表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新世界  作者: 北極星11
39/39

最終回

これで最終回となります。

お付き合いくださり、本当にありがとうございました。

割れた窓ガラスの先を見つめるシンジ。

「何があったんだ?」

 わけもわからず首をかしげるシンジ。

「あいたたた…。そっか、俺、事故にあったんだ。」

 不思議と昨日まで感じていた心の中のもやもやは晴れ、体が軽く感じていた。すぐに看護婦が駆けつけ、病院の窓ガラスを交換し、あたりを掃除している。患者にけが人がいない事を確認すると、ほっとしたようにまた受付へ戻る。

(あ、あの女の子、たしか窓から飛び降りたよな?夢か?)

 頭の中が混乱していた。

(でも、なんだか今までの胸を締め付けるような苦しさがない。)

 なにが起こったのかは整理できないシンジであったが、胸の苦しみが取れたこと、不思議と生きる意欲がわいてくる心の変化を感じ、その目にはとめどなく涙があふれていた。

(…不思議だ、寝ているときにミコトが見舞いに来てくれた夢を見た。)


 あたりが騒がしくなってくるのを察し、セイラはミコトと共に木のつるに支えられ、できるだけ人目に付きにくい林の奥へと移動した。

「また、眠っているわね。」

 穏やかな笑みを見せると、ミコトの左腕の傷跡に手をかざし、優しい声で何かをささやいた。

「オン コロコロ マカリシエイ ソワカ。恵みの神よその慈悲をもって癒しの力を我に与え給え」

セイラの手から強い緑色の光が発せられ、出血が止まっていなかったその左腕の傷は、ゆっくりではあるが、しだいにその傷をふさいでいった。

「さすがに、疲れるわね…でも、あともう少し。」

 先ほどの戦いでマナの力を使い過ぎていたセイラには、ミコトを癒すことでさえ、汗が滴り落ちるほどの過酷さがあった。



 ふと起き上がると、そこは林の中、隣にはセイラが眠っている。栗色の髪の毛と雪のような白い肌には土がつき、何か大変な作業をしていたという様子を思わせた。

(「セイラ。」)と、声を掛けようとしたミコトは今の状態をそう難しくなく把握できた。(左腕の傷を治してくれたんだよな。ありがとう。)

 ミコトはゆっくりと起き上がり、セイラを背負う。よほど疲れていたのだろうか、セイラはその動作にも目を覚ますことはなく、揺られるがままにミコトに背負われ、共に帰路についた。

「シンジの見舞いは明日だな。ごめんな、シンジ。」

病院を振り返るミコト。壁にはミコトがつけた傷がいくつか残っている。なにやら病院の周りがいつもよりあわただしいという雰囲気を感じたが、もうピークは過ぎたというように、人々は病院から散り散りに去っていく様子だ。

  

 ゆられる体がセイラの意識の回復を早めた。(あ、そうか、私、ミコトの傷を癒そうとして、そのまま眠ってしまったようね。)うっすらと目を開けるセイラ。ミコトが一生懸命にバス停へと向かっている。その横顔には夕日が差し込み、うっすらと額に滲む汗は、ミコトを少年から男へと変化させているようだった。





少年と少女の旅は ここから新たに始まろうとしている。


しかしそれは、少年と少女だけではない。


この世に生きる人が、全ての人が 


生まれた意味を、幸福を求めて


旅をしているのだ。


セイラは言う。


「わたしたちは きっと特別なんかじゃないわ。


今に生きる全ての人が悩み、孤独になり、それでもがんばっていきているのね。」


「ああ。でも、だからこそ きっと 人は よくなろう、一緒に生きようと


進化していくんだ」


「そうね。わたしも、・・・あなたと会えて よかったわ。ミコト。」


          =END=


いかがだったでしょうか?


話の続きも考えていなかったわけではないのですが、なかなか忙しくなってしまったので、このあたりで失礼します。


何か感想をいただけたら嬉しく思います。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ