(シエラ視点)2
シエラ視点2です。
「よくも…よくもカインをぉおお!」
「待って! ボッシュ!」
カインさんが倒されたことによって怒り狂ったボッシュさんが短剣を持って相手へ向かって行きます。ですが1人を倒した後、3人に囲まれて殺されてしまいました。
そこからは早かったです。盗賊はまだ7人も居て、私を盾にされ攻撃出来ないティアとエマが抵抗出来ず捕まってしまいました。
「頭! もうヤり初めて良いですか!」
「おい! まだ盛ってんじゃねー! さっさと荷物をアジトに持ってくぞ! そいつらを可愛がるのはアジトに帰ってからだ! 分かったらさっさと荷物運び出せ!」
盗賊は馬車の荷物をまとめ始めます。荷物を全部運ばれた後は私達が連れて行かれるでしょう。
全部私のせいだ! 私が捕まらなかったらカイトさんとボッシュさんが死ぬことも、ティアとエマが捕まってしまうことも無かった!
この後のことは容易に想像出来てしまう。
嫌だ! 嫌だ! 嫌だよ……………私は普通に恋をしてキスをして好きな人に捧げたいのに………
そう思うと涙が溢れてしまう。ティアとエマだって普通に恋をしたいだろう。それなのに私のせいで捕まって乱暴されてしまう。
きっと私は恨まれるだろう。
………ははっ………分かってる、ティアとエマは私のことを恨まないって分かってる。でもっ、それでも、恨まれるかもって思ってしまう。恨まれたくないな……………
誰か助けて………
そんなこと考えてると、盗賊とカシュアさんの声が聞こえてくる。
「親分! この馬車は、魔石と食料を運んでるみたいっすよ!」
「ほお、なかなかの収穫になったな。おい! てめぇの馬車にはまだ何かあるんじゃねーのか! 黙ってると痛い目に合うぞ!」
「ひいっ、そっそれで、す、全てです。ほ、本当にもう何もないです!」
「そうか。これで全部なんだな?」
「はっ、はい!」
カシュアさんがそう答えると盗賊は武器を振り上げる。
「じゃあ、もう用済みだ!」
「ヘ?」
盗賊がそう言うと剣を振り下ろす。このまま行けば、カシュアさんは真っ二つになるだろう。
私はただそれを眺めることしか出来なかった。
ゆっくりと動く世界。剣がカシュアさんに当たる直前、それは起こった。
______バキッ
盗賊の剣が折れたのだ。
そしてカシュアさんの前に、まるで作り物の様な美しい女性が現れました。
「さすがに、我の目の前にある命は助けてやるわ」
「は? ……て、てめぇは一体誰だ!」
盗賊の頭は剣が折れたことに驚きながらも、いきなり現れた女性に誰何する。
その女性は、鈴の様な澄んだ声で相手の質問に問う。
「ふっ、貴様に名乗る名は無いが、商人に媚を売るのは良いかも知れんな。我が名はコトハ・ヒイラギ、しがない冒険者……なのか?」
コトハ・ヒイラギ、それが私達の前に現れた女性の名前だった。
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明日もシエラ視点を2話投稿します!
ユニークユーザーが1000人超えは嬉しすぎるぜ!
これからも頑張ります!




