聖者と聖女の違いって何だろう?
毎日とう……こ……う(パタリ)
俺は今かなりピンチだ。冒険者ギルドに入って直ぐにキチを、1度だがだるまにすると言う問題を起こしてしまった。一応血は出ないように切ったそばから傷口を塞いだし、左腕以外は綺麗に治してやったが、相手に絶叫を上げさせて笑みを浮かべていた俺を見たら、流石にみんな怯えるだろう。冒険者になったばかりなのに全員から怖がられてしまったのだ。
さて、この状況どうするか…………そう考えていると後ろから声を掛けられる。
「あっ、あの! 貴方様はもしかして!」
「……む? 何だ?」
俺に声を掛けてきた人は、シスターのような格好をした14歳ほどの金髪金目の少女だった。シスターなんてこの世界にいたんだ!
そう呑気に考えていると、少女が話しかけてくる。
「貴方様は聖女様ですね!」
「聖女? 我は聖女では無いが……」
聖女? 聖女と言うとやはり、優しく純真な心をもった人のことだよな? 一応聖者の称号は持っているが、俺の知っている聖女と比べたら天と地の差がある。
聖者の称号は光属性の魔法に1,5倍の補正が入るのだが、聖女の称号は光属性の魔法に5倍の補正と言う、馬鹿げた力を持っている。
そんな物と一緒にされるのはあれなので、否定をする。
「そんなはずありません! 先程の回復魔法の腕前は、聖女様に違いないです!」
「我は聖者ではあるが、聖女では無いぞ」
「………? ですから聖女様ですよね?」
………あれ?
「聖女ではなく聖者だ」
「女性の聖者ですから、聖女様ですよね?」
「違うと思うぞ? 聖女とは世界で1人しかなれない、神々から愛された女性の筈だが?」
「そうなんですか?」
こっちの世界では違うのか? 情報が少なすぎて、考えを纏められない。
とりあえず、言い訳と否定を口にしておく。
「我が居た所ではそう聞いた。まぁどちらにせよ、我は聖女ではないぞ」
「そうですか………」
俺が否定すると、少女シスターは落ち込んで居た。俺はその様子を見て、何かあるのではないかと思い聞いてみる。
「何故そんなに落ち込んでいるのだ? 聖女に会えなかったからと言うだけでは無いのだろう? もしかすると、この冒険者ギルドに来たことに関係するのではないか?」
「え? えっと……………その………実はですね…………」
この少女の話を纏めるとこうだ。
友人が病気に掛かって辛そうにしてる。それを治すためには太陽の花と言う物が必要で、それを手に入れるために冒険者ギルドに依頼をしに来たら、たまたま先程の状況に出くわしたらしい。そして手足を簡単に治しているので聖女様ではないかと考えて、話をかけたらしい。あの現状で話しかける勇気はすごいと思った(勇気が無くて、始めいた場所から1歩も動けなかった人の感想です)。
この少女の様子から見て、命には関わらないみたいだが、なかなかに辛い状態なのだろうことが予想された。
「ふむ………命に別状がないのであれば、我でも治せるぞ?」
「本当ですか!」
「本当だ。と言う訳だから病人の元へと連れて行ってくれ」
「ありがとうございます! 付いてきてください!」
そう言って歩き出す少女シスターを見て、ティア達に話しかける。
「ティア達よ、もう時間も遅いためここで分かれよう。明日の朝にここに来る故、良かったらまた会ってくれると嬉しい」
「そうですね…………分かりました。明日の朝に私達はここで待っています」
「まだ話したいことあるから、絶対に明日の朝はここに来てね! コトハ!」
「コトハさん! 私、待ってますから!」
シエラが顔を赤く染めながらそう言ってくれる。
……………嬉しいな………こうやって明日のことを約束できるって…………
そう考えながら俺は、今日の感謝を述べる。
「うむ! 今日はいろいろ感謝する! また明日だ!」
『________ッ!』
そう言って満面の笑みを浮かべた俺は、気恥ずかしさからその場を早足で立ち去るのだった。
俺が立ち去った後、そこら中に血溜まりが出来たとか出来てないとか。
最後まで読んでいただき感謝いたします。ご指摘、ご感想お待ちしております。
ブックマーク140件ありがとうございます!
今まで頑張って毎日投稿をしてきたため、ここで途絶えさせるのは勿体無いと思ってしまい投稿をしました。
感想も頂けたことだし、気合で頑張りますか!




