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新世界  作者: 北極星11
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第9話 〜登校〜

■第9話 〜登校〜


 虚無きょむが「視える」ようになってから、初めての学校。いつものように自転車にまたがり、わずか12分の道を風を切るように学校へ向かった。やはり、行き交う人には、黒い影が見える。しかし、その影も多少の差はあれ、気にするようなものではなかった。

「なんだろ?怖いはずなのに、すこしどきどきしてる。虚無羅きょむらに会いたいのかな?いや、会いたいというよりは、見てみたいって感覚だな。きっと。」

「ポンもよく分からないポン。虚無羅を成仏させてあげられれば、苦しんだり、悩んだりする人が減るポン。だけどやっぱりポンも怖いポン。」

「おいおい、守り神様がそんなこといってどうするんだよ。」

 左手に正門が見える。いつものように駐輪場に自転車を置き、ふと顔を上げるミコト。校舎に目をやる。階段をあがった二階が玄関になっている。

(ああ、学校が休校になって、翌日倒れて保健室。それが昨日。そして今日か。なんかいろんなことがありすぎて、なつかしくかんじるぜ!まあ、みんなに影がついて視えるってこと以外、いつもと変わらないか。そうだ、シンジは来てるかな?昨日の朝、会ったときには、やっぱ少し元気が無かったようだからな。シンジの自転車は、…まだないか。いつもは自分よりも早く来ているはずなのに。)

「神崎君、おはよう。」

ふと後ろから声をかけられた。同じクラスの山口ミキだ。背が高いけど裏表の無い話しやすい子だ。身長は170センチ弱だろう。自分がぎりぎり170センチを超えた172センチだから、自分はこの子より大きいってことが少し嬉しい普通の高校2年生だ。

「ああ、おはよう。」

ミキの笑顔と明るい声に少し顔が紅色に染まってしまう。

「やっぱり、見てるんだよな?」

「気にするなポン」

「別に、好きって訳じゃないけど、やっぱ、女の子に弱いっていうか…かわいいとは、思うけど…。」

「知ってるポン。いいポン。健全だポン。」

「それより、一つ思い出したポン。虚無羅きょむらに会ったら、目を合わせないようにするポン」

「まじ?目が合うと石になったりするのか?」

「石にはならないけど、ミコトの目は気付かれるポン。襲ってくるということポン。」

「ああ、いい忠告をきいたよ。絶対気をつける。っていうか、逆に、目を合わせなければ、大丈夫っていうこと?」

「おそらく、相手は気がつかないポン。相手は、どちらかというと、本能で生きているよなものポン。」

「今のとこ、いないよな。」

「大丈夫。いないポン。」

 


すみませんでした。

山口ミキは、フルネームを使ったのですが、かなりのサブです。

メインキャラは次回です。ごめんなさい。

★筆者コーナー★

今回の紹介はバンプオブチキンの「アルエ」です。

白いブラウス似合う女の子〜から始まるアップテンポのリズムと

いやらしくないひびきのよい歌詞がすきですね。


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