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アホの子VSジュルジュル

前半スプラッタ+グロなので嫌な方は後半まで飛ばして下さい

 キーンコーンカーンコーン


 「授業!!」


 大音量のチャイムが鳴り目を覚ました俺は、教室のあまりの暗さに驚く。


 「夜……?」

 「うるさいなー。せっかく巨乳で美人でグラマーなお姉様にウハウハしていたってのに……つか何コレ暗くね?」


 永志郎が起きたらしい。

 他のクラスメイトもこのチャイムの音で起きたようで騒がしくなってくる。

 その間にもチャイムは鳴り響く。

 いつものチャイムならばもう鳴り終わっている筈なのに、ずっと鳴っている。


 「永志郎、この状況何かおかしくないか……?」


 前の席の永志郎に声をかけるが、返事はない。

 何か考え事でもしているのだろうか……?

 ずっと鳴っているチャイムに変化が起こった。

 だんだん音と音の間が間延びして音が崩れていっている。

 チャイムはやがて不安と恐怖を感じる様な音にかわり鳴っている。


 「な、なんだよコレ……」


 暗闇の中に響く不気味なチャイム音。


 「で、電気!電気付けよう!」

 「そ、そうよね!何も見えないから怖いのよね!早く付けましょ」


 クラスメイトの誰かがガタンと音を立て席をたった。

 ガタガタと他の机にぶつかりながらクラスメイトが教室の電気を付けるスイッチの元へとたどり着く。


 「確かこの辺に……あっ!あった!」


 カチッ


 ジジっと音がなった後パッと電気が着いた

 教室の中に張り詰めていた空気が緩み誰かが息を吐いた。


 「良かった……付いた……」

 「怖かった……」


 直後電気が消え、誰かの悲鳴が聞こえた。が、すぐに電気はついた。

 まるで切れかけの電気のように明滅している。

 その間にも恐怖を煽るような音と化したチャイムが鳴り響いている。

 言いしれない恐怖に身が竦んでいると永志郎が振り返り、話しかけてきた。


 「聞こえてっか大雅?」

 「え?あぁ、うん」


 何か分からないこの状況に混乱しながらも永志郎の声に耳を傾ける。


 「よく聞け、今から何が起こっても取り乱すな、声も出すな、急に動くな」

 「はっ?」


 何処か緊張したよう様子のその様子に否が応でも不安が増す。


 「周りをよく見て、冷静に観察して感情に流されるな」

 「急に何なんだよ。どうしたんだ?」

 「良いから今言った事絶対に守れ、でないと」


 真剣な表情の永志郎。

 俺もつられて真剣な顔になる。


 「どうなるんだよ……?」

 「ラノベで良くあるパターンと同じならば……確実に……死ぬ」


 永志郎が重く言葉を呟いた。


 「……分かった」


 俺も頷いて小声で返す。

 相も変わらずラノベが何か知らないが、この緊急事態的状況では永志郎が言っていることを守る事にする。

 歪で恐怖を煽るようなチャイム音は突如キーーーンとマイクがハウリングを起こした時のような音に変わった。

 あまりの大音量にクラスメイトの皆が耳を塞ぐ

 30秒程その音が鳴った後ブツンッと音が切れた。

 ザワザワと教室の中が煩くなっていく。


 ピーンポーンパーンポーン


 お知らせのチャイムが鳴る。


 「この学校は協調性を学ぶ場であり高い知識と教養を身につける場である道徳を重んじ品行方正な人材を育成して地域に貢献出来る人物を作るこの学校では廊下を走らない人に会えば挨拶は欠かさずすること目上の者には丁寧な言葉を使うことスカートの丈は膝上10cm以内男子の髪の毛は」


 この声は校長か?が、つらつらと校訓とかルールとかをどこで息継ぎをしているのか分からない感じでずっと喋っている。

 話している内容は初めはまともだったが、だんだんと支離滅裂になっていっていく。

 校内放送が流れ始めて10分は超えただろうか。

 ブツンと音を立てて校内放送は唐突に終わった。

 シンと静まり返る教室内。

 ガラリと教室のドアを開けて入ってきたのは理科の沖里先生。男性だ。


 「授業を始めますよー」


 何事も無かったかのように教壇に立った沖里先生にクラスメイトの1人がおずおずと声をかける。


 「あ、あの沖里先生……」

 「おや?私の授業を妨害する気ですか?」

 「先生……?妨害する気は……」

 「喜んで下さい皆さん。良いモルモットが手に入ったので今日の授業は実験としましょう。質問は受け付けません」


 ニコニコと笑っているが沖里先生の様子がおかしい。




 ◆




 「せん……せい?」


 困惑している生徒。

 ニコニコと笑っている沖里先生は生徒の席まで歩いて行く。

 生徒の席前で立ちどまった沖里先生は生徒の頭を掴んだ。


 「痛い!!離して下さい先生!!」

 「実験時間エクスペリメント・タイム


 そう、はっきりと口にした沖里先生。

 すると頭を掴まれていた生徒が黒いモヤに包まれた。

 生徒を包んだ黒いモヤは浮かび上がると縦に伸び、何かの形を形作る。

 モヤが晴れるとそこには巨大な砂時計と同じ形をした物が浮いていた。

 砂時計と違うのは上の方に生徒が閉じ込められており真ん中が窪んで区切られた下には無色透明の液体が入っている。

 生徒は混乱しているのかガラスの様に透明なソレを叩き壊そうと拳を作ってガンガンと叩いている。


 「開始」


 笑った顔のままの沖里先生がそう言うとゆっくりと砂時計の上下がひっくり返る。

 完全にひっくり返ると上になった透明な液体が重力に従って下へと流れていく。

 中に入っている生徒がひぃっ、と小さく声を出して体制を直して砂時計のガラスに背をつけ逃れようとする。

 だが、ガラスに阻まれてそれ以上後ずさり出来ない。


 「ぎゃああああ!!!」


 突然中に閉じ込められた生徒が叫んだ。

 よく見ると透明な液体が生徒に触れてそこから白い煙のような物が上がっている。


 「あぁぁぁぁぁぁあぁあぁあ!!!!!痛い痛いいたいいたいっ!!!」


 ジュウゥゥゥゥウと言う音と共に生徒の服が溶け肌が見えそして透明な液体が赤くなっていく。

 肌が溶け血が流れているのだ。

 現在進行形で砂時計の様な形の中で溶かされている生徒の絶叫が教室に響き渡る。


 「あぁ、凄く良い悲鳴だ……!」

 「何をやっているんですかっ沖里先生!!」


 クラスの委員長の女子が椅子の音を立てながら立ち上がり沖里先生の方へと近寄っていく。

 沖里先生は近寄ってきた委員長を気にすること無く、生徒が入った砂時計型のソレを指先で少し押す。

 押された事によって傾いた中では透明な液体が生徒に直接かかり。


 ジュウゥゥゥゥウッ


 と溶ける音と煙が上がり、生徒の悲鳴も更に悲痛な物に変わる。

 白い煙は砂時計型のソレのくびれた部分を伝って上の丸いドーム型の部分へと流れていっている。

 肉やらなんやらが溶かされている臭いはしないが見た目がかなりキツイ。


 「ほら皆さん良く見ましょうか、これが融解と言うものですよー」


 沖里先生がニコニコと、どこか歪んだものが混じった笑顔で振り向く。

 沖里先生の近くまで来ていた委員長の女子や砂時計型のソレの近くに座っていた口元を覆っていた生徒達が吐いたり、悲鳴を上げ椅子から立ち上がり沖里先生から距離を取るように教室の隅へと走っていく。


 「ん?どうした皆。もっと近くで見ていいのだぞ?これは実験なんだからな。三田(みた)口周りが汚れているぞ?それにこの酸っぱい匂いは……吐いたのか?……喜んで下さい皆さん。また新たなモルモットが手に入りましたよ!」

 「ひぃっ」


 沖里先生は委員長の女子、三田さんに気付くと眉根を寄せ汚物を見るような歪んだ表情をする。

 そして髪を鷲掴む。


 「実験時間エクスペリメント・タイム開始」


 最初の生徒の時と同じ言葉を発すると三田さんも同じ様に砂時計型のソレに閉じ込められる。


 「いっいやー!誰か、だれか助けて!」


 違うのは液体の色が薄い緑色な事と砂時計型の中心のクビレが太い事と液体の量が多い。

 ゆっくりと回転し上にいた三田さんが下になり、緑色の液体が下へと流れてゆく。

 今度の液体は粘度があるのかドロリと流れ落ちていく。


 「あ、あぁぁあぁあ……」


 三田さんが絶望の表情を浮かべたが、液体に触れても何も無いのか次第に困惑した表情へとなっていく。


 「三田、お前はいい子ちゃんですからね。折角です、それの効果を教えてさしあげましょう」


 そう言った沖里先生は口を歪め愉しそうに笑いながら言う。


 「皮膚に触れても何ら問題は無いが粘膜や内臓に触れると溶けるんだ。この液体が全部下に流れ落ちた時が想像するだけで楽しいですねぇ?」


 歪んだ笑みを浮かべた沖里先生は溶けている生徒の声をBGMに三田さんの方を見ている。

 沖里先生がにこやかに砂時計型のソレの上を押して傾ける。

 緑色のドロリとした液体は中にいる三田さんの頭に直接掛かり続ける。

 三田さんは目をキツく閉じて俯き息も止めていたのだろう。

 だが、いつまでも息を止めていられるはずもない。

 緑色の液体が下に半分ほど溜まった時、ぷはっと三田さんが止めていた息を吐いた。

 俯いているお陰で頭からかかっている液体は顔の周囲を流れていきまだ息をする事が出来るようだ。

 下に流れていく緑色の液体は座って俯いている三田さんの顔近くまで来た。

 三田さんは少しでも息を吸う為に、沖里先生が押して傾けている砂時計型のソレの中で移動しようと身体を動かそうとした。

 すると三田さんが身体を動かした途端、沖里先生が砂時計型のソレの上部を押していた手を離した。

 沖里先生の手が離れたことで砂時計型のソレが動き、中にいた三田さんの体勢が崩れ緑色の液体の中に身体が沈む。

 急いで体勢を立て直そうとする三田さんだが、緑色の液体は滑るらしくガラス面に手を付くも滑ってしまい上手くいかない。


 「おやおや、三田は滑稽な動きをしますねぇ」


 クスクスと笑っている沖里先生の目の前では砂時計型のソレに入った三田さんが段々とパニックになって行く様子がつぶさに見ることが出来た。

 止めていた息が切れた三田さんは緑色の液体の中でガボっと音を立てて息を吐き出す。

 そして空気の代わりに緑色の液体を吸った三田さんは喉を押さえ途端に苦しみだした。

 全ての緑色の液体が下に流れ落ちた砂時計型のソレの中では三田さんが身体をくの字に曲げ胸元やお腹あたりを掻きむしっている。

 ガボリッと吐き出されたのは赤い液体で、緑色の液体と混じってすぐに黒くなった。

 同時に目を開けてしまった三田さん。

 粘膜を溶かす液体だと沖里先生が言っていたから、粘膜その物である目が溶かされていく。

 皮膚と毛以外の物が溶かされていく様はエグいの一言に尽きる。

 やがて溺死したのだろう三田さんは動かなくなり、そのまま内臓が溶かされ続け口から血を吐きながら動かなくなった。


 「おや、三田?いや、このモルモットは動かなくなってしまいましたか。使えないモルモットですねぇ。この方法は面白いですが、折角の悲鳴が聞こえないのは残念でなりませんね」


 さもつまらん、といった様子の沖里先生はでも、と続ける。


 「そう言えば、家庭科の先生が皮が欲しいと言っていましたね。このモルモットの皮が使えるかもしれませんねぇ。これは皮になるまで置いておきましょうか」

 「う、うわぁぁあぁぁぁぁあ!!!」

 「おや?」


 どうしましたか?と言う声と教室のドアが開くのは同時だった。

 生徒が1人、叫び声を上げたのを皮切りに教室の隅に逃げていた生徒達が数人廊下へと飛び出していく。

 中には腰が抜けてしまったのか座ったまま動けなくなってしまっている生徒もいた。

 廊下へと飛び出した生徒はそこで所々赤い色のついた灰色のつなぎを着て巨大な枝切り鋏の持ち手部分を両手で持った用務員のおじさんに出会う。

 用務員さんが持っている巨大な枝切り鋏の刃の部分が紅く濡れていて何か紅い物が滴っている。


 「ひっ……!!」

 「おやまぁ、こんな所にゴミがあるとは」


 そう言った用務員のおじさんは怯んでいる生徒の首に枝切り鋏の刃を当て、なんの躊躇いもなく切った。

 吹き出る血に用務員のおじさんの灰色のつなぎが更に紅く染まる。


 「駄目じゃないですか金木さん。ゴミを増やさないで下さいよー。ちゃんと掃除お願いしますねー」

 「おー、これは沖里先生。すみません、ちゃんと掃除致しますね」


 教室のドアから廊下へと顔を覗かせた沖里先生は笑いながら言うと、用務員のおじさんも笑いながら巨大な枝切り鋏を持ち直し首を切って倒れた生徒の片足と頭を器用に掴み引き摺って去っていった。


 「はーい、皆さん授業を再開しましょうかー」


 いつもと変わらない感じの沖里先生の言葉に教室に残っていた生徒達は不安と恐怖を織り交ぜた表情をしながら先生を見る。


 「おや?悲鳴が聞こえないと思ったらもう死んでいましたか残念」


 誰も言葉を発することなく静かな教室内で最初に砂時計型のソレに入れられていた生徒は静かになっていた。

 それもそのはず、もう服と肉や内蔵は溶かされ切ったのか赤黒い液体の中で骨になってしまった生徒が沈んでいる。

 その生徒の近くに座っていた生徒は耳を塞ぎ固く目をつぶっていた。

 沖里先生は俯いている生徒の頭にポンッと手を置く。

 置かれた事でビクリと身体が跳ねた生徒は恐る恐ると言った様子で目を開け顔を上げる。


 「どうやら君達には刺激が強過ぎたようだね?」


 ニッコリと笑いながら言う沖里先生はその生徒の頭を優しく撫でると他にも俯いていた生徒や吐いてしまった生徒の頭をポンポンと撫でていく。

 教室の後ろに固まっていた生徒の頭も優しく撫でていくと教壇へと歩いて戻って行った。


 「実験時間エクスペリメント・タイム開始」


 爽やかな笑顔で沖里先生は手を前に出すと愉しそうに言った。

 黒い霧が生徒達を包み込み教室の後ろへと集まっていく。


 「いやだっ!!死にたくないっ!!」


 そう言った生徒も皆、頭を触られた生徒が全員黒い霧によって集められ、黒い霧が晴れた教室の後ろでは巨大な砂時計型のソレが出来た。

 上部には隙間はあるものの詰められた生徒達。

 下部には透明な液体。


 「やだ……!!死にたくないよぉー……!!」

 「誰かっ助けてくれっ!!」

 「いやーーーー!!!」


 詰められた生徒達は皆口々に助けを求めたり叫んだりしている中、ゆっくりと上下が回っていく。

 急に回るのとゆっくり回るのでは、下にあった液体が流れ込んでいく角度が違う。

 上下の中身が水平になる頃には元下にあった液体は無い方へと流れていく。

 生徒達が詰まっている方へと。


 「痛い痛い痛い痛いっ!!」

 「あ"ぁぁぁぁあ"あ"あ"あ"あ"ぁぁ!!あ"づいよぉぉぉぉぉ!!!」

 「いやぁぁぁァァァァ!!死ぬのは嫌だぁぁァァァ!!」


 ゆっくりと上下が回っていく砂時計型のソレの中でジュゥゥゥゥと言う音と共にガラス面を伝って下に溜まっていく液体に溶かされていく生徒達。

 ある者は腕を、ある者は足を、ある者は顔面を溶かされていく。

 完全に上下が逆になった砂時計型のソレの中、液体は流れ落ちる。

 上にいる者が暴れるもそれは下のいた生徒に液体が掛かるのが早くなっただけだ。

 一番下にいる生徒はうめき声を上げながら溶け、皮膚が無くなり血だらけになっていく。

 動ける生徒はガラス面を叩く。

 誰か助けてくれ!と声を上げるが、残った生徒達は次は自分の番になるのが怖くて動くことが出来ない者が多い。


 「ヒハっ!皆さん見ていますか?これはこれは中々に素晴らしいデスよっ!!髪もその下の皮膚も溶けて爛れて何と醜い生き物なんでしょう!!人間なんぞ所詮こんなモノなんだ!あぁ!この能力は何と素晴らしいモノなんだろう!!私の念願が叶うのだからな!!あはははハハハハっ!!!」


 生徒達が詰まって溶けている最中の砂時計型のソレを教壇から見ながら狂ったように笑う沖里先生。


 どれぐらい沖里先生が笑っていたのか分からないが、長い間笑っていた先生は黒板に向く。

 悲鳴が響き渡る中チョークを持つと何かを書き始めた

 化学式や意味のわからない言葉の羅列をつらつらと書いている。


 「これはテストに出るからなぁー。ちゃぁんとノートに取らないと……ヒハはは、はははははハハハハハハ」


 黒板いっぱいに意味のわからない言葉と化学式のようなものを書いた先生は振り返る。

 その頃には教室の後ろで悲鳴を上げていたものは静かになっていた。


 キュイィィィィンコォォォォォォォンカァァァァァンコォォォォン


 歪んだ音のチャイムが鳴る。


 「はーい、授業終わりだー。……ヒヒヒ、つぎだ。つぎへいこう……おっと忘れる所だった。実験終了」


 沖里先生は愉しそうに笑いながら言うと、カシャンと言う音と共に砂時計型のソレが消え元生徒だった物だけが床に落ちた。

 その中で皮だけになってしまった三田さんだった物を手に取った沖里先生は適当にクルクルと巻いて畳むと教室を出ていった。



















 その頃のアホの子はというと、眼鏡っ娘の手を握ったまんま洞窟内を無駄に美声な歌声を響かせながら迷いなく歩いている。


 「つーるつるピーカピッカはーげつむりー♪」


(待っておかしい。おかしいよねその歌!?え!?替え歌?替え歌なの!?)


 手を引かれながら心の中でツッコミを入れる眼鏡っ娘。


 「おーまえのかーみのけどーこ行ぃたー♪」


 (えー!?いや……まぁ、初めがツルツルでピカピカだもんね!?間違っては……無いのかなぁ……?)


 眼鏡っ娘は、混乱している!


 「金出せ首出せお尻ー出せー」

 「何か違うよね!?」

 「えー?何がー?」


 最後の節で思わず声に出してしまった眼鏡っ娘

 アホの子は立ち止まると振り返り首を傾げる。


(いやいやいや、最初はハゲの歌かと思ったらカツアゲでそしてどうしてお尻出さなきゃいけないの!?何処をどうしたらそうなるの!?)


 「……どこでそんな歌を覚えてきたんですか?」

 「この前知り合いの金髪のお兄さんが歌ってたんだー!面白いから一発で覚えちゃったよー。私ってば凄いねー!!」


 ちょードヤ顔をしているアホの子だが、全然凄くないしちっとも凄くないし全くもって凄くない。

 アホの子よ。そんな知り合い作っていると余計にアホになるぞ。


(えー……。何故そんな知り合いがいるのこの子!?もしかして素行が悪いとか……?いや、それは無いわね。だって今この子凄いドヤ顔してるけどアホを隠しきれない顔をしてるもん!!絶対にただのアホの子な気がする!!)


 眼鏡っ娘さんよ、その判断は正しい。

 アホの子は、ただのアホの子だ。


 「さーて!先へ行こうかー!って何アレー!!ジュルジュルした物の中にキラキラした物が入ってるー!!欲しいー!」


 先へ進もうとしたアホの子は何かを見つけたのか眼鏡っ娘の手を握ったまま走った。


 「ちょっ、急に走らないで下さいぃぃ!」


 眼鏡っ娘は転けそうになりながらも手を引っ張られているので必死で走るしかない。

 さもないと転んでしまうからだ。


 「キラキラー!!」


 水が盛り上がったような姿にキラキラと光る宝石の様な物が中心にあるよく分からない物体の前まで走ってきたアホの子と眼鏡っ娘。

 アホの子は眼鏡っ娘と繋いでいた手を離すと、まるで幼稚園児がやるかのように制服の袖を捲り、よーしっ!と気合いを入れるとズボォッとよく分からない物体の中に手を入れるとジュゥゥゥゥと何かが溶ける音がする。

 アホの子は気にすることも無く中心にあるキラキラした多面体の物体を掴み、よいしょー!と言う声と共に引き上げる。


 「取れたー!!」

 「いやちょっ!?今腕溶けて……!?え!?何で腕元通りになってるの!?後頭に響くこの音何!?」


 てれれれてれれれ


 (あ!この音アレだ!緑のパッツパツの服着て緑の帽子付けたエルフの少年が剣に選ばれて最終的にお姫様助けに行く伝説シリーズの中に出てくる音だ!!しかもこれレベルアップ音じゃなくて宝箱開ける時の音!!なんでこの音なの!?もっと他にあるでしょ!?いやその前にこの子の手から腕にかけて溶けてたのに元に戻ったのは一体どういう事!?)


 眼鏡っ娘がプチパニックを起こしている間にも音はどんどん鳴っていく。


 『レベルが上がりました。レベル25まで上がりましたので寒星月蝕図書館デカディメント・シレンツィオの一部使用を許可致します。レベルが上がりました。レベル50になりましたので寒星月蝕図書館デカディメント・シレンツィオの使用権限を五割解除。これにより、地図、生態図鑑、鑑定、全属性魔法の使用が出来ます』


 眼鏡っ娘の頭の中に声が響き、目の前に月を主体としたゴテゴテとした装飾の分厚い本が仄かに輝きながら浮かんでいる。


 (えっ!?何これ頭の中に響くこの声って何処から聞こえるのー!?それにこの本何!?何で浮いてるの!?それに寒星月蝕図書館って書いてデカディメント・シレンツィオって何処をどうしたらそう読むの!?何処をどう読んでも滅びの静寂なんですけど!?あっこの本近づいて来るっ!!近い近い近いっ)


 分厚い本は眼鏡っ娘に徐々に近づいて行き鼻先まで数cmの所まで近付いてきた。


 (あーもう!!手に取れば良いんでしょ手に取れば!!疑問は沢山あるけど手に取ればいいんでしょ!!)


 眼鏡っ娘は浮かんでいる本を両手で掴む。

 本を手に取った瞬間に仄かに輝いていた光が眼鏡っ娘の身体を包み、消える。


 「な、何が起こってるの……?」


 眼鏡っ娘が呟くと両手で掴んでいた本がスポーンっと両手から飛び出した。

 本の表紙が開くとパララララッと頁が勝手に捲れていく。

 頁が捲れるのが止まるとそこに文字と絵が書かれていた。

 眼鏡っ娘は思わず開かれた頁を読む。


 「えーと?」


 そこには今アホの子が相手しているナニカの事が書かれている。


 ───────────


 ケイオスジュエルスライム

 Lv,169

 通常のジュエルスライムと違い溶解力が強く、内部に入れた物を全て溶かしてしまう為討伐は難しい。

 核は純度の高い宝石としてかなりの高値で取引される。

 錬金術でもこのスライムの核は重宝される。

 レベルが高いほど核の価値は高くなるが、核に傷を付けると価値が一気に下がる為注意が必要。

 他のスライムと違い魔法耐性がつよい。

 食用には向かない。むしろ食べると嘔吐下痢に罹る。


 ───────────


(スライム……?こんなモノ地球に居ないはず……まるで、小説で今流行りの異世界転移みたいじゃない……!!後スライムって普通に食べれないと思うんだけど!)


 内心でツッコミが追いつかなくなってきた眼鏡っ娘は若干疲れた様子を見せる。

 そんな眼鏡っ娘を他所に本の頁が一枚勝手に捲れる。


 ───────────


 この世界ではレベルという物が存在し、レベルが上がると今まで受けてきた傷が修復される。

 まぁ、アレだ。ゲームと同じだと考えて貰えたら嬉しい。だが命が無くなればお終いなのはどこの世界でも同じなので命は大事にしようね?

 ステータスと頭の中で思い浮かべれば自分の能力を知る事ができるよ!

 見方は君が読んできた小説やゲームと同じ!簡単だね!

 分からない所は文字に触れると詳しい説明が出たり出なかったり。

 んじゃ!後は頑張って生きてね!


 ───────────


 (こんちきしょー!!!何コレ誰コレムカつく!!こんな本の頁破いてっ……!!やぶっ……!!やっ!!破けねぇ!!)


 怒りに多少キャラ崩壊を起こした眼鏡っ娘は本の頁を破こうと手に力を込めるが、一体何の力が働いているのか、本の頁には傷一つ付けられない。


 パタム


 本を閉じた眼鏡っ娘。

 片手に分厚い本を持ち思いっきり振りかぶる。


 「ふんっ!!!」


 そして思いっきり力の限り本を投げた。

 物凄い勢いで飛んでいった回転しながら本は洞窟の天井付近にいたスライムに突撃し下に落としながら飛んでいく。

 本は大きく弧を描いて飛び、眼鏡っ娘の元に戻ってきた。

 スコーンッと良い音を立てながら眼鏡っ娘の額に角が命中した本。


 「いったぁー!!」


 思わずしゃがみ込み額を抑える眼鏡っ娘。

 本は眼鏡っ娘の傍で空中に浮かんでいる。


 (何この本っ!投げても戻ってくるとか呪われた装備みたいじゃない!!)


 涙目で本を睨み付ける眼鏡っ娘だが、本は何の反応も示さない。

 その間も頭の中ではレベルアップ音が鳴り響き額の痛みも無くなった。

 ふぅ、とため息を吐くことで苛立ちを何とか抑えた眼鏡っ娘は立ち上がると浮かんでいる本を見つめて考える。


 (こんな事で怒ってても何も始まらない。さっきの痛みでこれが現実だって分かったし、まずは自分のステータスと言うのを見てみよう。ステータスオープン)


 心の中で呟くと本が開かれ頁が捲られそこに文字が書かれていく。


 ─────────────


 名前:桂木かつらぎ 桜子さくらこ

 性別:女

 年齢:17

 役職:司書

 Lv:98

 HP:3500/3500

 MP:9800/9800


 固有スキル:寒星月蝕図書館デカディメント・シレンツィオ

 称号:眼鏡っ娘、ツッコミ役、異世界人


 ──────────────


 「……異世界転移定番のステータスディスプレイが出るわけじゃないのね……」


 (ちょっとがっかりとかそんなふうに思ってはないったらないんだから。ちょっとディスプレイ触ってみたかったとかそんな事考えてないもの……!それよりも突っ込んでいいかな……。いつの間にこんなにレベル上がってんの!?え?何コレ怖っ!!)


 眼鏡っ娘──桜子ちゃんが自分で自分を抱きしめて腕をさすっているとステータス欄の下に文字が浮かび上がる。


 ──────────────


 アホの子とパーティを組んでいるのでモンスターを倒した際の恩恵が受けられます。

 主に経験値とか経験値とか経験値とか。

 あ、またレベルが上がりました。


 ──────────────


 (経験値しかないじゃない!!いやいやいや、アイテムちょうだいよ!!違うっ!そうじゃないっ!何この取ってつけた様な説明は!!またレベル上がってんじゃない!!今なんぼよ!?)


 ──────────────


 レベルが101になりました。

 やったね★


 ──────────────


 (なんかウザイしキリが悪いんですけど。それよりもこれ経験値配分どうなってんの?凄い勢いで上がってるけどどうしてなの?)


 混乱が一周回って落ち着いた桜子ちゃんだったが、レベルが凄い上がることに首を捻る。

 そこへアホの子が遠くから手を振り大声を出しながら桜子ちゃんの元へと走って来る。


 「おーーーい!!聞いてーーー!!!キラキラいっぱい取れたよー!!」

 「……あ。うん……。良かった、ね……?」


 物凄い速さで走ってきたアホの子。

 桜子ちゃんの前で立ち止まると、ハッとした顔をする。


 「あ!!そう言えばキミの名前知らないや!なんだっけ?私はねぇ〜安穂ノ子って言うんだ〜クラスの皆からはアホの子って呼ばれてるよ!酷いよね!」

「私は……桂木桜子と……言います」


 (あー、うん。そう言えばお互い自己紹介してなかったね。……そっか。渾名がアホの子、アホの子かぁー……確かに見るからにアホ感が滲み出てるものねー)


 桜子ちゃんは何気にアホの子に対して失礼な事を考えながらもそれを表面には出さずに内気な女の子を演じている。


 「そっか〜!桜子ちゃんって言うのかー!宜しくねー!」


 桜子ちゃんの内面に気づくはずのないアホの子は、桜子ちゃんの片手を両手で握ってブンブンと縦に振る。

 ひとしきり手を振って満足したらしいアホの子はポケットから手のひらに収まるくらいの大きさの球体に近い多面体の赤く輝く石を取り出したり


 「これすっごく綺麗だよね〜!でもね〜、これ、ちょっ〜と力入れると割れちゃうんだ〜!見てて〜!」


 パキャァァァァンッ


 アホの子がちょっと力を加えたらしく多面体の石は甲高い音を立てて粉々に砕け散った。


 「す、凄い、ね……?」


(いやいやいや!それ多分握力!!握力が凄い事になってるんだと思うよ!?あとコレあのスライムの核ってやつだよね!?この子一体何体倒したのよ!?)


 桜子ちゃんは困ったような表情でアホの子に答えるが、アホの子はそれに気付いていない。


 「そ、それにしても……こんな暗い中で……安さんは良く動けるね……?」

 「え?暗い〜?結構明るいよ〜?」

 「え?」


 そう、桜子ちゃんは足取り軽やかにいくアホの子に疑問を持っていた。

 ここは月の出ている夜なんじゃないかと思うくらいに仄暗い。

 壁の辺りには仄かに光る謎の発光体があるくらいだが、それを光源とするには心許なさ過ぎる。


 (え?この子には何が見えているの……?もしかして……この子は……人間じゃない!?)


 桜子ちゃんが恐怖に胸の前で両手を握る。

 ジリっと後ろに下がる。


 「桜子ちゃん眼鏡曇ってるんじゃないの〜?仕方ないな〜この私が拭いてあげるよ!!」

 「……あっ!!私の眼鏡!!」


 桜子ちゃんの眼鏡を奪ったアホの子はレンズをベタベタと素手で触りまくり、そして桜子ちゃんに返した。


 (あの……えっと……それ、拭いたって言わない……)


 喉まで出かかった言葉を飲み込みながら桜子ちゃんはポケットから眼鏡拭きを取り出して、拭く。

 眼鏡拭きをポケットにしまった桜子ちゃんは眼鏡を掛けるとそこには驚く光景が広がっていた。


 「……えっ!?何これ明るい!?」

 「やっぱその眼鏡曇ってたんだね〜!」


 さっきまで仄暗い感じで見えていた風景が、アホの子が触った後の眼鏡を掛けると昼間のように明るく見えるようになった。


 (えっ?どういう事これ!?外すと……暗くなる。眼鏡を掛けると明るい……便利だけど、便利だけど何したの!?)


 混乱していると本がパラパラと勝手に開く。


 ─────────────────


 日華の眼鏡(バーントグラースィズ)

 アーティファクト

 製作者︰アホの子

 効果︰暗い所でも昼間の様に見る事が出来る。その気になれば透視も出来る。

 桂木桜子専用アイテム

 譲渡不可


 ─────────────────


 (あ、さいですか。うん、なんで日華、太陽の別称なんだけど、って書いて燃えると読むのかなぁー?燃えてどうすんのさ眼鏡。誰なのこの名付け親)


 半目になって本を睨んでいると、頁が1枚捲られ文字が浮かび上がる。


 ─────────────────


 え?その方がかっこいいじゃん?


 ─────────────────


 (む、か、つ、くぅ!!!何がカッコイイよ!!意味くらいちゃんと合わせなさいよ!!捨ててやるこんな本!!)


 桜子ちゃんが腹立ち紛れに本を掴み本日2度目の投擲をした。

 ヒュンヒュンと音を立てて遠くへと飛んでいく本。

 だが、下に落ちる前にまたも戻ってくる本。

 桜子ちゃんの元まで戻ってきた本は、開かれた頁を桜子ちゃんに見えるように視線の高さで止まった。


 ─────────────────


 ざーんねんでしたーm9(^Д^)

 この本はスキルなので何をどうやっても手元に戻ってきまーすwww

 良かったね★デュフフ


 ─────────────────


 パーーーーンッ


 宙に浮かぶ本を勢い良く閉じた桜子ちゃん。


 (とうとう顔文字使ってきおったこの本ムカツク)


 無表情で本を見ている桜子ちゃんの横で、ほー!とか言いながらアホの子が本を見ている。


 「凄いねーこの本!!戻ってきたよ!犬みたい!!中身何書いてあるか分かんないけど凄いやー!!」

 「……それよりも、先に進まない……?学校の皆が心配で……」


 本は手に持って話題を変える。

 アホの子はハッとした顔をして慌て始める。


 「そうだ!!私遅刻寸前だったんだよ〜!朝起きたら10時でさ〜!ほんと焦ったんだよね〜!」

 「……それもう完全に遅刻……」

 「それなのに学校どっか行っちゃったしさ〜。どうなってるんだろうね〜?」


 全然桜子ちゃんの話しを聞いていないアホの子は腕を組んで首を傾げている。


 (完全に遅刻なのはほっといて、多分これ私達が勝手にどっか行ってしまったパターンじゃないかな……それよりも学校が本当にこっちにあるかも不安だし……あ、そうだ。安さんの事この本で調べられたりするのかな……?)


 桜子ちゃんはペラリと頁を捲る。


 ─────────────────


 名前:安 穂ノ子

 性別:女

 年齢:16

 役職:歌姫

 Lv:259

 HP:600,000/600,000

 MP:900,000/900,000

 固有スキル:********

 称号:アホの子、鈍感を超越した者、****、異世界人


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 (もうどっから突っ込んでいいのか分からない……。この子こんなんで歌姫なの!?どういう事!?レベルもヤバいけどHPとMPすっごいんですけど!?そしてここでもアホの子って言われてるのね!?後、文字化けした所が気になる……)


 桜子ちゃんは文字化けした所に指で触れる。

 すると小さなウィンドウが出てきた。


 レベルが上がれば閲覧可能です。


 そうウィンドウには書かれていた。


 (ふわっ!?ウィンドウ出てきた!!なんか異世界来たって感じでテンション上がる!!)


 「ねぇねぇ桜子ちゃ〜ん!先行くよ〜!」


 その声に慌てて前を見れば何故か遠くにいるアホの子。


 「ま、待ってくださいーっ!!」


 せめて離れるならば一言くれ!とか桜子ちゃんは思いながらもアホの子の後を追って走っていった。






 

さーて、これからアホの子はどうなるのか……

眼鏡っ娘可哀想に……


学校組も大変だねー。


読んで下さりありがとうこざいました

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