学校編〜その2〜
歪なチャイム音が鳴り止んだ、鳳帝学園高等部1-Sクラス。
沖里先生が去りシンと静まり返る教室内。
「.......」
俺は永志郎に言われた通りに、全てを目を逸らさず見た。
途中、物凄く気分が悪くなり吐き気がしたが何とか堪えることが出来た。
.......。もし、あの時吐いていたら.......後ろで叫び声を上げていたクラスメイトのうちの一人になっていたのだろうか.......。
これは.......本当に現実なのか.......?
あまりに現実離れしていて、夢でも見ているんじゃないかと思ってしまう。
理科の沖里先生は面白い実験を色々とやってくれ、わかりやすい授業をしてくれる先生だった。
それなのに、次々とクラスメイトを.......。
先程のクラスメイトが溶かされていく光景がフラッシュバックして胃酸がこみ上がる。
耳にはクラスメイトの悲鳴がこびり付いて取れない。
目をきつく閉じるも先程の出来事が眼裏に蘇る。
いよいよ胃酸が口から出そうになり、俺は口を押さえ勢いよく椅子から立ち上がる。
「おい、大丈夫か?」
永志郎が振り返り、真剣な表情で聞いてきた。
俺はプルプルと頭を横に振り限界だと目で訴える。
「分かった。トイレへ行くぞ」
椅子から立ち上がった永志郎は俺の横まで来た。
「肩に手を回すぞ。いいか?」
小声でそう聞いてきた永志郎に対して俺は微かに頷く。
ソっと永志郎が俺の肩に手を回す。
その手はしっかりとしていて、少しホッとする。
連れ添ってもらい教室のドア付近まで行く。
すると、ガタタッと言う音と一緒にクラスメイトが席を立つ音が聞こえた。
「わ、私も一緒に行っていいかな.......?」
「お、俺も.......!」
数人のクラスメイトが一緒にトイレに行きたいと言う。
俺は別に構わないから早くトイレに行ってこの胃の腑が気持ち悪いのと永志郎に聞きたい事があった。
「.......。あぁ、いいぞ」
永志郎の言葉の一瞬の間が気になったが、それよりもこみあがってくるものを抑えるのに必死な俺はそれどころじゃなかった。
「大雅、トイレまでもつか?」
永志郎の心配そうな声に俺は頑張って頭を一回縦に振る。
ドアを開け教室の外へと出た。
磨かれてワックスを塗ったかのような綺麗な廊下をゆっくりと永志郎にもたれ掛かって歩く。
普段ならばトイレまで歩いて1分も経たずに着くと言うのに今は何倍もの時間を掛けているかのようにトイレに着くのが遅く感じる。
前から、ペタ、ペタと足音が聞こえてきた。
肩に回された永志郎の手がピクリと微かに動く。
そして、グッと指に力が込められた。
ちょっと痛い。
「.......大雅、いいと言うまで目を閉じてろ」
俺だけに聞こえるようにヒソヒソと話す永志郎。
有無を言わさない、そんな感じの声音に俺は素直に従う。
目をきつく閉じるとすぐに横から永志郎が前に向けて言葉を掛けた。
「田中さんいつもお仕事お疲れ様です」
「これは生徒会の西園寺君でしたか。.......おや?そのニンゲン?の気分が悪いのですか?」
「えぇ、ちょっと俺の親友が体調を崩してしまったようで」
用務員の田中さんだ。
田中さんはこの学園で最年長の用務員である。
主に掃除を担当していたんじゃなかっただろうか。
田中さんは確か俺と面識があった筈.......名前も呼び合う仲だったはずだが.......
本当に、何が起こっているんだ.......。
「宜しければ私がその人間を掃除して差し上げましょうか?」
「いえいえ。トイレがすぐ近くですので大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます田中さん」
「生徒会には毎度お世話になっていますからな。お礼を言われるほどでも無いですよ」
ハッハッハと笑う田中さん。
では、と永志郎が田中さんに声を掛ける。
「親友がここを汚さないうちにトイレ行きますね?大雅行こうか」
「おぉ!そこにいるのは大雅君だったか!体調が治ったらまたこの清の話しを聞いてくれると嬉しいねぇ」
俺は田中さんの言葉に頷く。
「仲の良い友達がいるのは良い事だ。それじゃあ後ろのゴミを片付けるから早くトイレに行くんだよ?」
ヒィッと女子の声が聞こえた。
後ろのゴミ.......?
嫌な予感しかしなくて、振り向こうとしたが永志郎に強く肩を掴まれていて振り向けない。
「.......大雅、今は頷くか手を上げるかするんだ」
小声でそう永志郎に言われてしまった。
口を開けば何か出そうだったので仕方なく目を閉じたまま頷く。
「では田中さん。自分達はそろそろ行きますね」
「あぁ、ではの。.......さぁ私の愛しい子供達や、あそこのゴミを片そうか」
永志郎は田中さんに対してか一礼すると歩き始めた。
後ろではガサガサと言う音とドグチャッという音が廊下に響き渡った。
◆
「.......もう目を開けていいぞ」
そう小声で言われそろそろと目を開ける。
依然として後ろを振り向くことは出来ないが、俺は下を向いている。
目を開けたことで見えたのはここが廊下だという事と、赤黒い色の靴跡が続きその横にこれまた何かを引き摺った赤黒い線が続いているという事。
「想像をするな。今はトイレに行く事だけを考えろ」
すぐさま永志郎の真剣な声が耳元で聞こえる。
必死でソレが何なのか考えないようにして足を動かす。
兎に角足を動かして進んでいけば、ようやくトイレに着いたようだ。
男子トイレの中に入り入口近くの個室トイレのドアを開けた永志郎だが、すぐにドアを閉めた。
何故だかは分からないが二つ隣の個室トイレのドアを開けた永志郎は俺をその個室トイレに入れる。
「俺がココで見張っていてやるから存分に吐け」
フラフラと俺はしゃがみ込み便器に顔を突っ込むと、情けなくも吐いた。
瞼の裏に沖里先生がやった事が、クラスメイトの叫び声がフラッシュバックしてその度に吐いた。
胃液すらも吐き尽くした。
その間、いつの間にかに個室トイレに入ってきていた永志郎はずっと俺の背中をさすっていた。
口の中が胃液を吐いたせいで苦酸っぱい。
永志郎には聞きたい事が沢山ある。
だが、その前に口の中をサッパリとさせたかった。
フラフラとした足取りで手洗い場に行く。
蛇口を捻ると透明な水が出てきた。
器のようにした両手にその水を受け、溜めた水を口元へ持っていき一口含んだ。
口の中をゆすぐと、物凄くサッパリとした。
喉が痛かったから一口水を飲んだ。
もう一口水を飲もうと流れている水に手を近付けた途端に永志郎に腕を掴んで止められた。
「なにをっ」
講義の声を上げようとして永志郎を見れば永志郎は蛇口を睨み付けるように見ている。
「見ろ」
短くそう言われ、何事かと見れば蛇口から出ている水の色が変わっていた。
血のように真っ赤な色の水が勢いよく蛇口から出ている。
ヒッと声を上げてしまった俺とは対照的に冷静さが見える永志郎は腕を伸ばし蛇口を閉めた。
蛇口が閉められた事で真っ赤な水は流れなくなったが、ポタリ、ポタリと真っ赤な水が滴っている。
ジッと蛇口を見ていれば、滴っている水はそのうち止まった。
排水口へと流れていく真っ赤な水。
鼻腔をかすめるは生臭く鉄のような香り。
「っ.......!!何が、どうなってんだよ.......!!」
俺は蛇口から目を離し横に立っている永志郎に問いかける
永志郎は厳しい目付きで暫く蛇口を睨んでいると警戒した顔のまま俺の顔を見る。
「大雅。どうやら俺達は、異世界転移というモノをしたようだ.......」
「.......は?おまっ永志郎、どこかで頭打ったんじゃないのか.......?何言ってんだ.......?」
まるで、永志郎がよく言ってるラノベとやらの展開みたいじゃないか。
そんな.......現実で起こるはずがない.......こんな事が現実なんて、有り得るはずがない。
「そんな.......。何言ってるんだよ永志郎.......悪い冗談はよせよっ」
否定をしてほしくて永志郎のネクタイを掴む。
だが永志郎は険しい顔つきのまま首を横に振り、俺の手をネクタイから外すとサッと周囲を見るためか首を巡らし辺りを見回す。
何をそんなに警戒しているのかが分からない.......いや、分かる、気はする。
だが、俺はそれを信じたくない。
「冗談じゃないぞ大雅」
「冗談に決まっている!!校内が暗いのだって停電しただけだろうし.......!チャイムがおかしいのはハウリングでも起こしてるんだろっ!」
「じゃあ先生がおかしくなったのは何故だ?あんな芸当が現実で出来るのか?」
それは、確かに説明がつかない.......本当に信じたくないんだ.......そんな.......非現実的な事を.......。
「俺は言ったよな大雅。冷静になって周りを見ろと、じゃないと死ぬと。.......テンパるのも分かる、だがここは確実に地球じゃない。それは証明出来る」
「.......どう、証明出来るんだよ」
「心の中でステータスオープンと言ってみろ。そして、そこに書いてある事をぜんぶ読め」
あまりの真剣さに俺は少し圧倒されつつも言われた通りに心の中でステータスオープンと言った。
すると目の前に半透明な板状のよく分からない物がヴォンっと言う音と共に出てきた。
「出てきたようだな。読んどけよ。じゃないとこの世界では生き残れないぞ」
「.......分かった」
永志郎の圧に渋々俺は頷くと、半透明の板に書いてある事を上から順に見ていく。
──────────────────────────
名前:紅鷹 大雅
性別:男
年齢:16
役職:勇者
Lv.1
HP:1000/1000
MP:800/800
固有スキル:聖なる光、光冠陽焔
称号:異世界人、典型的ラノベ系主人公
───────────────────────────
んー、どう見れば良いんだ?
俺はこういうの分かんないからな。
でもあの、突っ込んでいいか?
光冠陽焔と書いてどうやってサント・プロスクリスィってどうやって読むんだ?光冠陽焔も読み方、こうかんようえん、でいいのか?
後、典型的ラノベ系主人公ってどういうことだよ!
誰か説明してくんないかな。
「なぁ、永志郎.......。この、典型的ラノベ系主人公ってどういう事だよ。意味分かんねぇよ」
「大雅?突っ込む所そこなのか?他にもあるだろ突っ込む所。このステータス画面とか.......!ほら!」
珍しく永志郎が突っ込みに回っている気がするが取り敢えず無視だ。
疑問に思ったことを聞いてみる。
「この、ステータス.......?って俺のステータスが永志郎にも見えているのか?」
「いや、見えてないぞ。多分だが自分自身のステータス画面は他人には見えないだろう。あるスキルを持っていたら見えるがな」
永志郎が真面目だ。
しかし不思議だ。このステータススクリーン?
指で触れても通り抜けていく。
「で、このステータス?ってなんで出てくるんだよ.......。現実にはこんな物出てこないじゃないか.......。どうなってんだよコレ.......」
「うん、大雅くーん?俺の話し聞いてないなー?」
おーい、と目の前で永志郎が手を振っている。
「まあいいか。大雅、ここでお前のステータス見せてもらっていいか?俺のも見せるから。俺ならば勝手に視る事が出来るが、それはしたくないからな」
「どうすればいい?」
「心の中で、ステータスを見る権利を俺にも許可出してみてくれ」
相変わらず分からない事はあるが今は非常事態、永志郎の言う通りにする。
俺は心の中で自分のステータスを永志郎にも見えるように思う。
ペロンッと音がして目の前にもう一つのステータス画面が出てきた。
名前を見れば永志郎の名前が書いてある。
内容は
───────────────────────────
名前:西園寺 永志郎
性別:男
年齢:16
役職:大賢者
Lv:1
HP800/800
MP2000/2000
固有スキル:炯天眼、禁忌の魔術書
称号:異世界人、変態、永遠の厨二病
───────────────────────────
.......見てもさっぱり分からん。
最後の変態なのは分かる。
「永志郎。説明頼む」
ここはこういうのに詳しいであろう永志郎に丸投げすることにする。
永志郎はと言うと、真剣な表情で俺のステータス?を見て眼鏡に中指を当てている。
「.......なるほど。大雅はやっぱり勇者か。.......あー、説明な。面倒臭い」
「そんなキリッとした顔しても流されないからな」
永志郎のドヤ顔が凄いウザイ。
なので、頭を叩いておくことにした。
「いってー、大雅君ひどーい。説明するからそんな目で見ないで」
ただひたすらジッと見ていたら永志郎が何故か観念したらしい。
「まずはステータス画面の上から説明していくぞ」
「あぁ、頼む」
「上から書いてある通り、自分の名前、性別、年齢が書いてあるのは分かるな」
「分かっている」
俺の言葉に一つ頷いた永志郎は次は、と話を進める。
「役職だな。俺は大賢者だが、大雅は勇者となっている。簡単に言うとクラス委員の中の役割分けみたいな感じだな。
んで、Lvは.......ゲームしてないやつにレベルの話しすんのムズいな.......。あー、Lvはレベルだよ!。
その下のHPは体力、数値が0になると死ぬ。MPは精神力、これも0になると動けなくなる
とまぁ、こんな感じだな」
なるほど。そんな感じなのか。
「いや待てだからLvってなんだよ!」
「だからLvはレベルだよ!レベルが上がれば分かる!」
だから!レベルってなんだよ!!
「じゃあ、このスキルとか称号って何なんだ?」
「スキルは.......スキルはなぁーえーと、アレだ!アレ!」
「アレって何だよ」
「だから〜アレだ!アレなんだ!!分かるだろアレ!!」
「いやだからアレじゃあ何も分かんねぇよ!」
アレ、を連呼する永志郎だがその説明では全くもって理解が出来ない。
第一アレってホントになんなんだよ。
「ちっ。伝わんねぇか」
「伝わるわけねぇだろ馬鹿」
伝わると思ったのになー、とかぬかしている永志郎の頭を軽く叩いておく。
「スキルって言うのはなー.......んー.......簡単に言うと特殊能力だな。固有スキルって付くと一人一人違う特殊能力を身に付ける事だな」
「特殊能力.......って.......」
「このステータス画面に触れてみて固有スキル欄の技名を押してみろ。触り方は触れる!と思い込んでから触れる事だな」
俺は一つ頷くと目を瞑る。
コレはスマホの画面だ!!
目を開け自分のステータス画面とやらの固有スキルと書いてある欄にある『聖なる光』を押す。
『聖なる光』
邪なる気を払い浄化する事が出来る。
手に持った武器は聖光に包まれる。
ホントだ、触れた。
これは文字の通りなんだな。
でも、邪なる気とか浄化とか聖光だとかよく分からん。
そんな物がここでは必要になるのか?
次は横の何処をどう読んだらそうなるのか分からないやつを押してみよう。
『光冠陽焔』
勇者専用武器を喚び出す事が出来る。
レベルが上がるごとに必殺技的なものが使えるようになっていく。
.......。勇者専用武器ってなんだよ。試しに押してみるか。
試しにその文字を押してみるとピコンッと音がして説明文が出てきた。
『勇者専用武器』
剣、弓、刀、薔薇のいずれかをルーレット召喚出来る。
使い終われば元に戻す事も出来る。
ごめん、ちょっと待って。
薔薇.......薔薇!?どうやって使うんだよ!?
コレは武器としてどうなんだ?意味が分かんないんだが。
「なぁ、永志郎。薔薇って勇者とやらの定番武器なのか?」
「は?バラ?なんでだ?勇者と言えば普通は剣だろ?え、武器バラだけなのか?なんでバラ?」
永志郎が眼鏡の奥で大きく目を見開いている。よっぽど驚いたようだ。
「いや、他にも剣や弓、刀も武器として出てくるらしい。.......心配なのはルーレット召喚と書いているんだが」
「その時によって何が出てくるのか分からない仕組みなのか.......。え、バラが出てきたら大雅君バラを口に咥えて踊り出すの?」
「踊るわけないだろアホかお前は。それよりも、だ。お前の方はどうなんだよ、ステータスは」
そんな事俺がするはずないだろ全く。と思いつつも永志郎のステータスが気になる。
大賢者って、永志郎そんなに頭良かったっけ。いや良いけど、生徒会に入れるほどには良いけど。
「俺の二つある固有スキルのうちの一つ、『炯天眼』は視たものの対象を調べる事の出来るスキルだな。鑑定の上位版らしい。
んで、次のスキル『禁忌の魔術書』は全魔法適正、魔素操作が出来るみたいだ。レベルが上がるごとに使える魔法とか増えていくって書いてあるな。これはレベル上げが楽しみだ」
眼鏡を光らせながらニヤリと笑う永志郎に、俺は内心また奴の発作が起きたな。と思いながら先程の答えを聞いてない事を思い出した。
「永志郎。さっき何故俺の手を止めたんだ?確かに真っ赤な水が途中から出ていたが.......それに.......沖里先生や用務員の人の様子もおかしかったし.......」
俺が聞くと、永志郎は真顔になった。
「やっと聞いてくれるようになったか。先程も言ったが俺達というかこの学園全体がどうやら異世界転移したようだ。大雅に忠告してから俺はステータスを見つけ色んな人を鑑定しまくった。
初めはクラスメイトから、そして次は授業の為に入ってきた沖里先生に用務員のおじさんまで。
クラスメイトは皆一様に称号欄に『異世界人』と付いていた
対して先生達は称号欄に『異世界人(狂人)』と書かれていた」
そこで一区切りして息を吐いた永志郎は更に話を続ける。
「俺は危険を感じ常に鑑定を発動している状態なんだ。だから蛇口の水に手を伸ばした大雅の手を止めたのは、その水が毒性を放つ物に変わったから。と言うのが理由だな」
「もし.......あの真っ赤な水に俺が手を浸していたらどうなっていたんだ.......?」
「手が溶けて更には毒性が全身に回り最終的には死んでいた」
容赦のないその言葉に俺は背筋が寒くなる思いをした。
「ん?ちょっと待て。お前他人のステータスみれるのか?」
「見れるな。安心しろ、大雅君にしか言う予定は無いから!」
ドヤ顔をしながら親指を立てている永志郎を何だか殴りたくなるのは何故なのか。
他人の個人情報見れるなんて普通にダメだろ多分。
「大雅くーん、今物騒な事考えてないですかー?」
「ウザイ」
「えー!それだけじゃないだろー?.......まぁ、それは置いておいてだな、大雅」
突然真顔になった永志郎は真剣な様子で俺の顔に顔を近づける。
「俺の称号欄の変態と永遠の厨二病って酷くないか?」
バシコーンッ
「いった!!え!?大雅君酷くない!?なんで頭叩くのさ!!俺のとっても賢い頭が悪くなったらどうすんのさ!!」
「自分でそれを言うな馬鹿永志郎」
ふざけた物言いに思わず頭を叩いてしまったが俺は悪くないと思う。
「んで、ここは何処なんだ?今から何をすればいい?」
「残ったクラスメイトと学生達の確認と学園からの脱出。ってとこかな」
「わかった。授業は?」
「死にたくなれば勿論すべて出る事。この異世界に来て初めに俺が言ってた言葉の通り、冷静に全てを見て考えろ。だが一人で全てを完結させるな。せめて俺には考えている事を話すんだ」
俺は永志郎が言った言葉を頭に刻み込むと頷く。
「そろそろ休み時間が終わるな。教室に帰るぞ」
永志郎は腕時計を確認すると歩き出した。
俺もその後を追い、隣を歩く。
外は暗いのにこの学園だけは電気が着いている。
電気も初めの方は着いたり消えたりと不安定だったのにいつの間にか安定していて廊下の先まで見通せる。
隅々まで綺麗な廊下を俺と永志郎は自分たちの教室へと歩いて行くのだった。
遅くなりました。




