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異形は人間に憧れる  作者: 柘榴
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序文 人間の少女と異形の〝私〟

カクヨムにて掲載中の作品です。(2章08本目まで)2018/04/21

しばらくは画像置き場として活用する見込みです。(更新が滞ると思います)

R-18表現はありません。


気づいたときには、〝私〟はじっと見つめていた(視界に映していた)


〝私〟をじっと見つめるその碧色を。


澄んだその光がすっと真っ直ぐに差し込んでくるのを感じて、思わず身動ぎした。きっとその僅かな動きがなければ、〝私〟は〝私〟自身に肉体があったことにさえ気づかなかっただろう。

そうだ。〝私〟はそこまで―――他者が見ればひどく滑稽なほどその瞳に―――その碧色に、魅了されていたのだ。


もっと近くで見てみたい。その色で、もっと〝私〟を映してほしい。そのときの〝私〟の思考は、きっとそんな欲求で埋め尽くされていたのだろう。

ともかく突き動かされるように、或いは何かに背中を押されるように手を伸ばした。否、伸ばそうとした。


まず、ずっと〝私〟を貫いていた碧色がびくっと揺れた。

怖がらせてしまっただろうか。そう悔いながら、なんとなく、伸ばした手を見ようとした。だがそこにあったのは、―――緑色のぬらりとした物体。


……んん?


違和感を感じた。その違和感が切っ掛けだった。〝私〟は視界に入っていた碧色以外を認識できた。

その碧色は瞳だった。

陶器のように(すべすべとした)つややかで白い肌。背中までまっすぐに伸びた、赤みがかった金色の髪。それらと共に女性《雌性体》の―――いや、小さな小さな少女《若い個体》の顔を彩る瞳だ。

|明らかに子ども、というよりも《とてもとても》幼い彼女は相応に小さく細い足で地面に立ち、〝私〟をじっと見つめていたのだ。

|その細い体を強張らせながら《まるで怖がっているかのように》。


その強張りの理由は―――のちに振り返って見ても奇跡的だと思えるが―――何故だか理解できた。


少女の肢体に、10を軽く超える〝緑色のぬらりとした物体〟が纏わりついていたからだ。

そう、〝私〟は手を伸ばそうとして―――十数本にも及ぶ〝触手《手》〟を伸ばしていた。


その瞬間こそが、〝私〟が〝私〟を〝私〟として認識した初めての瞬間。


人間である彼女と、異形である私との、〝はじめまして〟だったんだ。





当作品の前提。

主人公『異形』は、前世も今後も、決して人間ではありません。

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