(シエラ視点)3
シエラ視点3です
「ふむ……まぁ、名前は合っているから名乗りはもういいだろう。取り敢えず盗賊共に問う。今ここで引けば見逃すが、どうする」
ヒイラギさんが盗賊達に言います。
「何言ってやがる! てめぇの立場が分かってねぇのか? てめぇら、この生意気な女を囲め!」
頭の声によって、盗賊達がヒイラギさんを囲む。そして、頭の不快な声が響きます。
「ヘへへ……よく見たら上玉じゃねーか! 俺達が壊れるまで可愛がってやろうじゃねーか! ハハ__」
そう言っている時でした。
何の前触れも無く、頭の頭が飛んだんです。
「は?」
誰の口から出たのかは分かりません。もしかしたら全員の口から出ていたかも知れません。
「………ひっ、ひぃ!」
「全員引かなかったと言うことは戦うつもりだった訳だ。勿論全員、覚悟は出来ているだろう?」
「いっ、嫌だ死にたく無い! おっ俺だけでも助けてくれー!」
「貴様はそう命乞いした者を、助けたことはあるか?」
ヒイラギさんが周りを見渡しながら問います。
「俺は逃がしたことがあ___」
「魔物がいる場所で武器も持たせず逃がし、魔物に食われる様を面白がっていることは助けたとは言わないぞ?」
ヒイラギさんが盗賊の言葉を遮り、本当にあっただろうことを言います。人を魔物に生きたまま食わせる……そんなことを想像してしまって涙が出てきました。そんなことを面白がっている人達がいるとは…………とても最低です。
そんな気持ちを抱いているとヒイラギさんが言います。
「全員、正真正銘の屑だな。そんな奴らは全員、地獄に落ちるがいい【終焉の息吹】」
ヒイラギさんが放ったであろう魔法はとても恐ろしく、まるで怒りと憎悪を集めたかの様に見える炎でした。その炎が消えた後は何も残っていませんでした。
「へ」
驚きのあまり声が漏れる。それは他の皆さんも同じだったようだ。それを聞いたヒイラギさんは少し困った様な顔をしていました。
♢ ♢ ♢
あの後ヒイラギさんが全員の拘束を解いて、カシュアさんと話をしていた。
「盗賊に捕まるとは不幸だったな」
「はい、ヒイラギ殿が助けてくださらなかったら私は今頃ここに居ませんでした。助けて下さりありがとうございます。私はアドカド商会の会長をしている、カシュア・アドカドと申します。こちらは私の護衛をしている冒険者です」
そう言ってカシュアさんが私達を前へ出す。
最初はティアさんが次にエマさんが名乗りと感謝を述べていました。最後に私が名乗ろうと思い、ヒイラギさんに向き合います。
「わ“た"し”は"~シ”エ"“ラ”です”~」
ヒイラギさんの顔を見て安心してしまい、泣いてしまいました。
ヒイラギさんはそんな私を見て驚いてましたが、優しく声をかけ頭を撫でてくれました。
それでさらに泣いてしまいました。
♢ ♢ ♢
泣き止んでからは、人前で泣いてしまった恥ずかしさで顔から火が出そうです。
「はう~………あっ、あの、すっ…すみませんでした!」
「別に気にしてないぞ? 怖くて悲しい思いをしたのだ、仕方ないだろう」
「うう~……あ、改めまして、しっ、シエラといいましゅ……あう~」
ヒイラギさんの顔を見ると何故か緊張してしてしまい、何回も噛んでしまいます。
そんな私をヒイラギさんは優しい目で見て言います。
「ふむ……シエラか。可愛い名前じゃないか」
可愛いって何が? 名前が? 誰の? そんなことを数秒考えた後、理解した瞬間。
「かっ、かわ……はう~…」
「おい!? 大丈夫か!」
ヒイラギさんがなにか言ってますが、意識が朦朧としてしまい最後まで聞こえませんでした。
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気がついたらブックマーク60件以上行ってました!ありがとうございます!
6時にもう1話シエラ視点を投稿する予定です。ぜひ見て行って下さい!
頭の頭って書いてある場所が、頭の頭だったらもっと大惨事だった。
贅沢を言わせて下さい!
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