辛くなってしまう。
そんな俺に誰も気づかずに、ストーリーは進む。
「…………変わってないわけ無い……さっきは弱かったのに、今は強い………なんで……」
「強いて言えば、貴様がウザいから苛ついている」
……今思ったけど、コイツ口悪くない?
「………なんで? ………八つ当たり?」
「違うな………【復讐の吸血姫クロユリ】………我は、貴様が抱え込んでいるものを何も知らん…………それでも言わせてもらう。無関係の者を巻き込み、自分だけが被害者のように振る舞うその態度が気に食わん!」
「………………」
………苛ついてる理由が案外まともだった。
俺もクロユリと同じで、ただの八つ当たりだと思ってたなんて言えない。
「確かに、貴様は今まで地獄を味わってきたのだろう。誰も貴様を殺し尽くすことが出来なかったから封印を施され、ずっと神聖な力で焼かれ続けると言う地獄を」
……もしかしてファントムペインって、こいつ自身の痛みなのか? だとしたらこいつは何年もの時をこの密室で、あの痛みに耐え続けたのか?
思い出すだけで身震いするあの痛み。そして自分1人しか居ない孤独感。俺は痛みも孤独も知っているために、考えるだけで気が狂いそうになる。
「それでもだ。無関係の者を巻き込んでいい理由にはならん」
無関係……その言葉がいけなかったのだろう。
クロユリの纏う気配が変わったのだ。
「………お前に……お前なんかに………何が分かるんだ…………何もしてないのに家族を………仲間を奪われる悲しみが! お前に分かるのかぁああ!」
全てを憎しみ、全てを壊してしまうような怒りの気配。
それはクロユリが初めて見せた感情だった。
最後まで読んでいただき感謝いたします。ご指摘、ご感想お待ちしております。
気づいたらブックマーク180件、PV4万達成してました!今回、キャラのイメージが湧かなかったので、絵は無しです。すみませぬ………
消えぬ痛み(腹痛)と憎しみ(勉強)………タイトルは今の僕の状況ですね。
次回は2日後位に投稿すると思います。(次話をまだ作成していない)